事件名 |
井沢商店 |
事件番号 |
北海道地労委昭和46年(不)第31号
北海道地労委昭和47年(不)第5号
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申立人 |
小樽魚と海の労働組合 |
申立人 |
小樽地区労働組合会議 |
被申立人 |
株式会社 井沢商店 |
命令年月日 |
昭和47年 7月 4日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含 む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、従業員の組合加入を制約する旨の発言をしたこと、職制の組 合結成への介入、組合未加入者への一時金の早期支給、会社の不正利得を陰蔽するため第二工場に組合員を勤務させないよう配置 したことなどをめぐって争われた事件で、支配介入を認め陳謝文の手交を命じたが他の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人株式会社井沢商店は、従業員の会合の機会において、 小樽魚と海の労働組合への加入をけん制するなどして、従業員の同労働組合への加入を制約する言動をしてはならない。
2. 被申立人株式会社井沢商店は、つぎのような内容の文書を社長名で、申立人小樽魚と海の労働組合代表者あてに手交しなけ ればならない。
記
当会社は、小樽魚と海の労働組合の不当労働行為申立てに関し、北海道地方労働委員会が不当労働行為と判定した諸行為につい て深く反省し、今後かかることのないよう十分注意します。
3. 申立人小樽地区労働組合会議の救済申立ては、これを却下する。
4. その余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
不正摘発を恐れて、組合員を第二工場から締出したというが、会社が不正行為を行なったとする事実は認めがたく、その後の団交 の結果、第二工場に組合員が働けるよう措置しており、不当労働行為とは認められない。
2123 その他交渉出席者
組合書記長の団交申入れに対する社長の態度は、書記長が組合および自己の組合上の地位を明らかにしていないのであるから、あ えて不当労働行為とは断定できない。
2251 一方的決定・実施
会社が、組合との団交が進展しないまま、その直後年末一時金の支給を行なったことは、組合無視、事前通告措置の不手際の非難 は免れないが、早期支給を待つ組合未加入者の存在、年末が近づいたことなどの事情よりすれば、不当労働行為とまでは判断でき ない。
2500 別組合の結成・援助
X1とX2が主唱し、別組合結成のため集会をもったことに会社が直接的に関与した証拠はないが、組合の存在を知っていた社長 が就業時間中の同集会を許可したことは、間接的に関与したといえ、職制上の重要な地位にある者が当初同集会を主導していたこ とからも不当労働行為と認められる。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
会社には、正確ではないにしろ組合の存在を知り、若干名の従業員が参加している程度の認識があったものと推認でき、機材課主 催の会合で、取締役が組合加入制約の発言をしたことは、組合に介入する不当労働行為である。
4822 混合組合
小樽地区労働組合会議は、同地域に存する組合、地方・国家公務員法上の職員団体、それらの地域組織を構成団体とするが、労組 法上の組合でないものを含んでいるから、同法上の連合団体に該当せず、かつ、労委規則32条 2項 1号の「その他権限ある 団体」にも該当しないので、申立人適格を有しない。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集47集60頁 |
評釈等情報 |
労働経済判例速報 昭和47年12月20日 799号(23巻34号) 20頁
ジュリスト昭和47年度重要判例解説 山本 博 1973. 6. 5臨増 535号 172~174頁
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