概要情報
事件名 |
日本国有鉄道東京駅 |
事件番号 |
東京地裁昭和61年(行ウ)第9号
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原告 |
国鉄労働組合 |
原告 |
国鉄労働組合東京地方本部 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
日本国有鉄道清算事業団 |
判決年月日 |
平成 3年 7月 3日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
駅助役らが、(1)駅事務室に神棚を設置し、組合員に対し礼拝を強要したこと、(2)組合員X1に対して懲戒処分等の通知を手交した際、組合からの脱退を強要し、組合を誹謗中傷したこと、(3)組合の掲示板約30枚を一方的に撤去し、業務用に転用したこと、(4)組合集会を妨害したこと、(5)組合員X2に対して不必要な学習をさせたうえ、他職場への降職的な配転に応ずるよう強要したこと、(6)組合員X2の合意もなく、配転通知を行い、発令したこと、(7)組合員X2が配転命令に応じなかったことを理由に、懲戒処分に付したことが争われた事件で、組合の申立てを棄却した。組合は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起していたが、同地裁は、組合の請求を棄却した。 |
判決主文 |
原告らの請求を棄却する。 訴訟費用は、補助参加によって生じたものを含め、すべて原告らの負担とする。 |
判決の要旨 |
2620 反組合的言動
管理者が国労組合員に対して組合員であることを誹謗しつつ神棚の礼拝を強要したという事実は認められないことから、これを不当労働行為には当たらないとした本件命令には組合の主張するような違法はない。
2620 反組合的言動
2700 威嚇・暴力行為
組合員X1に対する処分通知書交付の際の駅長らの言動はかなり厳しいものであったが、当時の国鉄においては職場規律の是正が緊急の課題であったという状況下においてなされたこと、X1に対する処分は違法な抗議集会を理由とするものであること及びX1が管理者に対して反抗的な態度をとったことなどからすると、右の言動は不当とはいえず、組合に対する支配介入に当たらない。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
掲示板の使用について権限を有する駅長の許可や労使の合意もなかったこと、掲示板の設置・使用の見直しは経営改善を目的とする職場規律の是正の一環としてなされたこと、掲示板を一職場一枚とする東京駅当局の方針が撤去の二ヵ月前には組合分会に伝えられていること、本屋及び改札について分会掲示板が一枚も認められなかったのは掲示物に管理職に対する誹謗、中傷があったこと等を総合考慮すると本件国鉄による分会掲示板の撤去は支配介入に当たるとはいえない。
3020 組合活動への制約
従来から行われていた組合集会について東京駅当局の黙示の許諾があったとはいえないこと、当局が警告を行う等の対応をとったのは職場規律の是正のためであったことからすれば、本件職場集会に対して警告を行ったことは不当労働行為に当たるとはいえない。
1300 転勤・配転
配転協定が個々の職員の配転に関し組合と会社の事前協議を義務付けているとはいえず、組合員X2の乗客に対する不適切な接客態度からすると、X2を改札業務から貨物業務に配転したことは不当労働行為に当たるとはいえない。
0411 怠業
0600 暴力行為
1102 業務命令違反
1400 制裁処分
本件配転が不当労働行為に当たらないことは明らかであり、X2が配転先に赴任せず、勤務を放棄し続け、東京駅構内において管理者に暴言を浴びせる等嫌がらせをしたことを理由として懲戒免職処分に付したことは不当労働行為に当たるとはいえない。
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業種・規模 |
分類不能の産業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集26集499頁 |
評釈等情報 |
 
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