Labour Standards Information
Q.賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。
A.賃金については、労働基準法第24条において、(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければならないと規定されています(賃金支払の五原則)。
通貨払の原則は、貨幣経済の支配する社会において最も有利な交換手段である通貨による賃金支払を義務付け、これによって、価格が不明瞭で換価にも不便であり、弊害を招くおそれが多い実物給与を禁じたものです。
直接払の原則は、中間搾取を排除し、労務の提供をなした労働者本人の手に賃金全額を帰属させるため、労働者本人以外の者に賃金を支払うことを禁止するものです。ただし、使者に対して賃金を支払うことは差し支えないものとされています(昭和63年3月14日付け基発第150号)。使者であるか否かを区別することは実際上困難な場合もありますが、社会通念上、本人に支払うのと同一の効果を生ずるような者であるか否かによって判断することとなります。
全額払の原則は、賃金の一部を支払留保することによる労働者の足止めを封じるとともに、直接払の原則と相まって、労働の対価を残りなく労働者に帰属させるため、控除を禁止するものです。ただし、所得税の源泉徴収など、公益上の必要があるものや物品購入代金など事理明白なものについては例外とすることが手続の簡素化につながるほか、実情にも合うことから、法令に別段の定めがある場合又は労使の自主的な協定がある場合には一部控除することが認められています。
毎月払の原則は、賃金支払期の間隔が開き過ぎることによる労働者の生活上の不安を除くことを目的としており、一定期日払の原則は、支払日が不安定で間隔が一定しないことによる労働者の計画的生活の困難を防ぐことを目的としています。
(労働基準局監督課)