労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  大栄交通 
事件番号  横浜地裁昭和46年(行ウ)第14号 
原告  大栄交通 株式会社 
被告  神奈川県地方労働委員会 
被告参加人  全国自動車交通労働組合連合会神奈川地方自動車交通労働組合 
判決年月日  昭和51年 1月28日 
判決区分  救済命令の一部取消し 
重要度   
事件概要  新組合に対する経費援助および旧組合に対する停年後の再雇用拒否をめぐる事件で地労委は嘱託として再雇用、バック・ペイを命じた(46.5.7)が地裁はバック・ペイを命じた部分のうち、中間収入を控除せずにバック・ペイを命じた部分の初審命令を取消した。 
判決主文  1 被告が神労委昭和42年(不)第18号不当労働行為申立事件につき昭和46年5月7日付でなした救済命令主文1中、X1、X2に対し定年退職日以降賃金相当額の支払いを命じた部分のうち、賃金相当額から中間収入を控除した部分を超える部分を取り消す。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は参加によって生じた部分を除いてこれを3分し、その1を被告の、その余を原告の各負担とし、参加人によって生じた部分を3分し、その1を参加の、その余を原告の各負担とする。 
判決の要旨  1106 契約更新拒否
定年後も特段顕著な不適格性がない限り再雇用する労働慣行が客観的に成立している場合、定年退職後の再雇用拒絶が組合員であることを理由とする限り、不当労働行為が成立し、労委の救済命令の対象となり得る。

0500 勤務成績不良
勤務成績不良を理由に組合員2名の定年退職後の再雇用を拒否したことは、再雇用後も同人らが組合活動を継続するものと予測し、これを忌避しようとしたことによるものと推認され、これは不当労働行為を構成する。

4405 バックペイから他収入控除
原状回復の救済においてバックペイを命ずるにあたり、いわゆる中間収入を得ていた場合には、特段の事情がない限りこれを控除しなければならず、中間収入を控除しない救済命令はその限度で違法である。

6351 バックペイからの中間収入控除
労委の裁量権は、不当労働行為自体の結果の排除を目的とする原状回復のためにのみ発動されるべきとの限界を有しており、その限界を超えて中間収入を控除しない救済命令は違法である。

4405 バックペイから他収入控除
労委の裁量権は、不当労働行為自体の結果の排除を目的とする原状回復のためにのみ発動されるべきとの限界を有しており、その限界を超えて中間収入を控除しない救済命令は違法である。

6230 主張・立証の制限
救済命令取消訴訟において新事実の主張立証が許されないとの法理はなく、裁判所は命令発布当時の事実をも考慮のうえ、命令の適否を判断し得る。

4405 バックペイから他収入控除
バックペイ命令は、労働者個人の不当労働行為に基づく不利益状態の原状回復という観点から判断されるべきものであり、団結権保障の観点から中間収入を控除すべきでないとの主張は採用できない。

4405 バックペイから他収入控除
バックペイ命令は債務名義となるものではなく、具体的金額を表示する必要もない以上、取消訴訟において控除すべき中間収入の具体的金額を判断する必要もないから、失業保険金の受給が中間収入に該当するか否かの判断は必要ない。

2801 団体運営に関する補助金支給
睦会に対する月5000円の支給は、名目を車庫の整理代としているが、その実質は同会を育成強化し、組合を弱体化させるためになされたもので、支配介入に該当する。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集14集312頁 
評釈等情報   

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
神奈川地労委昭和42年(不)第18号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和46年 5月 7日 決定