平成21年7月31日

中央労働委員会事務局

第三部会担当審査総括室

室長  鈴木 裕二

Tel  03−5403−2172

Fax 03−5403−2250

エッソ石油(薬物規制団交)不当労働行為再審査事件
(平成10年(不再)第31号)命令書交付について

中央労働委員会第三部会(部会長 赤塚信雄)は、平成21年7月31日、標記事件に係る命令書を関係当事者に交付したので、お知らせします。命令の概要等は、次のとおりです。

〜団交拒否が継続しているとは認められず、申立期間を徒過したとされた事例〜

団交が6回にわたり行われ、最後の団交以降、本件救済申立てが行われるまで3年余の間、組合は会社に対して団交を要求していないのであるから、会社が団交を拒否し、それが継続しているとはいえず、本件救済申立ては労働組合法に定められた1年の申立期間を徒過したものであり、却下するのが相当である。

I 当事者

再審査申立人   スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合(以下「組合」)(大阪府豊中市)組合員33名(再審査審問終結時)

再審査被申立人 エクソンモービル有限会社(以下「会社」)(東京都港区)700名(再審査審問終結時)

II 事案の概要

本件は、会社が、従業員アルコール・薬物に関する基本方針(以下「本件基本方針」)を定めて実施し、その後、特定職務についての同意書(以下「同意書」)の提出を求め、本件基本方針に基づくアルコール・薬物等検査(以下「薬物等検査」)を実施したところ、(1)組合から申入れのあった本件基本方針に関する団体交渉(以下「団交」)に実質的に応じず、団交を拒否し続けたこと、(2)組合の合意を得ることなく、本件基本方針を定め、組合員に対して同意書の提出を求め、組合員らに薬物等検査を強制したことが不当労働行為であるとして、大阪府労働委員会(以下「大阪府労委」)に救済申立てがあった事件である。

大阪府労委は、本件救済申立ては、会社の行為のあった日から1年を超えてなされたものであるとして、組合の救済申立てを却下したところ、組合はこれを不服として再審査を申し立てた

III 命令の概要

1 主文

本件再審査申立てを棄却する。

2 判断の要旨

(1) 本件基本方針の制定、同意書の提出指示及び薬物等検査の実施について

本件救済申立ては5年12月27日になされたものであるところ、本件基本方針は元年12月6日に制定、同月15日に実施に移され、組合員に対する同意書の提出指示及び薬物等検査の実施は、4年2月4日以前になされたものであるから、これらの会社の行為に係る本件救済申立ては、労働組合法第27条第2項の申立期間を徒過していることが明らかである。

(2) 本件基本方針及び同意書に関する団交について

組合は、会社が本件基本方針は組合との協議事項でないとして、事実上、組合との団交を拒否していたものであり、また、組合が2年11月19日以降も本件基本方針に関する団交要求の趣旨あるいは意思を継続していたにもかかわらず、会社は団交拒否を続けていたのであるから、同団交拒否は継続する行為に当たり、申立期間を徒過していない旨主張する。

しかしながら、同日までの間、会社と組合の間で本件基本方針及び同意書に関する団交が6回にわたり行われ、同日の団交は両者の主張が対立したまま終了しているところ、組合は同日以降、同議題に関する団交を会社に対して申し入れていない。

そうすると、本件において、会社が団交を拒否したとはそもそもいえず、それが継続していたとみることもできない。したがって、団交拒否に係る本件救済申立ては申立期間を徒過したものである。

また、組合が、元年12月13日から2年11月19日の間に行われた6回の団交における会社の対応を誠実団交義務違反として問題にしているとしても、本件救済申立ては、最後の団交の日から1年を超えてなされているので、この場合においても、申立期間を徒過していることは明らかである。

(3) 結論

上記のとおりであり、救済申立てを却下した初審命令は相当である。

【参考】

1 本件審査の概要

初審救済申立日 平成5年12月27日(大阪府労委平成5年(不)第82号)

初審命令交付日 平成10年8月19日

再審査申立日   平成10年8月25日(労)


トップへ