通知

中労委文発第360号
昭和52年4月11日
各地方労働委員会会長 あて
中央労働委員会会長

労働委員会規則の改正について

当委員会は、今般、労働委員会規則の一部を改正する規則(昭和五十二年中央労働委員会規則第一号)を定め、同規則は昭和五十二年四月十一日公布、即日施行された。

今回の規則改正は、昭和五十年七月全国労働委員会連絡協議会運営委員会決定により設けられた労委規則検討特別委員会の検討結果にもとづく同協議会の要望の趣旨を尊重し、不当労働行為事件の迅速かつ公正な処理を促進することを主眼として行つたものであり、その改正の要点及び運用にあたつての考え方は、下記のとおりであるので、ご留意の上、その円滑な施行につきご配慮を願いたい。

なお、前記特別委員会においては、規則改正に関する要望のほか、各労働委員会における運用の参考に資するため、現行規則の運用等に関し別添の確認、申合せが行われているので、併せてご留意の上、制度の効果的な運用に努められるようお願いする。

一 審査手続に関する趣旨の徹底について(第三十三条第四項の新設)
審査の円滑な進行を確保するため、当事者に対する労組法第七条第四号に規定する事項及び審査手続に関し必要があると認める事項の趣旨徹底について規定した。
趣旨徹底の方法としては調査開始通知書にこれらの事項を付記しあるいは調査期日において説示する等、適宜の方法によられたい。
二 審査の指揮について(第三十三条第六項の新設)
会長(審査委員)が当事者に対し必要な釈明を求め、又は立証を促す権限を有することは、改正前の規則のもとでも当然のことと 考えられるが、この権限の適切な行使の重要性にかんがみ、これを明記することとした。
三 申立ての承継について(第三十四条第一項第七号の改正)
申立人が死亡又は消滅した場合で承継人から承継の申出がないときの事務処理について、従来疑義があつたので、 承継人から承継を申し出ることができる期間を定めて明確化することとした。
四 答弁書について(第三十七条第二項ただし書の新設)
手続の簡易化と答弁書の提出遅延による審査の遅延の防止を図るため、被申立人が申立てに対する答弁を口頭で行いうる途をひらくこととした。
「会長が指定する期日」は、一般の調査期日ないしは第一回審問期日を利用すれば足り、答弁聴取のための特別の期日を指定する必要はない。なお、答弁聴取は第三十七条第六項により担当職員に行わせることができる。
口頭による答弁については同条第五項(審問期日における答弁については第四十条第十五項)により調書を作成する。なお、この調書には、申立てにかかる「不当労働行為を構成する事実」の主張に対する被申立人の認否等の要旨を簡潔に記載すれば足りるものである。
五 調査における労使委員の協力について(第三十七条第四項の新設)
労使委員の協力による調査の充実を図るため、会長(審査委員)が必要と認めたときは、労使委員の協力を求めることができることを明記することとした。
調査のどの段階において労使委員の協力を求めるかは、会長(審査委員)の判断による。
六 審査の実効確保の措置に関する勧告について(第三十七条の二の改正)
審査の実効確保の措置に関する勧告について、従前からの実情にかんがみ、当事者から申立てがあつたとき、又は会長(審査委員)が必要があると認めたときに公益委員会議の決定により行われるものであることを明らかにした。
当事者から申立てがあつた場合に、勧告を行うことを適当と認めるときはすみやかに勧告を行うべきであり、また、勧告を行うことが必要でないと認めるときでも、これに関する公益委員会議の決定については、当事者に知らせることは当然である。
七 証人尋問等について(第四十条第十項後段及び同条第十一項の新設)
証人尋問については、会長(審査委員)がまずこれを行いうることはいうまでもないが、当事者等が会長(審査委員)の許可を得て尋問する場合において会長(審査委員)が適当と認めるときは、会長(審査委員)に先立つて尋問を行うことができることを明らかにするとともに、当事者等が行う尋問、陳述につき相当でないものを制限しうることを明記することとした。
第十項後段により当事者に先に尋問を行わせる場合でも、会長(審査委員)は必要と認めるときはいつでも自ら尋問を行うことができることはいうまでもない。また、当事者による交互尋問方式をとる場合には、とくに第十一項の規定を励行し、証人尋問が適正に行われるよう努められたい。
八 審問における指示について(第四十条第十二項の新設)
会長(審査委員)が公正な審問の進行の確保のため必要な指示をする権能及び職責を有することは改正前の規則のもとでも当然のことと考えられ、従来から各労委の公益委員会議申合せ等により適宜な措置がとられているところであるが、この点に関する規定を整備することとした。
九 公示による通知、交付について(第四十九条の改正及び第四十四条第四項第五項の削除)
当事者の所在不明等のため調査開始通知及び申立書の送付並びに審問開始決定及び審問期日の通知ができない場合に公示の方法によりうることとし、これと従前の決定書、命令書の公示による交付の規定を統合することとした。
当事者の所在不明の認定その他公示が適当であるか否かの判断は、慎重に行われたい。
十 再審査の手続について(第五十一条第二項の改正及び第五十五条第二項の新設)
再審査の申立てに際し初審命令が認定した事実について不服とする箇所を明らかにさせることにより争点の明確化と証人整理等再審査の効率的運用を図ることとした。
また、事件の初審記録及び再審査申立書その他当事者から提出された書面等により再審査申立てに理由がないことが明らかである事案の場合など、審問を開くまでもない場合には審問を省略しうることを明らかにした。
十一 その他
(審問に出頭すべき者の指定)(第三十九条第三項の改正)
審問に出頭すべき者を指定できる場合の範囲について規定上疑義があつたことにかんがみ、規定を整備することとした。
(命令書の更正)(第四十三条第三項の新設)
命令書中の誤記等の表現上の誤りを訂正する必要が生じた場合の事務処理を明らかにした。
本項によつて訂正しうる誤りは、誤記、書き落し、計算誤りなど、命令書の全趣旨からみて明確に看取されうるものに限られる。また、同項はそのような明白な誤りである限り、公益委員会議の議を経るまでもなく、会長の判断によつて訂正できるものとする趣旨である。
命令書写しの交付後の訂正通知は、特段の事情のない限り通常郵便で足りる。
(通知・報告)(第五十条第二項及び第五十六条第二項の改正並びに第六十二条の二第三項の削除)
命令書の写しを交付した場合の地方裁判所への通知及び公益事業にかかる労働争議の実情調査を開始した場合の中労委への報告は、いずれもその実益に乏しいことにかんがみ、規則上の手続としては廃止することとした。
(その他)
以上の改正に伴い、関係規定につき所要の整理を行つた。
(注)別添の確認、申合せ・・・略。
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