Ministry of Health, Labour and Welfare

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自立支援医療について


障害に係る公費負担医療制度に関する見直しの必要性

 同じ障害者なのに、制度の違いにより負担軽減の仕組みが異なり、その統一が必要。
 更生医療、育成医療の対象者の半数以上は、一定の負担能力が認められる課税世帯であり、給付の重点化が必要。
 精神通院医療、更生医療の対象者(人口の約1%)は急増し、財政的に極めて厳しい状況に。
↓
医療内容面での取り組み
 医療機関の確保と透明化を促進。
 医療機関の指定制
 支給決定の有効期間等の見直し

 対象者の判断基準(診査指針等)や医学進歩に応じた医療内容の明確化
 実証的な研究の促進
制度面での取り組み
 給付対象者の重点化
 負担能力、相当額の継続的負担
 支給決定の有効期間等の見直し

 負担に係る各制度間の矛盾の解消
 入院・在宅の負担の公平化等
 医療費と所得に応じた負担に統一
 入院の食費負担(標準負担額)
↓
 必要な医療を確保しつつ、費用を皆で負担し支え合うことにより、中長期的な障害者制度全体の持続可能性を確保(福祉・医療のバランスのとれた財源配分の確保)


障害に係る公費負担医療制度の概要

○精神通院医療(※)
精神通院医療の図
○更生医療、育成医療
更生医療、育成医療の図

  精神通院医療
(昭和40年創設)
更生医療
(昭和29年創設)
育成医療
(昭和29年創設)
対象疾患 精神疾患 視覚障害、聴覚障害、
肢体不自由、内部障害 等
視覚障害、聴覚障害、
肢体不自由、内部障害 等
対象年齢 全年齢 18歳以上 18歳未満
月平均
利用件数
約70万件
(平成14年)
約8万件
(平成14年)
約1万件
(平成14年)
1件平均
医療費
約3.2万円
(通院のみ)
約40.0万円
(入院・通院)
約41.2万円
(入院・通院)
平均負担額 約1,600円/月 約3,200円/月 約5,600円/月
課税世帯割合 約1〜2割(推計) 約5〜6割 約7〜8割

※ 平成7年に公費優先から保険優先に転換する前は、精神通院医療の自己負担は健保本人5%、家族15%であった。


障害に係る公費負担医療制度の再編について
第54条第1項等関係
障害に係る公費負担医療制度の再編についての図


(公費負担医療の利用者負担の見直し)
ー医療費と所得に着目ー
第58条第3項第1号関係
  医療費のみに着目した負担(精神通院)と所得にのみ着目した負担(更生・育成)を、次の観点から、「医療費と所得の双方に着目した負担」の仕組みに統合する。

 制度間の負担の不均衡を解消する。(障害者間の公平=医療費の多寡・所得の多寡に応じた負担

 必要な医療を確保しつつ、制度運営の効率性と安定性を確保する。(障害者自らも制度を支える仕組み)

医療保険の給付率(医療費の3割)のグラフ


自立支援医療の対象者、自己負担の概要

第54条第1項、第58条第3項第1号関係

1.対象者: 従来の更生医療、育成医療、精神通院医療の対象者であって一定所得未満の者(対象疾病は従来の対象疾病の範囲どおり)
2.給付水準: 自己負担については1割負担網掛け部分)。ただし、所得水準に応じて負担の上限額を設定。また、入院時の食費(標準負担額)については自己負担。

表
※1  
(1)   育成医療(若い世帯)における負担の激変緩和の経過措置を実施する。
(2) 再認定を認める場合や拒否する場合の要件については、今後、実証的な研究結果に基づき、制度施行後概ね1年以内に明確にする。
※2 重度かつ継続の範囲については、次葉資料を参照。
※3 「一定所得以上」かつ「重度かつ継続」の者に対する経過措置は、施行後3年を経た段階で医療実態等を踏まえて見直す。


重度かつ継続の範囲
第54条第1項、第58条
第3項第1号関係

1.  医療上の必要性から継続的に相当額の医療費負担が生ずる者については、月額の負担の上限を設けることが適切であることから、中間層において、5千円又は1万円(一定所得以上については経過措置として2万円)の上限を設定。

2.  「重度かつ継続」の範囲については、現時点では次のとおり提示しているが、実証的な研究結果を踏まえ、順次、対象の明確化等を図る。

疾病、症状等から対象となる者

  精神  (1)  統合失調症・躁うつ病・うつ病・てんかん・認知症等の脳機能障害
薬物関連障害(依存症等)
 (2)  3年以上の精神医療の経験を有する医師により、以下の病状を示す精神障害のため計画的・集中的な通院医療(状態の維持、悪化予防のための医療を含む。)を継続的に要すると診断された者として、認定を受けた者
情動及び行動の障害
不安及び不穏状態

  更生・育成    腎臓機能・小腸機能・免疫機能障害

疾病等に関わらず、高額な費用負担が継続することから対象となる者

 医療保険の多数該当の者


育成医療(中間所得層)に係る激変緩和の経過措置

【内容】
 ○  高額な医療費が発生した場合における負担の激変緩和を行う。
 ○  中間所得層を、「重度かつ継続」と同様に2つ(中間所得層1(市町村民税2万円未満世帯)、中間所得層2(市町村民税2万円以上20万円未満世帯))に区分し、それぞれの区分に一定額の負担上限を置く

グラフ


 ケース1(精神通院)  統合失調症(「重度かつ継続」に該当)のため、デイケア等を利用している事例(月額医療費約15万円)

ケース1(精神通院) 統合失調症(「重度かつ継続」に該当)のため、デイケア等を利用している事例の表
 一定所得以上の方は、「重度かつ継続」に該当する場合に自立支援医療の対象(経過措置)


 ケース2(更生医療)  小腸機能障害(「重度かつ継続」に該当)(※1)で中心静脈栄養を受けている事例(月額医療費約22万円)

ケース2(更生医療) 小腸機能障害(「重度かつ継続」に該当)(※1)で中心静脈栄養を受けている事例の表
※1  小腸大量切除又は小腸疾患により小腸の栄養吸収機能が低下し、中心静脈栄養による栄養補助を要する症状。
※2  経過措置(一定所得以上の方であっても、「重度かつ継続」に該当する場合は、自立支援医療の対象)による額。


 ケース3(育成医療)  心室中隔欠損・大動脈縮窄症(大動脈縮窄症手術)のため入院治療を受けている事例(月額医療費約300万円)

ケース3(育成医療) 心室中隔欠損・大動脈縮窄症(大動脈縮窄症手術)のため入院治療を受けている事例の表
(※)  育成医療を受ける障害児の保護者が障害基礎年金受給者である場合。


自立支援医療における「世帯」について

基本形=医療保険単位による「世帯」
 「世帯」の単位については、住民票上の世帯の如何にかかわらず、同じ医療保険に加入している家族によって範囲を設定する。

 医療保険の加入関係が異なる場合には、税制における取扱いに関係なく、別の「世帯」として取り扱う。

図
<左図の例>

 健康保険に加入するA氏とB氏からなる「世帯」と、国民健康  保険に加入するC氏からなる「世帯」に2分される。

 税制上はC氏がB氏を扶養親族としている場合であっても、医  療保険の加入関係が異なるので、C氏とB氏は別の「世帯」。

選択肢
 同じ「世帯」内の誰もが、税制上も医療保険上も障害者本人を扶養しないこととした場合には、障害者本人とその配偶者の所得によって判断することを選択可能


自立支援医療における生活保護への移行防止措置

 本来適用されるべき上限額を適用すれば生活保護を必要とするが、仮に、より低い上限額を適用すれば生活保護を必要としない状態になる者については、本来適用されるべき上限額より低い負担上限額を適用する。

月額上限 5,000円

より低い上限額を適用
月額上限 2,500円

より低い上限額を適用
月額上限 0円

移行防止必要額まで減額
食費負担の軽減


入院時の食費負担(標準負担額)
第58条第3項第2号関係

食費負担に係る各制度の考え方

 医療保険制度
在宅療養の者と入院の者の費用負担の均衡を図る観点から、平均的な家計における一人当たりの食費に相当する額を標準負担額として求める。

 新たな障害福祉制度
入所・通所施設を利用するものと利用しない者の費用負担の均衡を図る観点から食費(材料費、人件費)については原則自己負担とする。

 医療保険制度や新たな障害福祉制度との整合性を確保し、

  更生医療、育成医療に係る入院時の食費(標準負担額)については、原則、自己負担とする。

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