事件名 |
日本シェーリング |
事件番号 |
東京地裁昭和62年(行ク)第28号
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申立人 |
中央労働委員会 |
被申立人 |
日本シェーリング 株式会社 |
申立人参加人 |
総評合化労連化学一般日本シェーリング労働組合 |
判決年月日 |
平成 2年 2月13日 |
判決区分 |
一部認容 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)昭和53~55年度の賃上げについて、稼働
率80%以下の者を賃上げ対象者から除外する旨の協定を一方的に押しつけたこと、(2)昭和52~55年の夏季・冬季一時金
に関して組合間差別を行ったこと、(3)昇給・昇格について組合員を差別的に取り扱ったこと、(4)組合に対して会社施設の
利用を拒否したこと、(5)チェック・オフを一方的に中止したことなどが不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、初
審の大阪地労委は、(1)80%条項の撤回と賃金差額の支払い、(2)各一時金の再査定と差額の支払い、(3)是正されるべ
き職位・職階への昇給・昇格、(4)会社施設について従来通り利用許可、(5)チェック・オフの再開を命じ、その余の請求に
ついては一部却下、一部棄却したところ、これを不服として労使双方から再審査の申立てがなされ、中労委は初審の大阪地労委の
一部救済命令を一部変更するとともにその余の再審査の申立てを棄却したところ、会社がこれを不服として行政訴訟を提起した。
これに対し中労委は、緊急命令の申立てを行ったところ、東京地裁は、会社は中労委命令にその一部を除き従わなければならな
い旨の緊急命令を決定した。 |
判決主文 |
1 被申立人は、被申立人を原告、申立人を被告とする東京地方裁判
所昭和62年(行ウ)第8号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決確定に至るまで、中労委昭和57年(不再)第36ないし
第39号及び昭和57年(不再)第56号事件について申立人がした昭和61年11月12日付け命令のうち、主文Iの第2(昭
和53年夏一時金に関する部分を除く。)第3及び第5(記の(2)
に関する部分を除く。)並びに第4項のうちX1、X2、X3、X4及びX5を昭和53年4月時点で右命令書別紙の資格級欄記載の資格級に昇格したものとしてそれぞれ取り扱
い同時期以降得たであろう賃金及び一時金相当額から既支給額を控除した金額並びにこれに対する年5分の割合による金員を支払
うべき旨を命じた部分に従え。
2 申立人のその余の申立てを却下する。
3 手続費用は、補助参加によって生じた費用を含めてこれを4分し、その3を被申立人の負担とし、その余のうち補助参加に
よって生じた部分は補助参加人の、その余は申立人の各負担とする。 |
判決の要旨 |
7318 その他(一部認容された例、全部却下された例等)
昭和53年冬季一時金ないし55年冬季一時金の是正を命じた部分については、その適法性に重大な疑義を見いだせず、また、必
要性があることも一応認められるが、53年夏季一時金の格差はわずかであり、適法性、必要性に疑問がある。
7318 その他(一部認容された例、全部却下された例等)
6級以上の昇格については勤務成績等を反映する制度がとられているから、全体の格差から直ちに不利益取扱いと認めることはで
きず、非組合員と同等の成績であるとの疎明に代わる事情がある者以外に対する救済命令の適法性には疑問がある。
7331 作為命令に関する申立て(全部認容された例)
会社施設貸与命令については、その適法性に重大な疑義を見いだせず、また、必要性があることも一応認められる。
7331 作為命令に関する申立て(全部認容された例)
チェック・オフ再開命令については、その適法性に重大な疑義を見いだせず、また、必要性があることも一応認められる。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集25集698頁 |
評釈等情報 |
判例時報 1363号 149頁
労働判例 558号 60頁
ジュリスト 松田保彦 979号 109頁
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