概要情報
事件名 |
北海道旅客鉄道(北労組団交) |
事件番号 |
東京地裁平成19年(行ウ)第422号 |
原告 |
北海道旅客鉄道株式会社 |
被告 |
国(処分行政庁 中央労働委員会) |
参加人 |
JR北海道労働組合 |
判決年月日 |
平成21年2月5日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、組合が新協約を締結するよう団体交渉(以下「本件団体交渉」)を申し入れたところ、会社が、①掲示物等の表現等に関して会社と解釈・認識を一致させなければ新協約を締結しないという態度に固執し不誠実な対応をとったこと等が不当労働行為に当たるとして、救済申立てのあった事件である。
初審北海道労委は、本件救済申立てを全部認容し、誠実団交応諾及び文書掲示等を命じたところ、会社はこれを不服として再審査を申し立てた。中労委は、誠実団交応諾及びこれに関する文書手交を命じ、その余の本件再審査申立てを棄却した。
会社は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、会社の請求を棄却するとの判決を言い渡した。
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判決主文 |
会社の請求を棄却する。 |
判決要旨 |
1 本件団体交渉における会社の対応が誠実な交渉を行わないものであったといえるか
(1) 会社が、問題としていた「掲示物等に対する解釈・認識の不一致」とは、組合が平成16年2月1日付けで札幌車掌所所属車掌から釧路運輸車両所への転勤命令(以下「本件転勤命令」)を不当と主張して掲出した掲示物や組合機関紙に記載した具体的な文言であり、会社は、組合が本件転勤命令に関して掲出した掲示物や組合機関紙の具体的な文言についてその非を認めない限り、新たな労働協約を締結しないという態度で本件団体交渉に臨んでいたということができる。
ところが、本件団体交渉当時の状況は、本件転勤命令をめぐり、会社と組合との間で対立が生じ、本件掲示物等の表現について、組合が自らその非を認めることはおよそ期待することができないものであった。しかるに、原告は、こうした状況を認識しながら、組合がその非を認めない限り、新たな労働協約を締結しないという態度をとっていたのであるから、その態度に固執すると、本件団体交渉が暗礁に乗り上げ、結局、新たな労働協約の締結に至らないことは予期することができていたものといわなければならない。
(2) したがって、会社が、本件団体交渉において、掲示物等協議事項に関して組合がその非を認めない限り、新たな労働協約を締結しないという態度をとり続けたことは誠実な交渉を行わなかったものといわざるを得ない。
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