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平成24年の職場での熱中症予防対策の重点的な実施について(基安発0518第1号)

平成24年の職場での熱中症予防対策の重点的な実施について

基安発0518第1号
平成24年5月18日

都道府県労働局長 殿

厚生労働省労働基準局安全衛生部長
(  公  印  省  略  )

 

平成24年の職場での熱中症予防対策の重点的な実施について

 

 職場での熱中症予防対策については、平成21年6月19日付け基発第0619001号「職場における熱中症の予防について」(以下、「基本対策」という。)により示しているところであるが、平成23年の職場での熱中症による死亡者数は18人であった。死亡者数は、記録的な猛暑となった平成22年の47人からは激減したが、依然多くの方が亡くなっていることから、熱中症予防対策の的確な実施が必要である。
 さらに、平成24年の暖候期(6〜8月)には、平年より高い気温となることが暖候期予報で予想されている(解説1参照)ほか、夏の電力需給の逼迫が見込まれることから、屋内の熱中症の発生も懸念されるところである。
 以上を踏まえ、平成24年の職場での熱中症予防対策については、業種として建設業及び建設現場に付随して行う警備業(以下、「建設業等」という。)並びに製造業に対して、基本対策のうち、特に下記の事項を重点的に実施することとするので、関係事業場等に対する的確な指導等に遺漏なきを期されたい。
 なお、平成23年の職場での熱中症による死亡災害の発生状況について、別紙1のとおり取りまとめたので、業務の参考とされたい。
 おって、関係団体に対しては別添のとおり要請を行ったので、了知されたい。

 

1 建設業等での熱中症予防対策について

(1)建設業等での熱中症発生状況等

 建設業等は、業態として、炎天下の高温多湿作業場所で作業することが避けられず、WBGT値(暑さ指数)の低減対策が困難であることが多い。
 また、平成23年の死亡災害においては、WBGT値を測定していなかった割合が約9割、熱への順化期間(熱に慣れ環境に適応する期間)が設定されていなかった割合が約7割、自覚症状にかかわらず水分及び塩分の定期的な摂取を指導していなかった割合が約8割、休憩場所が整備されていなかった割合が約7割、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)に基づく健康診断の実施が適切に行われていなかった割合が約6割となっている。また、熱中症の症状が出始めているのに作業を続け重症化したり、単独作業のため倒れた後に迅速に処理がされず死亡した事例がみられることから、建設業等での熱中症予防対策については、次の(2)を重点事項として、(3)のその他の具体的な実施事項と併せて取り組むこと。

(2)建設業等での熱中症予防対策の重点事項

 建設業等では、次の4項目を重点事項として、熱中症予防対策に取り組むこと。

  • ア 事前にWBGT予報値、熱中症情報等を確認し、作業中に身体作業強度に応じたWBGT基準値(解説1参照)を超えることが予想される場合には、直射日光や照り返しを遮る簡易な屋根の設置やスポットクーラー又は大型扇風機を使用し、単独作業を行わないようにするとともに、連続作業時間を短縮し、長目の休憩時間を設ける等の作業時間の見直しを行うこと。
     作業時間については、特に、7、8月の14時から17時の炎天下等でWBGT値が基準を大幅に超える場合には、原則作業を行わないこととすることも含めて見直しを図ること。
  • イ 作業者が睡眠不足、体調不良、前日に飲酒、朝食が未摂取、感冒等による発熱、下痢等による脱水等の場合、熱中症の発症に影響を与えるおそれがあることから、作業者に対して日常の健康管理について指導するほか、朝礼の際にその状態が顕著にみられる作業者については、作業場所の変更や作業転換等を行うこと。
  • ウ 水分及び塩分の摂取確認表を作成する、朝礼等の際に注意喚起を行う、頻繁に巡視を行い確認する等により、作業者に、自覚症状の有無に関わらず水分及び塩分(解説2参照)を定期的に摂取させること。
  • エ 高温多湿作業場所で初めて作業する作業者については、熱への順化期間を設ける等配慮すること。熱への順化期間については、7日以上かけて熱へのばく露時間を次第に長くすることを目安とすること。

(3)建設業等でのその他の具体的な実施事項

  • ア 作業環境管理

       作業場所又はその近傍に、臥床することができる冷房を備えた休憩所、又は日陰等の涼しい休憩場所を確保し、水分及び塩分の補給を定期的かつ容易に行うことができるよう、また、冷たいおしぼり、水風呂、シャワー等体を適度に冷やすことのできるよう物品及び設備を設けること。

  • イ 作業管理
    • (ア) 作業中は、作業者の様子に異常がないかを確認するため、管理・監督者が頻繁に巡視を行うほか、複数の作業者がいる場合には、作業者同士で声を掛け合う等、相互の健康状態に留意させること。
    • (イ) 透湿性・通気性の良い服装(クールジャケット、クールスーツ等)を着用させること。また、直射日光下では通気性の良い帽子やヘルメット(クールヘルメット等)を着用させるほか、後部に日避けのたれ布を取り付けて輻射熱を遮ること。
  • ウ 健康管理
    • (ア) 安衛法第66条の4及び第66条の5に基づき、健康診断で異常所見があると診断された場合には、医師等の意見を聴き、必要に応じて、作業場所の変更や作業転換等を行うこと。
    • (イ) 作業者が糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全、精神・神経関係の疾患、広範囲の皮膚疾患等の疾患を有する場合、熱中症の発症に影響を与えるおそれがあることから、作業の可否や作業時の留意事項等について、産業医・主治医の意見を聴き、必要に応じて、作業場所の変更や作業転換等を行うこと。
  • エ 労働衛生教育

       作業を管理する者や作業者に対して、特に次の点を重点とした労働衛生教育を繰り返し行うこと。また、当該教育内容の実践について、日々の注意喚起を図ること。

    • ・ 自覚症状に関わらず水分及び塩分を摂取すること
    • ・ 日常の健康管理
    • ・ 熱中症が疑われる症状
    • ・ 緊急時の救急処置及び連絡方法

2 製造業での熱中症予防対策について

(1)製造業での熱中症発生状況等

 製造業は、工場等屋内作業場での作業が多く、輻射にさらされることは少ないと考えられるが、今夏も節電の影響により、WBGT値の低減対策が困難となる場合があることが予想される。
 また、過去の製造業の死亡災害をみると、水分・塩分を摂取させていないこと、この点に関する教育が必要であることを踏まえ、製造業での熱中症予防対策については、次の(2)を重点事項として、(3)のその他の具体的な実施事項と併せて取り組むこと。

(2)製造業での熱中症予防対策の重点事項

 次の2項目を重点事項として、熱中症予防対策に取り組むこと。

ア 事前にWBGT予報値、熱中症情報等を確認し、作業中に身体作業強度に応じたWBGT基準値(解説1参照)を超えることが予想される場合には、作業計画の見直し等を行うこと。

イ 水分及び塩分の摂取確認表を作成する、朝礼等の際に注意喚起を行う、頻繁に巡視を行い確認する等により、作業者に、自覚症状の有無に関わらず水分及び塩分(解説2参照)を定期的に摂取させること。

(3)製造業でのその他の具体的な実施事項

  • ア 作業環境管理
    • (ア) 熱源がある場合には熱を遮る遮蔽物の設置、スポットクーラー又は大型扇風機の使用等、作業場所のWBGT値の低減化を図ること。
    • (イ) 作業場所又はその近傍に、臥床することができる風通しの良い等の涼しい休憩場所を確保すること。
  • イ 作業管理
    • (ア) 休憩時間をこまめに設けて連続作業時間を短縮するほか、WBGT値が最も高くなり、熱中症の発症が多くなり始める14時から16時に長目の休憩時間を設ける等、作業者が高温多湿環境から受ける負担を軽減すること
    • (イ) 高温多湿作業場所で初めて作業する作業者については、順化期間を設ける等配慮すること。
    • (ウ) 透湿性・通気性の良い服装(クールジャケット、クールスーツ等)を着用させること。
    • (エ) 作業中は、作業者の様子に異常がないかどうかを確認するため、管理・監督者が頻繁に巡視を行うほか、複数の作業者がいる場合には、作業者同士で声を掛け合う等、相互の健康状態に留意させること。
  • ウ 健康管理
    • (ア) 安衛法第66条の4及び第66条の5に基づき、健康診断で異常所見があると診断された場合には、医師等の意見を聴き、必要に応じて、作業場所の変更や作業転換等を行うこと。
    • (イ) 作業者が糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全、精神・神経関係の疾患、広範囲の皮膚疾患等の疾患を有する場合、熱中症の発症に影響を与えるおそれがあることから、作業の可否や作業時の留意事項等について、産業医・主治医の意見を聴き、必要に応じて、作業場所の変更や作業転換等を行うこと。
    • (ウ) 作業者が睡眠不足、体調不良、前日の飲酒、朝食の未摂取、発熱、下痢等の場合、熱中症の発症に影響を与えるおそれがあることから、作業者に対して日常の健康管理について指導するほか、その状態が顕著にみられる作業者については、作業場所の変更や作業転換等を検討すること。
  • エ 労働衛生教育

       作業を管理する者や作業者に対して、特に次の点を重点とした労働衛生教育を繰り返し行うこと。また、当該教育内容の実践について、日々の注意喚起を図ること。

    • ・ 自覚症状に関わらず水分及び塩分を摂取すること
    • ・ 日常の健康管理
    • ・ 熱中症が疑われる症状
    • ・ 緊急時の救急処置及び連絡方法

3 初夏での対応について

(1)初夏での発生状況について

 近年の傾向として、7〜8月のみならず、6月にも死亡災害が発生しており、特に平成23年の死亡災害のうち、約3割が6月下旬に発生している。

(2)初夏での重点事項

  • ア 初夏では、熱への順化が十分行われていないこと及び労働者への労働衛生教育が不十分であることが考えられることから、基本対策を早期に実施すること。特に労働衛生教育のうち、熱中症が疑われる症状及び熱中症の予防方法については、早期に実施することで労働者の自覚症状が乏しいことによる重症化を防止すること。
  • イ 初夏においては、気候の都合により気温の変動が激しく、熱への順化が十分でないことが考えられることから、作業中は、WBGT値を逐次計測するとともに、現にWBGT基準値を超えた場合には、作業計画の変更等により、連続作業時間が長くならないよう努めること。
  • ウ 直射日光が当たる屋外の事業場については、太陽照射を避けるため通気性の良い帽子やヘルメットを着用させることが望ましいが、梅雨期間中の晴れ間等準備が不十分である場合には、タオルを巻く等代替措置を講じること。

(解説)

本解説は、職場での熱中症予防対策を推進する上での留意事項を解説したものである。

1 WBGT値について

(1)環境省において、平成24年6月1日から9月30日までの間、次のウェブサイト上にてWBGT値の予測値や実況値等について掲載することとしているので、これらの予測値・実況値等を活用すること。
 PCサイト:http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/index.html
 携帯サイト:http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/kt/index.html

 また、気象庁において、毎週金曜日に1か月予報が、毎月25日頃に翌月以降の3か月予報が発表されるので逐次活用すること。
 PCサイト:http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/
 WBGT値が測定されていない場合には、別紙2の「WBGT値と気温、相対湿度との関係」(日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針」Ver.1 2008.4)が参考になること。

(2)WBGT基準値については、別紙3によること。

2 作業中での定期的な水分及び塩分の摂取については、身体作業強度等に応じて必要な摂取量等は異なるが、作業場所のWBGT値がWBGT基準値を超える場合には、少なくとも、0.1%〜0.2%の食塩水、ナトリウム40〜80mg/100mlのスポーツドリンク又は経口補水液等を、20〜30分ごとにカップ1〜2杯程度を摂取することが望ましいこと。

3 平成23年東北地方太平洋沖地震の際に原子力災害が発生した東京電力福島第一原子力発電所において、緊急作業に従事していた労働者の熱中症対策として、7、8月の14時から17時の炎天下での作業について、事故収束に向けた工程に配慮しつつ原則として作業を行わないことを含めて実施した。
 その結果、熱中症(疑いを含む)は約40件発生したものの、重症者・死亡者は発生しなかった。これについては本年も同様の対策を行うこととなったので参考にされたい。
 PCサイト:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001f4ob.html

職場での熱中症による死亡災害の発生状況

別紙1

1 熱中症による死亡者数の推移(平成10年〜平成23年分)

 職場での熱中症による死亡者数は、統計を取り始めた平成9年以降では、平成22年の47人が最高であった。それ以外の年は、概ね20人前後の年が多く減少傾向を示していない。

熱中症による死亡災害発生件数の推移(平成10年〜23年)

年(平成) 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年
10 20 18 24 22 17 17 23
年(平成) 18年 19年 20年 21年 22年 23年 H10以降の平均
17 18 17 8 47 18 20

2 業種別発生状況(平成21〜23年)

 過去3年間(平成21〜23年)の業種別の熱中症の死亡者の発生状況をみると、建設業が多く全体の約4割を占めている。次いで製造業であるが、昨年は死亡者の発生がなかった。

熱中症による死亡災害の業種別発生状況(平成21〜23年)

業種建設業製造業農業運送業警備業林業その他計(人)
平成21年      
平成22年 17 10 47
平成23年     18
計(人) 29 10 14 73

3 月・時間帯別発生状況

(1)月別発生状況(平成21〜23年)

 過去3年間(平成21〜23年)の月別発生状況をみると、7月及び8月に全体の約9割が発生しているが、昨年は6月が多い。

熱中症による死亡災害の月別発生状況(平成21〜23年)

 6月7月8月9月計(人)
平成21年    
平成22年 25 19 47
平成23年 18
計(人) 31 33 73

(参考)熱中症による死亡災害の月別・業種別発生状況(平成23年)

 6月7月8月9月計(人)
建設業  
製造業          
農業      
運送業          
警備業      
林業      
その他  
計(人) 18

(2)時間帯別発生状況(平成21〜23年)

 過去3年間(平成21〜23年)の時間帯別発生状況をみると、午後1時台から午後5時台の間に約8割が発生し、特に午後3時台から午後4時台に全体の約4割が発生している。

熱中症による死亡災害の時間帯別発生状況(平成21〜23年)

時間帯午前9時以前午前10時台午前11時台午後0時台午後1時台午後2時台午後3時台午後4時台午後5時台午後6時以降計(人)
平成21年       1 2 1   4     8
平成22年 2 3 1 4 4 5 9 11 4 4 47
平成23年 2 2 4   1 2 2 2 3   18
計(人) 4 5 5 5 7 8 11 17 7 4 73

※ 午前9時以前は午前0時台から午前9時台まで、午後6時以降は午後6時台から午後11時台までを指す。

4 作業開始からの日数別発生状況(平成21〜23年)

 過去3年間(平成21〜23年)の作業開始からの日数別発生状況をみると、全体の約5割が作業開始から7日以内に発生している。

作業日数別被災状況(平成21〜23年)

作業日数初日2日目3日目4日目5日目6日目7日目8日目9日目10日目以降計(人)
平成21年          
平成22年   24 47
平成23年         18
計(人) 14   33 73

5 平成22年の熱中症による死亡災害発生状況の詳細

番号業種年代事案の概要
建設業30歳代被災者は、浄水場において、除草作業の業務に従事していたが、午後3時過ぎ頃、体調不良を起こし、その後死亡した。
清掃業40歳代被災者は、不燃物等埋立地において、選別作業に従事していたが、午後5時過ぎ頃、体調不良を起こし、その後死亡した。
建設業20歳代被災者は、建設物解体現場において、解体の業務に従事していたが、午後4時過ぎ頃、体調不良を起こし、その後死亡した。
林業50歳代被災者は、山林において、伐採の業務に単独で従事していたが、午後2時過ぎ頃、うなだれているところを発見され、その後死亡した。
林業60歳代被災者は、竹林において、伐採の業務に従事していたが、午前11時過ぎ頃、体調不良を起こし、その後死亡した。
農業50歳代被災者は、ビニールハウス内において、農作業に単独で従事していたが、午前8時過ぎ頃、体調不良を起こし、その後死亡した。
建設業20歳代被災者は、工事現場において、基礎工事の業務に単独で従事していたが、午前10時過ぎ頃、体調不良を起こし、その後死亡した。
卸売・小売業30歳代被災者は、倉庫内において、倉庫整理作業に従事していたが、午後5時過ぎ頃、体調不良を起こし、その後死亡した。
農業10歳代被災者は、農地にて、農薬散布の業務に従事していたが、午後3時過ぎ頃に倒れ、その後死亡した。
10卸売・小売業30歳代被災者は、工場内において、仮設材の加工作業に従事していたが、午前11時過ぎ頃、体調不良を起こし、その後死亡した。
11建設業50歳代被災者は、工事現場において、電気設備工事に従事していたが、午後1時過ぎ頃、倒れているところを発見され、その後死亡した。
12警備業60歳代被災者は、残土処分場の出入口において、交通誘導作業に従事していたが、午後1時過ぎ頃に倒れているところを発見され、その後死亡した。
13警備業40歳代被災者は、工事現場において、交通誘導作業に従事していたが、11時過ぎ頃に体調不良を起こし、その後死亡した。
14警備業30歳代被災者は、工事現場の出入口において、交通誘導作業に単独で従事していたが、午後3時過ぎ頃、体調不良を起こし、その後死亡した。
15建設業60歳代被災者は、工事現場において、ブロック積み作業に従事していたが、午後2時過ぎ頃に体調不良を起こし、その後死亡した。
16建設業20歳代被災者は、工場内において、電気機器の設置工事作業に従事していたが、午後5時頃に体調不良を起こし、その後死亡した。
17建設業50歳代被災者は、工事現場において、コンクリートのならし作業に単独で従事していたが、午前10時過ぎ頃に体調不良を起こし、その後死亡した。
18社会福祉施設20歳代被災者は、グラウンドにおいて、児童保育に従事していたが、午前10時過ぎ頃に体調不良を起こし、その後死亡した。

上記18人の死亡者のうち、
(1)17人については、WBGT値の測定を行っていなかった。
(2)13人については、計画的な熱への順化期間が設定されていなかった。
(3)5人については、単独作業を実施していた。
(4)15人については、自覚症状の有無にかかわらない定期的な水分・塩分の摂取を行っていなかった。
(5)10人については、健康診断が行われていなかった。
(6)4人については、糖尿病等の熱中症の発症に影響を与えるおそれのある疾病を有していた(疾病の影響の程度は不明)。
(7)1人については、体調不良、食事の未摂取または前日の飲酒があった。

WBGT値と気温、相対湿度との関係

別紙2

WBGT値と気温、相対湿度との関係
(日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針」Ver.1 2008.4から)

(注)危険、厳重警戒等の分類は、日常生活の上での基準であって、労働の場における熱中症予防の基準には当てはまらないことに注意が必要であること。

身体作業強度等に応じたWBGT基準値

別紙3

区 分 身体作業強度(代謝率レベル)の例 WBGT基準値
熱に順化している人
熱に順化していない人

安静
安 静 33 33

低代謝率
楽な座位、軽い手作業(書く、タイピング、描く、縫う、簿記);手及び腕の作業(小さいベンチツール、点検、組立てや軽い材料の区分け) 、腕と脚の作業(普通の状態での乗り物の運転、足のスイッチやペダルの操作)。
立位、ドリル(小さい部分) 、フライス盤(小さい部分) 、コイル巻き、小さい電気子巻き、小さい力の道具の機械、ちょっとした歩き(速さ3.5km/h)
30 29

中程度代謝率
継続した頭と腕の作業(くぎ打ち、盛土) 、腕と脚の作業(トラックのオフロード操縦、トラクター及び建設車両) 、腕と胴体の作業(空気ハンマーの作業、トラクター組立て、しっくい塗り、中くらいの重さの材料を断続的に持つ作業、草むしり、草堀り、果物や野菜を摘む) 、軽量な荷車や手押し車を押したり引いたりする、3.5〜5.5q/hの速さで歩く、鍛造 28 26

高代謝率
強度の腕と胴体の作業、重い材料を運ぶ、シャベルを使う、大ハンマー作業、のこぎりをひく、硬い木にかんなをかけたりのみで彫る、草刈り、掘る、5.5〜7q/hの速さで歩く。重い荷物の荷車や手押し車を押したり引いたりする、鋳物を削る、コンクリートブロックを積む。 気流を感じないとき
25
気流を感じるとき
26
気流を感じないとき
22
気流を感じるとき
23

極高代謝率
最大速度の速さでとても激しい活動、おのを振るう、激しくシャベルを使ったり掘ったりする、階段を登る、走る、7q/hより速く歩く。 23 25 18 20

注1 日本工業規格Z 8504(人間工学―WBGT(湿球黒球温度)指数に基づく作業者の熱ストレスの評価―暑熱環境)附属書A「WBGT熱ストレス指数の基準値表」を基に、同表に示す代謝率レベルを具体的な例に置き換えて作成したもの。

注2 熱に順化していない人とは、「作業する前の週に毎日熱にばく露されていなかった人」をいう。

衣類の組合せによりWBGT値に加えるべき補正値

衣類の種類WBGT値に加えるべき補正値(℃)
作業服(長袖シャツとズボン)
布(織物)製つなぎ服
二層の布(織物)製服
SMSポリプロピレン製つなぎ服0.5
ポリオレフィン布製つなぎ服
限定用途の蒸気不浸透性つなぎ服11

注 補正値は、一般にレベルAと呼ばれる完全な不浸透性防護服に使用してはならない。また、重ね着の場合に、個々の補正値を加えて全体の補正値とすることはできない。

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