事件名 |
石心会川崎病院 |
事件番号 |
横浜地裁昭和60年(行ク)第7号
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申立人 |
神奈川県地方労働委員会 |
申立人参加人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部 |
申立人参加人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部幸病院分
会 |
被控訴人 |
医療法人 財団石心会 |
判決年月日 |
昭和61年 2月28日 |
判決区分 |
一部認容 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、(1)組合書記長X1の昭和59年2月29日の年次有給休
暇を欠勤として取り扱うとともに、同人を戒告処分に付したこと、(2)同X1を医事課から地域保健部へ配置換えし、これを拒
否したことを理由に同人を出勤停止処分に付したこと、(3)組合ニュースに虚偽があるとして、その撤回と自己批判を要求して
団交を拒否したことが争われた事件で、神奈川地労委は、(1)年次有給休暇としての取扱い、(2)戒告処分の撤回、(3)配
転命令の撤回、(4)原職復帰、(5)出勤停止処分の撤回、(6)団交応諾、(7)支配介入の禁止について緊急命令の申立て
を行ったが、地裁はこのうち(1)、(4)、(6)及び(7)について認容し、(2)、(3)及び(5)については申立てを
却下した。 |
判決主文 |
1 被申立人は、申立人が昭和60年4月30日なした神労委昭和
59年(不)第10号不当労働行為 救済申立事件の救済命令に従い、右当事者間の当裁判所昭和60年(行ウ)第22号不当労
働行 為救済命令取消請求事件の判決確定に至るまで、
(1)補助参加人X1の昭和59年2月29日の不就労を年次有給休暇として取扱わなければならない。
(2)補助参加人X1を同人に対する昭和59年4月28日付配置転換命令前の原職に復帰させなければならない。
(3)補助参加人総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部幸病院分会が申し入れる団体交渉を、同分会が作成した組合ニュースの内容の撤回及び自己批判がないことを
理由に拒否してはならない。
(4)
補助参加人総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部幸病院分会が作成した組合ニュースの内容の撤回及び自己批判を団体交渉開催の前提条件として、同分会の運営に支
配介入してはならない。
2 申立人のその余の申立を却下する。 |
判決の要旨 |
7319 配車、交番の差別等具体的な職務上の不利益取扱いの是正を命じた労委命令に係る決定事例
年休を認めず不就労とした日を年休として取扱うことを求めた労委命令は一応相当であり、緊急命令を発する必要性があるという
ことができる。
7316 その他(一部認容された例、全部却下された例等)
配置転換命令前の原職に復帰させることを求めた労委命令は一応相当であり、緊急命令を発する必要性があるということができ
る。
7321 全部認容された例
組合が作成した組合ニュースの内容の撤回及び自己批判がないことを理由に団交を拒否することの禁止を求めた労委命令は一応相
当であり、緊急命令を発する必要性があるということができる。
7333 不作為命令に関する申立て(全部認容された例)
組合が作成した組合ニュースの内容の撤回及び自己批判を団交開催の前提条件として、組合の運営に支配介入することの禁止を求
めた労委命令は一応相当であり、緊急命令を発する必要性があるということができる。
7316 その他(一部認容された例、全部却下された例等)
X1の不就労を年休として扱い、原職復帰を命ずる緊急命令を発することにより、事実上不利益扱いは解消されるので、X1に対
する戒告処分並びに配置転換命令及び出勤停止処分撤回を命じた部分は緊急命令を発する必要性は認められない。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集21集499頁 |
評釈等情報 |
労働判例 480号 84頁
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