労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  高松地裁平成29年(行ウ)第5号
カズ・エクスプレス不当労働行為救済命令取消請求事件
原告  有限会社X(「会社」) 
被告  香川県(処分行政庁・香川県労働委員会) 
被告補助参加人  A1労働組合Z労働組合(「組合」) 
判決年月日  平成29年12月8日 
判決区分  却下 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、
① 組合員A2に対する平成27年4月2日付け整理解雇並びに同A3に対する同年3月31日付け解雇予告及び同年4月30日付け普通解雇、
② 両名に対する業務配分差別及び組合員に対する調整手当等の減額・不支給、
③ 組合が申し入れた団交に対する団交拒否及び不誠実団交、
④ 組合の団結権等を侵害する行為、
をしたことが不当労働行為に当たるとして救済申立てのあった事件で、香川県労働委員会は、会社に対し、解雇の取消し及びバックペイを命じ、その余の申立てを棄却した。
2 会社は、これを不服として高松地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は、これを却下した。  
判決主文  1 本件訴えを却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。 
判決の要旨  1 訴えの利益
 労働委員会による救済命令の発出後に事情の変更があり、救済命令の履行が客観的に不可能となった場合や、救済命令の内容が他の方法によって実現された場合には、救済命令は、その時点以降はその基礎を失い、その拘束力を失うと解される。そして、救済命令の拘束力が失われた場合には、使用者は、それ以降は救済命令に従うべき義務はなくなるのであるから、原則として、救済命令の取消しを求める法律上の利益(行政事件訴訟法9条1項)は存せず、訴えの利益は失われると解される。
 本件では、会社が既に事業を停止しており、破産手続開始決定がされていることからすると、組合員A2及びA3を原職に復帰させることを命じた部分は、その履行が客観的に不可能となったものといえる。また、会社が、破産手続開始申立てに先立ち、両名に対し、各解雇の日以降の賃金相当額等の支払をしたことからすると、本件救済命令のうち賃金相当額等の支払を命じた部分は、その内容が他の方法によって実現されその目的が達せられたものといえる。
 そうすると、本件救済命令は、その基礎を失っており、既に拘束力が失われているから、会社がその取消しを求める法律上の利益は失われたというべきである。
2 結論
 よって、本件訴えは不適法であるから却下することとする。 
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
香労委平成27年(不)第3号 一部救済 平成29年2月28日
 
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