概要情報
事件名 |
吉田鉄工所 |
事件番号 |
大阪地労委昭和44年(不)第42号
大阪地労委昭和44年(不)第50号
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申立人 |
全大阪金属産業労働組合 |
被申立人 |
株式会社 吉田鉄工所 |
命令年月日 |
昭和45年 5月14日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
組合を誹謗、中傷する文書の掲示、組合員宅訪問や、文書発送による組合脱退勧誘、別組合と差別しての組合掲示板不提供および残業拒否等を行なった事件で、掲示板の提供、残業について不利益取扱いの禁止、陳謝文の掲示を命じた。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、全大阪金属産業労働組合吉田鉄工所分会に対して、全国金属産業労働組合同盟吉田鉄工所労働組合に提供したのと同様な条件 (大きさ、設置場所) で、直ちに掲示板を提供しなければならない。 2. 被申立人は、時間外労働を、上記分会会員に対しても、分会員以外の従業員に対すると同様にさせなければならない。 3. 被申立人は、縦1メートル以上、横2メートル以上の白色木板に、下記のとおり明瞭に墨書して、すみやかに、会社本社事務所の入口付近の従業員の見やすい場所に 1週間掲示しなければならない。 記 全大阪金属産業労働組合 委員長 X1 殿 吉田鉄工所分会 分会長 X2 殿 株式会社 吉田鉄工所 取締役社長 Y1 当社は、貴組合および貴分会に対し、貴組合及び貴分会を誹謗、中傷する文書を掲示したり、分会員宅を訪問しあるいは分会員宅に文書を郵送して分会員が貴組合から脱退することをすすめたり、貴分会には掲示板を提供しなかったり、貴組合の分会員に対してのみ時間外労働をさせない取扱いをするなどの不当労働行為を行なったことを陳謝し、今後このようなことは行なわないことを誓約します。 以上大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。 4. 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1401 労務の受領拒否
2900 非組合員の優遇
組合機関紙に残業に対する批判的記事があったことは事実であるが、これは主として労働災害と請取り賃金制に対する非難であって、多少の誇張も見られるが、この程度の表現は一般的にみられ、これをもって組合が残業に非協力であるから、申立人組合員のみ残業をさせなかったとすることは首肯できない。
2620 反組合的言動
3500 処分の時期
会社が、「声明分」「告」等を掲示し、組合を非難したことは、その内容に事実無根の点があること、組合員の不用意な発言を引用していること、文書の掲示時期が他組合と組合員獲得等のため争っていた最中であったこと等の事情を勘案すると、組合を誹謗、中傷し、従業員の組合への加入の阻止、あるいは組合からの脱退を目的として行なったものと認められ、もはや言論の自由の範囲を越えた組合への支配介入行為といわざるを得ない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2622 組合員調査
3410 職制上の地位にある者の言動
会社の課長が組合員宅へ文書を郵送し、あるいは訪問して組合脱退をすすめたことは、文書の内容が会社からの呼びかけとなっていることや、会社の事務用品を使用していることからみて、会社の行為と認められ、明らかな不当労働行為である。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合掲示板の供与に関する団交の当初に、組合から条件が出されたことは認められるが、結局この条件は撤回され双方合意に達したのちに、突如として組合の当初の態度に対するわび状の提出を求め、これに固執して掲示板の供与を拒否したことは首肯しがたく、別組合に供与していることからみても不当労働行為といわざるをえない。
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業種・規模 |
鉄鋼業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集42集328頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1970年 7月 1日 102号 29頁 
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