事件名 |
一森 |
事件番号 |
東京高裁平成14年(行コ)第215号
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控訴人 |
株式会社一森 |
被控訴人 |
中央労働委員会 |
被控訴人参加人 |
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 |
判決年月日 |
平成15年 1月30日 |
判決区分 |
控訴の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、株式会社千石、株式会社一森及び有限会社イチモリが、全日
本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の千石分会の組合員2名を解雇したこと及びこのことに関する団体交渉申入れに応じ
なかったこと等が、それぞれ不当労働行為に当たるとして争われた事件である。
大阪地労委は、(1)株式会社一森及び有限会社イチモリは組合員2名の解雇をなかったものとし、株式会社一森において同人
らを従業員として取り扱い、バック・ペイを支払うこと、(2)株式会社一森は、団体交渉申入れに速やかに応じること等を命
じ、その余の申立てを却下したところ、労使双方から再審査の申立てがなされ、中労委は初審命令のうち、有限会社イチモリに対
する救済申立てを却下し、その余の各再審査申立てを棄却したところ、これを不服として株式会社一森が行政訴訟を提起した。
原審の東京地裁は、中労委の命令を支持したため、株式会社一森が控訴したが、東京高裁は、控訴を棄却した。 |
判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は、控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
1100 雇用関係の存否
2620 反組合的言動
イチモリの設立に当たって生コン運転手の使用者が一森からイチモリに変わることについて、一森の代表取締役であるY1がX1
ら2名を含め生コン運転手に対して十分な説明を行っていないこと、イチモリ設立後も生コン運転手の労働実態に何ら変化はな
かったこと、イチモリの設立目的は労働組合対策を主眼とするものであったと推認されることによれば、会社とイチモリは形式的
には別法人であるが、イチモリの法人格は形骸にすぎず、実質的に同一であり、かつ、イチモリの設立は会社制度を濫用するもの
といえるから、X1ら2名とイチモリとの間に雇用関係が認められるとしても、会社は、X1ら2名に対し、信義則上、イチモリ
とは別の法人格であるとはいえず、一森はX1ら2名の使用者に当たるとした原判決は相当である。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
中央労働時報 2003年11月10日 1019号 35頁
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