概要情報
事件名 |
東京成徳学園 |
事件番号 |
東京地労委昭和43年(不)第69号
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申立人 |
東京私学労働組合 外個人7名 |
被申立人 |
学校法人 東京成徳学園 |
命令年月日 |
昭和45年12月24日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
学園が組合活動に干渉し、分会員2名を解雇し、分会員の身分問題等についての団交を拒否し、さらにストライキに参加した分会員5名を戒告、減俸、役職剥奪あるいは講師格下げ等の処分に付した事件で、支配介入の禁止、解雇撤回、原職復帰、バックペイ、被解雇者の身分問題、組合活動の許容基準等についての団交、懲戒処分の撤回を命じた。 |
命令主文 |
主 文 1.被申立人学校法人東京成徳学園は、申立人X1らが申立人東京私学労働組合に加入したこと、その正当な組合活動を行なったことを非難したり、同組合の組合員であることを理由に授業を差し止めたり組合員に退職を勧奨するなどして、同組合の運営に支配介入してはならない。 2.被申立人は、申立人X2、同X3に対する昭和43年4月30日付解雇を撤回し、原職に復帰させ、解雇の日の翌日から原職復帰までの間に同人らが受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。 3.被申立人は、昭和43年4月6日以降、申立人東京私学労働組合の申し入れたX2、X3の身分問題、分会員の労働条件等職場の諸問題、校内における組合活動の許容基準についての団体交渉に応じなければならない。 4.被申立人は、昭和43年10月21日付で行なった申立人X1、同X4に対する戒告処分および減俸処分ならびに役職剥奪処分、同X5、同X6に対する戒告処分および減俸処分、同X7に対する戒告処分および減俸処分ならびに講師格下げの処分をそれぞれ撤回しなければならない。 |
判定の要旨 |
0300 争議行為の範囲
0410 目的・手続き
3601 処分の程度
ストの目的に政治的スローガンばかりでなく、分会員の解雇撤回要求も含まれていることからすれば、本件統一ストを純粋な政治ストとみることには疑問があり、分会員のスト参加は学園の団交拒否に対する抗議行動とみられ、また、校務の運営に重大な支障もなかったところから、これを理由とする分会員らに対する各処分は不当労働行為である。
1102 業務命令違反
学園がX2を好ましくない教諭とみており、同人が組合員であることを明らかにした以降はますます同人を排除しようと考えていたこと、同人が精力的に組合活動を行なっていたこと、国語科の教諭が余るという疎明がないこと等を総合すれば、同人の解雇は配転拒否に藉口してなした不当労働行為である。
0500 勤務成績不良
1102 業務命令違反
1200 降格・不昇格
1401 労務の受領拒否
X3教諭に対する勤務態度不良を理由とする講師格下げには合理性がなく、これに加えて同人が講師の辞令を返上した後も授業中止を命じたことはなかったが、組合員であることを知るや直ちに授業をさしとめていること等からみれば、X3の解雇は同人の活発な組合活動を嫌悪してなした不当労働行為である。
2234 団交の場以外での違法・不当行為
2244 特定条件の固執
組合の団交申入れに際しての不穏当な態度は、学園の不誠実な態度にもとづくもので、組合が反省のうえ陳謝しなければ正常な団交を開けないとの学園の主張は、単なる口実であって正当な団交拒否の理由とはいえない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
分会員による分会ニュースの配布を職制が中心となって妨害したり、配布済みのビラを回収破棄し、「校舎校地管理要項」を校舎校地内でのビラ配布、掲示等の組合活動を一切禁止するとの学園の方針を実現するための手段として用いたことは、学園の支配介入行為である。
1401 労務の受領拒否
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
校長が、教職員の朝会の席上、申立人組合を批判し、また、分会員X3が組合員であることがわかると、同人の授業を一切差しとめた行為は、学園の支配介入行為である。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
教頭が、分会書記長に対して、組合運動に対する批判的発言をしたり、転職をすすめた行為は、学園の支配介入行為である。
4602 組合との協議を命じた例
学園に、支配介入行為が認められる反面、分会にも、正当な組合活動の範囲を逸脱していると思われる行為が認められるので、学園内における正常な労使関係を確立するために、校内における組合活動に対する許容基準等について団交によって決めることが必要である。
5147 その他
分会員X2の配転、同X3の講師への格下げについては救済申立がないから、両名を復職の上、身分問題について、学園が申立人組合と団交を行なってきめることが望ましい。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集43集538頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1971年3月1日 118号 62頁 
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