概要情報
事件名 |
内田洋行 |
事件番号 |
大阪地労委昭和41年(不)第142号
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申立人 |
総評全国一般大阪地連内田洋行労働組合 |
被申立人 |
株式会社 Y1 |
命令年月日 |
昭和45年 1月23日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
組合員に対して、低い格付を行ない、その後資格の調整を行なわず、また、昇格に関する考課においても、不当に低く査定した事件で、昇給において、考課査定を「普通」として計算した額を下回らないこと、および組合あての陳謝文手交を命じ、他は棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、申立人組合員の、昭和41年度、昭和42年度および昭和43年度のそれぞれの昇給については、考課査定を別表IIの「普通」として計算した額(号数は最高号数に達するまで2号上昇額および定期昇給額)を下回らない額を支払わなければならない。 2. 被申立人は、下記陳謝文をすみやかに申立人に手交しなければならない。 記 年 月 日 総評全国一般大阪地連 内田洋行労働組合 執行委員長 X1 殿 株式会社Y1 取締役社長 Y2 陳 謝 文 当社は、貴組合員に対し、昭和41年度、昭和42年度および昭和43年度の昇給において差別したことは、組合弱体化を意図して行なった労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であったことを認め、ここに陳謝するとともに、今後このような行為を繰返さないことを誓約します。 以上、大阪府地方労働委員会の命令により手交します。 3. 資格の格づけならびに昭和39年度および昭和40年度の昇給に関する部分は却下する。 4. 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
昇給のための考課査定において、組合員を他の従業員と比較して低く査定したことは、合理的な評価基準が不明確であること、組合脱退者については異常に高く査定していること、従来ことごとく労使が対立してきたこと等を考えあわせると、不当労働行為と推認される。
1200 降格・不昇格
昇格試験を受験しなかった者の昇格例がない以上、昇格試験未受験者である組合員を特に不利益に扱ったとはいえない。
5008 その他
組合は、従業員各自の考課査定を事前に開示するよう求めているが、考課査定を事前に開示するか否かは会社の裁量に属するものであって、かかる請求は容認できない。
5201 継続する行為
新賃金体系による資格の格づけに不利益扱いがあっても、格づけが行なわれてから申立日まで既に 1年以上を経過しており、継続する行為とはいい難く、救済の対象とすることはできない。
5201 継続する行為
昇給は、1回限りの行為であって継続行為とはいえないから、申立日まで1年以上経過していれば救済の対象とはなり得ない。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集42集55頁 |
評釈等情報 |
別冊ジュリスト 労働判例百選(第4版) 香川孝三 S-56-8-15 266頁 
労働判例 1970-4-1 96号 30頁 
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