通知

厚生労働省発中0201第1号
令和3年2月1日
都道府県労働委員会会長 あて
中央労働委員会会長
( 公 印 省 略 )

労働委員会規則の一部を改正する規則の施行について

今般、当委員会は、労働委員会規則の一部を改正する規則(令和3年中央労働委員会規則第1号。以下、改正後の労働委員会規則を「新規則」という。)を定め、本日、公布したところである。
 今回の労働委員会規則(以下「規則」という。)の改正は、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)に基づく緊急事態宣言がされた場合等に、総会や公益委員会議等の会議(規則第3条の規定により委員会(規則第2条第3号に定める中央労働委員会及び都道府県労働委員会をいう。以下同じ。)に置かれる会議をいう。以下同じ。)を、ウェブ会議(新規則第16条の2第1項のウェブ会議をいう。以下同じ。)により開催することができること等の改正を行うものであり、本日、施行された。
 その要旨は下記のとおりであるので、御留意の上、その円滑な施行につき御配慮を願いたい。
 なお、本規則改正は、あくまでウェブ会議により会議を開催すること等を可能とするものであって、新規則に定める要件を満たした場合にウェブ会議により会議を開催すること等を義務づけるものではないので、御了知願いたい。

1 ウェブ会議関係

(1)総会や公益委員会議等の会議のウェブ会議による開催等(第16条の2の新設)

ア 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言がされたことその他これに準ずる事由により、会長等は、委員等に開催場所への参集を求めて総会や公益委員会議等の会議の議事を開くことが困難であると認める場合は、委員等に開催場所への参集を求めることなく、ウェブ会議により開催することができるようにしたものである。(第16条の2第1項)
 ウェブ会議とは、委員等が、その使用に係る電子計算機であって委員会の使用に係る電子計算機と接続した際に委員会が指定するプログラムを正常に稼働させられる機能を備えているものと委員会の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続し、相互に映像と音声の送受信により相手の状態を認識しながら通話をすることができる方法をいうものであること。具体的には、委員等と委員会との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保されていることが必要であること。
 「その他これに準ずる事由」とは、例えば、新型インフルエンザ等対策特別措置法によらない地方公共団体独自の緊急事態が宣言されたことや、震災等の大規模災害の発生した場合が考えられ、これらの事由によって委員等に開催場所への参集を求めて会議の議事を開くことが困難であるもの等をいうものであること。具体的にどのような場合にどの会議においてウェブ会議により会議を開催することを可能とするかについては、各労委の実情に応じ、あらかじめ要件等を検討しておくことが望ましいこと。

イ 委員等に開催場所への参集を求めて会議の議事を開く場合において、会長等は、災害その他の事由により一部の委員等が参集することが困難であると認めるときその他相当と認めるときは、当該委員等の申出により、ウェブ会議によって当該委員等を会議に参加させることができるようにしたものである。(第16条の2第2項)
 「災害その他の事由」とは、地震、津波、風水害、雪害等の災害のほか交通障害や事故等客観的に避けることのできない事由をいうこと。
 「その他相当と認めるとき」とは、一部の委員等について、例えば会議の開催場所に参集することが客観的に不可能ではないが、国又は地方公共団体の外出や移動の自粛要請等により当該委員等が会議の開催場所に移動することが、当該要請の趣旨からみて好ましくないと認められる場合などが考えられるものであること。

ウ 委員等がウェブ会議によって会議に参加する場合は、労働組合法第21条第3項等の規定による「出席」とみなすこととしたものである。(第16条の2第3項) アに記載のとおり、ウェブ会議では委員等と委員会との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保されている必要があることから、通信障害等により一部の委員等と映像又は音声のいずれかが送受信できなくなった場合には、労働組合法第21条第3項等の会議の定足数や議決の算定において、当該委員等を出席とみなすことはできないこと。
こうした場合の議事の混乱を防止する観点から、一部の委員等において通信障害が発生した結果、議事や議決に参加できない委員等が生ずる場合には、可能な限り議決を行うことは差し控える等通信障害発生時の対応について、あらかじめ検討しておくことが望ましいこと。

エ 委員等がウェブ会議によって会議に参加しようとする場合には、第三者がいる場所で会議に参加してはならないこととしたものである。(第16条の2第4項)
 「第三者がいる場所で会議に参加してはならない」とは、委員会の会議が非公開であることから、現に参集して行われる開催場所での会議と同様の環境を確保することを求めているものであり、会議に関係ない者が映像又は音声を視聴できる環境で参加してはならないものであること。
 これを担保するため、会長等は、会議の開始に先立って、ウェブ会議により会議に参加しようとする者が委員等本人であることはもとより、委員等が第三者のいる場所でウェブ会議により会議に参加していないことについて確認を行う必要があること。
 また、委員等が第三者のいる場所でウェブ会議により会議に参加している場合や、第三者のウェブ会議への不正アクセス等によりウェブ会議の秘密が担保されないおそれがある場合には、会長等は当該委員等との電気通信回線の通信の切断や会議の中止など会議の秘密を保持するために必要な措置を講ずることができるものであること。  

(2)地方公営企業等の職員に係る非組合員の範囲の認定手続(第28条の2第2項の新設)
 会長は、相当と認めるときは、地方公営企業等の職員のうち非組合員の範囲の認定に係る事実の調査の手続において、関係者を出頭させる代わりに、関係者と委員会を電気通信回線又は電話回線で接続し、手続に関与させることができるようにしたものである。
 「相当と認めるとき」とは、関係者が委員会と接続することが可能な電気通信回線又は電話回線及び機器等を用意できる場合であって、かつ、関係者の出頭に代えて電気通信回線又は電話回線で関係者と接続し、関係者を手続に関与させたとしても、規則第28条の2第1項の事実の調査に支障がないと会長が認める場合をいうものであること。

(3)不当労働行為事件に係る調査の手続(第41条の2第5項の新設)
 会長は、相当と認めるときは、不当労働行為事件に係る調査の手続において、当事者又は関係人(以下「当事者等」という。)を出頭させる代わりに、当事者等と委員会を電気通信回線又は電話回線で接続し、手続に関与させることができるようにしたものである。
 「相当と認めるとき」とは、当事者等が委員会と接続することが可能な電気通信回線又は電話回線及び機器等を用意できる場合であって、かつ、想定される調査の内容等にかんがみ、当事者等の出頭に代えて電気通信回線又は電話回線で当事者等と接続して調査を行ったとしても、当該期日における調査が効率的・効果的に実施されることが見込まれると会長が認める場合をいうものであること。
 また、本条の規定により当事者等の出頭に代えて、電気通信回線又は電話回線で当事者等と接続する方法により、手続に関与させる場合には、当事者等の意見を聴いた上で、これを行う必要があること。
 当事者等のどちらか一方が、電気通信回線又は電話回線による接続ではなく、対面での参加を希望する場合には、当事者等のどちらか一方のみを電気通信回線又は電話回線による接続で参加させることも差し支えないこと。
 会長は、調査の開始に先立ち、本人並びに許可を得た代理人及び補佐人以外の第三者が、手続に関与しようとしていないことについて確認を行う必要があること。
 当事者等において通信障害が発生し、調査の手続に関与することができなくなった場合には、会長は当該当事者等に係る調査を進行させてはならないこと。
 なお、本項の規定による調査を行った場合には、調査調書に、その旨を記載すること。

(4)合議等のウェブ会議による開催(第42条の2の新設)
 会長は、公益委員会議又は部会を開いて行う救済命令等に係る合議について、新規則第16条の2第1項又は第2項に定めるところにより、ウェブ会議により行うことができるようにするとともに、合議に先立って行う労使参与委員の意見陳述について、労使参与委員を出席させる代わりに、ウェブ会議により意見を陳述することができるようにしたものである。
 ウェブ会議により合議に参加しようとする公益委員が、(1)エと同様に、第三者がいる場所で合議に参加してはならないことはもとより、本条の規定により意見陳述をしようとする労使参与委員にあっても、第三者がいる場所で、意見を陳述してはならないものであること。
 これを担保するため、会長は、合議の開始に先立って、ウェブ会議により会議に参加しようとする者が公益委員本人であること、公益委員が第三者のいる場所でウェブ会議により合議に参加していないことについて確認を行う必要があるほか、本条の規定により意見陳述をしようとする労使参与委員についても、意見を陳述しようとする者が労使参与委員本人であること、労使参与委員が第三者のいる場所で意見を陳述していないことについて確認を行う必要があること。
 また、ウェブ会議により合議に参加しようとする公益委員が、通信障害により合議に参加できない場合については、規則第43条第1項の判定を行ってはならないものであること。

(5)その他(第56条、第56条の2、第56条の3、第62条の3、第88条の改正)
 その他ウェブ会議等により、地方調整委員が不当労働行為事件の再審査の手続の一部を行う場合(第56条)、行政執行法人に係る不当労働行為事件を処理する場合(第56条の2、第56条の3)に必要な読み替え、準用についての規定を改正するとともに、ウェブ会議等により労働関係調整法第35条の3に基づく実情調査を行う場合(第62条の3)、地方調整委員に係る区域ごとの会議を開催する場合(第88条)に必要な準用規定を設けるものである。

2 行政手続のオンライン化関係(第9条、第10条の3、第10条の5の改正)

  令和元年5月、情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第16号)により改正された改正後の情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成14年法律第151号。以下「情報通信技術活用法」という。)が施行され、対面による本人確認・原本確認の必要性等から申請等及び処分通知等の一部についてオンラインにより行うことが困難又は著しく不適当と認められる部分がある場合として主務省令で定める場合には、当該部分を除いた部分についてのみオンラインで行うこととする規定(情報通信技術活用法第6条第6項、第7条第5項)が設けられたところである。これを受け、令和元年12月、委員会に係る行政手続については、対面により本人確認等をする必要があると「委員会が認める場合」において、部分的にオンラインで行うことができる規定が設けられたところである。(第85条の8、第85条の13)
 今般、当該「委員会が認める場合」について、不当労働行為事件の審査に係るもの又は労働組合の資格審査に係るもの等は、それぞれ公益委員会議又は部会の付議事項であることを明らかにしたものであること。



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