事件名 |
駸々堂(組合間差別) |
事件番号 |
大阪地裁平成 8年(行ウ)第134号
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原告 |
関西単一労働組合 |
被告 |
大阪府地方労働委員会 |
被告参加人 |
株式会社駸々堂 |
判決年月日 |
平成10年10月26日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)時間内の組合活動に係る労働協約の効力を否
定して、組合員に対して時間内の組合活動を理由に賃金カットを行ったこと、(2)組合が業務妨害や暴言等について謝罪しなけ
れば時間内組合活動休暇に関する団体交渉に応じないとしたことが争われた事件で、大阪地労委は、申立てを棄却した。
組合はこれを不服として大阪地裁に行政訴訟を提起したが同地裁は、組合の請求を棄却して地労委の棄却命令を支持し
た。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
5121 挙証・採証
労委は不当労働行為事件の解決に当たり、労使紛争の全体を考慮すべく釈明権を行使して、申立組合に別事件の資料等の提出を
促す義務があり、本件はこれを怠ったとの組合主張について、本件全証拠を精査しても、労委が立証を促すほど組合の立証活動が
不十分とは認められず、他事件の資料が本件の解決に不可欠とも認められないとして斥けた例。
1400 制裁処分
4834 労働者個人の意思
5123 審査中の組合脱退・退職等の取扱い
自己の分の救済は求めない旨文書を提出して意思表示した組合員4名を労委が救済申立てから除外したことについて、組合申立
てで組合員の権利利益回復を求める場合には、当該組合員が脱退した場合にも組合には救済を求める固有の利益があるから申立対
象から除外されないが、当該組合員が積極的に救済を求めない意思を表示し又は組合の申立てを通じて回復を図る意思がないこと
を表明したときは、組合はその意思に反して組合員の権利利益の回復を求めることは出来ないとして、労委命令が組合員4名を除
外したことは適法とされた例。
5124 その他の審査手続
労委が右文書の存在を告知しなかったことにより、組合は実効確保の措置勧告申立てや新たな救済申立ての機会を奪われたとの
組合主張について、かかる事実上の機会が奪われたとしても本件命令が違法となるものではなく、本件では労委は組合に告知して
おり、申立ての機会は十分にあったとして斥けた例。
4831 組織変更
書店労組の労働協約の効力が、後に旧組合と組織統一した連帯労組にも当然に及ぶとの組合主張について、連帯労組の結成は、
書店労組の執行部及びその支持派が闘争方針を否決されたことにより、一部組合員が書店労組を脱退して新たな労組を結成したも
のであるから、法的概念における労組の分裂とはいえず、また、会社が書店労組との労働協約を連帯労組に適用する意思を有して
いないので余後効を認める余地はないとして、上記組合の主張を斥けた例。
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
4831 組織変更
後に旧組合と組織統一した連帯労組に時間内組合活動を認めないことが、中立保持義務違反の組合間差別であるとの組合主張に
ついて、使用者は組合に就業時間内の有給の組合活動休暇を認める義務はなく、労組法上許容される範囲内の便宜供与として認め
るに過ぎず、全ての労組に当然に同一取扱いをしなければならないものではなくて支配介入や不利益取扱いに該当する場合のみ不
当労働行為となるのであり、会社が時間内組合活動を認めなかったのは、連帯労組が業務妨害行為を伴う違法な組合活動を繰り返
したので労働協約が締結されなかったことによるのであるから、不当労働行為ではないとして、上記組合の主張を斥けた例。
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
2244 特定条件の固執
会社が、時間内組合活動休暇に関する団交に入る前提として、後に組織統一した連帯労組及び旧組合に業務妨害等の3点につい
て謝罪を求めたことについて、連帯労組等が独自の見解に基づき、就業時間内に時間内組合活動休暇と称して一方的に職場離脱
し、業務妨害行為を伴う違法な組合活動を繰り返していた事実から、会社が便宜供与たる性格を有する同休暇の協議を行う前提と
して謝罪を求め、謝罪がない限り協議に応じないとしたことは不当とはいえず、また、会社は団交そのものを拒否しておらず、他
の議題については謝罪先議を持ち出すことなく応じていることから誠実団交義務に反せず、不当労働行為には該当しないとされた
例。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集33集732頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1999年12月 960号 35頁
労働判例 1999年4月15日 754号 52頁
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