事件名 |
一森 |
事件番号 |
東京地裁平成13年(行ウ)第62号
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原告 |
株式会社一森 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 |
判決年月日 |
平成14年 6月13日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が組合の構成員である従業員を解雇したこと及び組合と
の団体交渉に応じないことが不当労働行為であるとする組合の救済申立てに対し、大阪地労委が会社は労組法二七条二号の使用者
にあたるとした上で救済命令を発出し、これを不服とした会社の再審査申立てを棄却した被告の命令について、会社がこれを違法
として取消しを求めたが、東京地裁は、会社の請求を棄却する判決を言い渡した。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、補助参加によって生じたものを含め、原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
4911 解散事業における使用者
イチモリ設立により生コン運転手の使用者が原告(一森)からイチモリに変わることについてY1が十分な説明を行っていないこ
と、イチモリ設立後も生コン運転手の労働実態に何ら変化はないこと、イチモリ設立が労働組合対策を主眼とするもので、これは
会社制度を濫用するものというべきであること、以上に鑑みると、X1らとイチモリとの間に雇用関係が認められるとしても、原
告は、X1ら2名に対し、信義則上、原告がイチモリとは別の法人格であることを主張することができないというべきである。し
たがって、労組法七条適用の関係において、原告はX1ら2名の使用者というべきである。
1800 会社解散・事業閉鎖
2130 雇用主でないことを理由
原告及びイチモリの代表取締役を兼ねるY1は、労働組合対策としてイチモリを設立し、X1ら2名が補助参加人に加入したこと
を知った直後にイチモリの解散を決意し、組合員であったX1ら2名には秘密裡に、同人らを除くイチモリの全従業員を企業組合
に移籍させた上で、イチモリを解散させ、これを理由にX1ら2名を解雇するとともに補助参加人からの団交申入れを拒否してい
ることからすれば、本件解雇及び本件団交拒否は、同人らの労働組合への加入と労働組合員としての活動を理由として、解雇とい
う不利益取扱いをし、かつ、このような不利益取扱いを通じて組合の運営に支配介入し、さらに団体交渉を正当な理由なく拒んだ
ものであるから、本件解雇は労組法七条一号、三号、また本件団交申入れの拒絶は同条二号の不当労働行為に当たる。したがっ
て、本件命令の判断は正当であって、違法はない。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集37集487頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 2003年6月10日 1014号 45頁
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