労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  横浜大栄交通 
事件番号  神奈川地労委昭和42年(不)第18号 
申立人  神奈川地方自動車交通労働組合 
申立人  全国自動車交通労働組合連合会 
被申立人  大栄自動車交通 株式会社 
被申立人  横浜大栄交通 株式会社 
命令年月日  昭和46年 5月 7日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  親睦会にのみ毎月金員を支給し、別組合員より遅れて夏期一時金を支給し、時間内組合活動に対して基本給のほか諸手当についてもカットし、また、組合支部長ら2名の停年退職後の再雇用を拒否した事件で、嘱託としての再雇用、バックペイを命じ、その他は棄却した。 
命令主文  1 被申立人大栄自動車交通株式会社はX1、X2を両名の停年退職日から引続き嘱託として再雇用し、同人らが停年退職日以降受けるはずであった賃金相当額を支払う措置をとらなければならない。ただし、雇用期間、賃金額及び雇用主を被申立人会社のいずれにすべきかについては、他の停年退職者であって嘱託として再雇用された者たちとの均衡を勘案し、不公平にならないよう措置するものとする。
2 被申立人大栄自動車交通株式会社は、申立人組合大栄支部に対し、下記内容の文書をこの命令交付の日から7日以内に交付しなければならない。
              記
 大栄自動車交通株式会社は、昭和39年1月より昭和44年5月まで睦会に毎月5,000 円を支払ったが、その支払いが労働委員会により差別扱いと推認されたのは当社の落度であったので、今後かかる行為をしないよう約束します。
   昭和 年 月 日
   全国自動車交通労働組合連合会
   神奈川地方自動車交通労働組合大栄支部
   支部長 X1 殿
               大栄自動車交通株式会社
               代表取締役 Y1
3 申立人のその余の申立てはこれを棄却する。 
判定の要旨  1106 契約更新拒否
会社が組合支部長X2ら2名の勤務成績について比較対象としてあげた2名は特に成績優秀者であり、これとの比較から直ちに両名の成績が劣悪であるとはいえず、また、両名を除く停年該当者全員を再雇用していること等からみて、会社が両名の組合活動を嫌悪して再雇用を拒否したと判断せざるをえない。

1201 支払い遅延・給付差別
会社が、組合員X3の休職期間3年間の年功給を職場復帰後加給しなかったのは、これを支払うべく義務づけられた協定の存在を見落していたことによるもので、その後は同人に支払う意思を表明していることから、同人を特に不利益に扱ったとは認められない。

1204 スト・カット
時間内組合活動について、不就労時間相応の賃金カットを受けるのはやむをえない。また、基本給のほか精勤手当等の諸手当についてカットされても、それが労使で協定した賃金規定に基づくものであるならば不当な措置とはいえず、この取扱いについて別組合との差別も認められない。

2803 その他
親睦会にのみ毎月 5,000円を支給する合理的理由がないことからみて、同会を育成する目的で金員を支給し、組合に対する差別扱いを行なったものと推断せざるをえない。

1201 支払い遅延・給付差別
D、Y両社は申立組合との夏期一時金の交渉に積極的な態度を示さなかったことがみうけられるが、組合にも夏期一時金の交渉をすみやかに行なおうとする積極的態度がみられず、結局、夏期一時金の支給が遅延したのは、労使いずれの責任であるともいい得ず、両社が故意に組合を差別したとはいえない。

4410 雇入拒否の場合
組合員X2ら2名の再雇用拒否は不当労働行為であるが、停年退職後の雇用については、再雇用先の会社、再雇用期間および賃金額について定まったものがないので、これらについては、他の停年退職者であって嘱託として再雇用された者との均衡を勘案し、不公平にならないよう措置するものとする。

4408 バックペイが認められなかった例
4421 文書掲示等を命じた例
組合員は、差別金の支払いを求めているが、組合間の差別扱いを救済するには誓約文の交付をもって足り、過去の差別金の支給を認める必要はない。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集44集368頁 
評釈等情報  労働判例 1971年8月15日  129号 62頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
横浜地裁昭和46年(行ウ)第14号 救済命令の一部取消し  昭和51年 1月28日 判決