概要情報
事件名 |
和歌山信用金庫
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事件番号 |
和歌山地裁昭和41年(行ウ)第6号
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原告
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和歌山信用金庫
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被告
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和歌山地方労働委員会
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参加人
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和歌山信用金庫労働組合
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判決年月日
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昭和43年12月13日
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判決区分
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棄却
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重要度 |
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事件概要 |
1 金庫が、従業員に組合を非難中傷する文書を配布して、組合員に動揺を与え、組合脱退者を続出せしめたことが、不当労働行為であるとして争われた事件である。
2 和歌山地労委は、金庫に対し、文書配布等の方法による支配介入を禁止するとともに、陳謝文の手交とポストノーティスを命じた。
本件は、これを不服として、金庫が和歌山地裁に行政訴訟を提起した事件であるが、同地裁は金庫の請求を棄却した。
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判決主文 |
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は、原告の負担とする。
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判決の要旨 |
1 文書の配布は組合の争議行為に対抗するために金庫がとった手段であって、争議行為を批判し、組合員に対しストの中止を呼びかけたものであることが判る。このような行為は使用者の意見の表明にとどまる限り、言論自由の原則の発露として是認さるべきであるけれども、それがなされた前後の情況に照らし組合員に対し威嚇的効果を有するものと認められる場合には団結権に対する不当な干渉として排斥さるべきである。
2 これを本件について見るに、文書の配布が組合員の心理に動揺を与え、ストに参加するときは金庫から如何なる不利益を与えられるかも知れないという恐怖心を抱かせたこと、文書の配布により組合は全面ストを断念し、又半日ストを時限ストに変更せざるを得なかったこと、約150名の組合員中35名が一挙に組合から脱退した事実を認めることができるのであって、以上の事実によれば文書の配布が組合員を威嚇してストの不参加、更には組合からの脱退を強制する効果を有していたことを認めるに足る。
そうだとするならば、文書配布行為は組合運営への支配介入である。
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掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集9・10集369頁 |
その他 |
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