概要情報
事件名 |
社会福祉法人幸風会 |
事件番号 |
鹿児島地裁 平成16年(行ウ)第9号 |
原告 |
社会福祉法人幸風会 |
被告 |
鹿児島県労働委員会 |
被告補助参加人 |
芙蓉苑労働組合 |
判決年月日 |
平成19年1月23日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、介護施設を経営する社会福祉法人Yが、非常勤職員であった組合員Xら3名を雇用止めにするなどしたため、組合がこれらを不当労働行為であるとして争われた事件である。 初審鹿児島地労委は、Yの行為が不当労働行為であると認めて救済命令を発したところ、Yが、この救済命令のうち、組合員Xら3名の現職復帰を命じた部分の取消を求め訴えを提起した。 同裁判所は、初審命令を支持し、Yの請求を棄却した。 |
判決主文 |
1.原告の請求を棄却する。 2.訴訟費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
① 組合は、組合結成時にYの苑長にXらが執行委員として記載された通告書を手交していること等から、Yの代表者が明確にXらが組合の執行員であることを知っていたことが認められ、Xらに限って全員雇止めにしているのであるから、Xらの雇止めとXらが組合の執行委員であることの間に因果関係を推認することができるとされた例。 ② 本件における採用、雇止めの実態、仕事内容、採用時及びその後におけるYの代表者の言動等から総合的に判断すれば、Yとしても、単に期間が満了したという理由だけではYにおいて雇止めを行わず、また、Xらにおいても雇用関係が継続するとの期待、信頼を抱いていたものということができ、そのような相互関係の下、労働契約関係が維持、継続されたきた実態があると推認でき、形式的な雇用期間を定めた非常勤職員雇用契約及びその契約書や平成12年度の雇用契約の際のYの代表者とXらとの面談及びXらの雇用期間についての認識が認められるものの、これらの事実は右記推認を妨げるものではなく、YとXらとの雇用関係が継続雇用を期待させる相互関係があったと認められるとされた例。 ③ 本件雇止めについて、正当な理由があるというYの主張(適性試験等の総合判定によって雇用契約更新の判断をした旨)を検討しても、本件適性試験の内容や判定方法等に正当性が保たれているとは認められず、当該試験が制度として確固たるものでないことからすれば、雇い止めとして正当な理由があるとのYの主張の事実を認めることはできないとされた例。 ④ 右記1から3により、YがXらと平成13年度を雇用契約とする有期雇用契約を締結し、平成14年3月31日が経過したことにより雇用期間が終了したことをもって、Xらと平成14年度における雇用契約を締結しなかったことは、Xらが組合員であったことによるものであって、労働組合法7条1号本文前段に規定するところの不当労働行為にあたると認められるとされた例。 ⑤ 以上のことから、Yの本件請求には理由がないから、これを棄却するとされた例。 |