事件名 |
大阪府/大阪府教育委員会 |
事件番号 |
大阪高裁平成13年(行コ)第46号
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控訴人 |
大阪教員合同労働組合 |
被控訴人 |
大阪府地方労働委員会 |
被控訴人参加人 |
大阪府 |
判決年月日 |
平成14年 1月22日 |
判決区分 |
控訴の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、(1)平成4年度夏季一時金等に関する不誠実団交、(2)
組合との協議中に他の職員団体と妥結した臨時的教務事務報酬等の支給、(3)非常勤講師等の平成7年度の夏季一時金の支給及
び報酬単価に関する団交拒否、(4)臨時的教務事務報酬等の不支給が不当労働行為に当たるとして争われた事件である。
大阪地労委(平成4年(不)第26号、平成5年(不)第13号、平成7年(不)第69号、平成11・12・24決定)が、
(1)大阪府に対する申立てのうち、非常勤講師等への臨時的教務事務報酬等の支給を求める部分は棄却し、その余の申立ては却
下し、(2)大阪府教育委員会に対する申立ては却下したところ、これを不服として組合が行政訴訟を提起した。
原審の大阪地裁(平13・5・9決定)は、大阪地労委の命令を支持したため、組合が控訴したが、大阪高裁は、控訴を棄却
し、原審を支持した。 |
判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は、控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
4822 混合組合
労働組合と職員団体についてはその法的根拠を労組法と地公法により区別がなされており、1個の労働団体が職員団体たる性格と
労働組合たる性格を兼ねることを予定しておらず、単労職員が職員団体又は労働組合のいずれを結成、若しくは加入することが可
能であるとしても、いったんそのいずれかを選択した以上は職員団体、労働組合のいずれかの法的性格しか有しないというべきで
あり、1個の労働団体が職員団体、労働組合の双方の法的性格を兼ねることはできないというべきであるから、本件において職員
団体たる法的性格を有する混合組合に加入した職員に対する不利益取扱いに関しては、職員団体たる法的性格を有する混合組合に
加入した労組法適用職員に対する不利益取扱いと混合組合の団体としての活動に対する不当労働行為は区別し、労組法適用労働者
に関する不利益取扱いに関してだけ、当該混合組合に申立人適格を認めるのが相当である。
4822 混合組合
混合組合が労働組合か職員団体のいずれの法的性格を有するかを判断するには、その構成員の量的割合をもって判断するのが最も
合理的であり、それで容易に判断できない場合は役員構成等の質的な要素から判断するのが相当であり、更に質量から見て判断が
困難な場合にあっては、混合組合設立の趣旨、目的、沿革や過去の使用者(当局)との交渉経過などから決せざるを得ない。
2113 交渉団体として不適格
4822 混合組合
公務員は、現業職員であると非現業職員であるとを問わず、団体交渉権が憲法上保障されておらず、地公法により交渉権が、地公
労法により団体交渉権がそれぞれ規定されており、地公労法五条は、現業職員が労働組合を結成し、これに加入することができる
と規定し、労組法六条は、労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者が交渉する権限を有すると規定していることから、現
業職員は地公労法上の労働組合を通じてのみ団体交渉権を行使することができることは明らかであり、職員団体たる法的性格を有
する混合組合にはもともと団体交渉権がないと解すべきである。
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業種・規模 |
地方公務(都道府県機関) |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集37集80頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 2002年9月10日 1002号 59頁
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