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4 その他の化学物質による中毒等(令和元年)
発生月 | 業種 | 被災状況 | 原因物質 | 発生状況 | 発生原因 |
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2月 | 建設業 | 中毒1名 | クロロジフルオロメタン | 空調機撤去作業において、被災者が天井裏に設置された冷媒配管を切断したところフロンガス(クロロジフルオロメタン)が噴出したもの。災害時、冷媒配管は空調機から取り外されていたが切断部分より先で閉止されていたため、切断部分にはフロンガスが充填された状態であった。天井裏に換気装置はなかった。 | SDSの内容未確認 作業標準書・マニュアルの不備 緊急時マニュアル未作成 安全衛生教育不足 作業者の作業手順・指示等の不履行 |
2月 | その他の化学工業 | 爆発1名 | イソフタロニトリル | 園芸用殺菌剤の製造プラントにて、原料受入タンクにフレコンに入ったイソフタロニトリル(IPN)を投入する作業中に爆発、火災が発生した。投入作業を行っていた被災者が、この爆発に巻き込まれ、病院搬送後に死亡したもの。爆発の原因は、IPNの静電気放電による着火、非帯電防止のフレコンを使用、投入口の一部の金属が未接地、タンク内の粉じん爆発防止対策未実施が挙げられる。当日は気温、湿度共に低く、静電気が発生しやすい環境であり、空のタンクにIPNを投入する作業のためタンク内は多量のIPN粉体が舞う状態であった。 | 適切な保護具未着用 保護具管理不足・点検不備 リスクアセスメント未実施 作業標準書・マニュアルの不備 安全衛生教育不足 作業環境管理不足 関係者間の連携・連絡体制不備 作業員への指示不備 作業主任者・管理責任者等の指示内容の検討不足 作業主任者・管理責任者等の危険有害性認識不足 |
5月 | 港湾荷役業 | 中毒等6名 | クロルピクリン(トリクロロニトロメタン) | コンテナ2台に鉄くずを載せたトラック(積載荷重15トン)が貨物船への積込み作業場に到着したところ、異臭がし作業員8名(トラック運転者を除く。)中6名が目の痛み等訴えたため、病院に搬送され、原因不明の両眼結膜炎等と診断された。鉄くずの中にペール缶が2缶含まれており、当該缶にはクロルピクリン剤との表示があった。 | 安全衛生教育未実施 関係者間の連携・連絡体制不備 作業者の危険有害性認識不足 作業主任者・管理責任者等の職務不履行 |
5月 | 清掃・と畜業 | 中毒1名 | 次亜塩素酸ナトリウム | 温泉敷地内にあるろ過設備の付属装置として、次亜塩素酸ナトリウム溶液及びポリ塩化アルミニウム溶液がそれぞれ入っているケミカルタンクが2つ設置されているが、被災者は次亜塩素酸ナトリウム溶液を同溶液専用のケミカルタンクに補充しなければならないところ、誤ってポリ塩化アルミニウムが入っているケミカルタンクへ注いでしまったため、発生した塩素ガスを吸引し、中毒により2日間休業したもの。被災者は保護眼鏡、保護手袋、呼吸用保護具、保護衣等は着用していなかった。なお、当該作業は屋外で行われていた。 | 適切な呼吸用保護具未着用 適切な保護用眼鏡未設置 適切な保護用手袋未着用 リスクアセスメント未実施 安全衛生教育未実施 作業環境管理不足 作業者の危険有害性認識不足 作業者の作業手順・指示等の不履行 作業主任者・管理責任者等の未選定 |
7月 | 無機・有機化学工業製品製造業 | 中毒1名 | 四塩化バナジウム,−塩化ヨウ素 | 局所排気装置内で四塩化バナジウムと一塩化ヨウ素の反応作業中、局所排気装置の排気が通常よりも弱かったため、被災者は防毒マスクを着用し、装置内に身体を入れて不具合を確認したところ、塩素ガス中毒(激しい咳、鼻水により呼吸が苦しい症状)となったもの。塩素に適応する吸収缶とは別の種類の吸収缶を使用していた。なお、前日に局所排気装置の吸い込み能力が弱いことを確認していたにも関わらず、当該装置の補修等を行っていなかった。 | 適切な呼吸用保護具未着用 装置・設備の管理不足・点検不備 |
7月 | その他の金属製品製造業 | 中毒1名 | 亜鉛 | 全面亜鉛メッキが施された鋼材のガス溶断を行い帰宅したが、息苦しくなる等の症状を発したため翌日病院を受診、亜鉛中毒の疑いで7日間入院したもの。自然換気が不十分な工場内で亜鉛ヒュームに4時間以上ばく露されていた。防じんマスクの備付けはあったものの着用の指示はなく、被災者は検定品ではない不織布マスクを着用していた。また、被災者は、金属をガス溶断する業務に従事するために必要な資格を有していなかった。 | 適切な呼吸用保護具未着用 安全衛生教育未実施 換気・排気装置未設置 作業員への指示不備 作業者の危険有害性認識不足 作業主任者・管理責任者等の職務不履行 作業主任者・管理責任者等の指示内容の不備 作業主任者・管理責任者等の危険有害性認識不足 |
8月 | その他の金属製品製造業 | 中毒1名 | 鉛 | 被災者は、春から、ルアーの型を取るために使用する耐熱ゴムや耐熱シリコンを材料とする型の製造作業、遠心機にセットした型に鉛を流し込む作業、型に鉛を流してできたルアーを研磨する作業に従事していた。秋頃から、頭痛や熱っぽさ、体のだるさを感じ、冬頃には、両腕を中心にしびれや震えが発症、翌年の春には目の異常(視界がぼやける、暗くなる)が出たため、秋頃より休業。被災者は、食事の際、手を洗わず鉛が付着した手で飲食を行っていた。洗身設備はなく、作業衣等の汚染除去措置も講じられていなかった。 | 適切な保護具未着用 適切な保護用手袋未着用 リスクアセスメント未実施 作業標準書・マニュアル未作成 安全衛生教育未実施 作業環境管理不足 清掃不足 作業主任者・管理責任者等の職務不履行 |
11月 | 建設業 | 中毒1名 | ベンジルアルコール | 高架橋塗装工事のつり足場内にて塗膜剥離剤の吹付け作業をしていた作業員が意識を失い、病院に搬送されたもの。現場は剥離剤等の飛散防止のため養生されており、全員が防毒マスク及び防護服を着用していた。養生により気流が発生しない環境となり、剥離剤から揮発したベンジルアルコールが高濃度で作業場に満たされ、防毒マスクの吸収缶の許容量を超えた疑いがある。また、剥離剤をエアレススプレーガンにより噴霧したため、防護服の性能を超える量のベンジルアルコールが、防護服を透過し、経皮により暴露した疑いがある。 | 適切な保護具未着用 保護具の不適切な着用 適切な呼吸用保護具未着用 呼吸用保護具の不適切な着用 換気・排気装置未設置 作業環境管理不足 |
11月 | 保健衛生業 | 中毒1名 | 次亜塩素酸ナトリウム | 医院内消毒室で、義歯を洗浄する作業において、院長が容器内に義歯洗浄用の酸性洗剤と次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする塩素系漂白剤を混ぜて、義歯を浸してふたをした。超音波洗浄機に容器ごと約15分浸した後、容器のふたを開け取り出したところ、発生した塩素ガスを吸引し気分が悪くなり救急車で搬送された。被災者はゴム手袋を着用していたが、保護眼鏡やマスクは着用していなかった。また、消毒室には換気設備等はなかった。 | SDSの未入手 リスクアセスメント未実施 作業標準書・マニュアル未作成 安全衛生教育未実施 作業員への連絡不足 作業主任者・管理責任者等の危険有害性認識不足 |
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