労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  ネスレ日本(東京販売事務所・島田工場) 
事件番号  最高裁平成 3年(行ツ)第91号 
上告人  ネスレ日本 株式会社 
被上告人  中央労働委員会 
被上告人参加人  ネッスル日本労働組合外2組合 
判決年月日  平成 7年 2月23日 
判決区分  控訴審判決の一部破棄自判 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、社内には同一名称の申立外組合しか存在しないとの理由により、申立組合からの団交申入れを拒否したこと、(2)申立組合及び組合員から中止の申入れがあったにもかかわらず、同組合員の給与から組合費をチェック・オフし、これを別組合に交付したことが不当労働行為であるとして申立てがあった事件である。初審東京、静岡地労委は、それぞれ会社に対し、(1)団交応諾、(2)申立組合員の給与からの組合費チェック・オフの中止、(3)チェック・オフした組合費相当額の申立組合への返還を命ずる等の一部救済命令を発したが、これに対し、会社及び組合の双方から再審査の申立てがなされ、中労委はチェック・オフした組合費相当額に年5分の割合による金員を付加するなどの一部変更をしたほかは、初審命令を維持した。会社は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁はこの請求を棄却し、これを不服とした会社は、東京高裁に控訴したが、同高裁もこれを棄却したため、会社は最高裁に上告した。最高裁は、中労委命令のうち、『チェック・オフした組合費相当額及びこれに対する年5分の割合による付加金を申立組合支部に支払わなければならない。』とした部分につき、労働委員会の裁量権の合理的行使の限界を越えるものとして、二審判決を破棄し、一審判決の一部を取り消し、中労委命令のうち、該当部分を取り消すとともに、その余の会社の上告を棄却するとの判決を言い渡した。 
判決主文  原判決のうち別紙(1)及び(2)記載の各再審査命令部分に関する部分を破棄し、第一審判決のうち右各再審査命令部分に関する部分を取り消す。
 被上告人のした別紙(1)及び(2)記載の各再審査命令のうち同記載の各部分を取り消す。
 上告人のその余の上告を棄却する。
 訴訟の総費用はこれを6分し、その1を被上告人の、その余を上告人の負担とし、参加によって生じた訴訟の総費用はこれを6分し、その1を被上告補助参加人らの、その余を上告人の負担とする。 
判決の要旨  2114 組合の不存在
客観的にみて会社内に2つの独立した組合が存在し、会社はそれぞれについて団交応諾義務を有しているにもかかわらず、会社内には組合は1つしかないとして団交を拒否したことに正当な理由はなく、労組法7条2号の不当労働行為に当たるとした原審の認定判断は正当として是認できるとされた例

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
チェック・オフ協定を有する単一の組合が内部抗争により、会社内に2つの組合が事実上存在するに至った場合において、会社が、チェック・オフの中止を申し入れた一方の組合・同支部の存在を認識し、その所属組合員を把握した58年4月以降も、右の中止申入れを無視してその組合員らについてチェック・オフを続け、その控除額を他方の組合支部に交付したことが、一方の組合・同支部の運営に対する支配介入であり、労組法7条3号の不当労働行為に当たるとした原審の認定判断は正当として是認できるとされた例。

6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
一方の組合からのチェック・オフ協定の破棄通告、組合支部・同組合員からの中止申入れを無視して、会社がチェック・オフの継続と控除した組合費相当額を他組合支部へ交付した措置が不当労働行為に当たるとし、その救済措置として組合費相当額等を組合員個人に対してではなく、組合支部に支払うよう命じたことが、チェック・オフ協定の締結、組合員からの支払委任の認められない本件においては、不当労働行為救済措置としての原状回復の状態から著しくかけ離れ、労基法24条1項の趣旨にも抵触し、労委の裁量権の限界を超える違法なものとして取り消された例。

業種・規模  飲料・たばこ・飼料製造業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集30集75頁 
評釈等情報  判例タイムズ  875号 76頁 
判例時報 1524号  146頁 
労働判例  686号 15頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
東京地裁昭和61年(行ウ)第114号/他 請求の棄却  平成 2年 5月17日 判決 
東京地裁昭和61年(行ウ)第20号/他 請求の棄却  平成 2年 5月17日 判決 
東京高裁平成 2年(行コ)第75号 控訴の棄却  平成 3年 1月30日 判決 
 
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