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2 特定化学物質による中毒等(令和元年)
発生月 | 業種 | 被災状況 | 原因物質 | 発生状況 | 発生原因 |
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1月 | 無機・有機化学工業製品製造業 | 中毒2名 | 塩素 | 塩素製造設備である電解槽の交換作業において、電解槽の配管途中にあるサンプリング口から塩素ガスを抜取るため、サンプリング口に取り付けられたゴム栓を取り外し、塩素ガス抜取り用のホースを接続しようとしたところ、塩素ガスの流入先である配管途中にある弁(バタフライ弁)を閉め忘れていたため、電解槽及び配管内に存在した塩素ガスがサンプリング口から漏れ出し、当該箇所で作業していた労働者2名が塩素ガスを吸入したもの。 | 適切な呼吸用保護具未着用 適切な保護用手袋未着用 |
2月 | その他の建築工事業 | 中毒1名 | 塩素 | 解体した足場材料を貨物自動車の荷台に積み込む作業中、単管パイプを塩素流量計の配管に激突させ、破損した配管から流出した塩素を吸入したもの。被災者は、ゴム手袋、長靴、保護帽、保護眼鏡を着用していた。半面式防毒マスクにハロゲンガス用、酸性ガス用吸収缶を取り付けたものを現場には持ち込んでいたが、使用していなかった。 " | 適切な呼吸用保護具未着用 |
3月 | 製造業 | 中毒1名 | 塩酸 | 工場設備の洗浄や魚介類の消毒等に用いるため、次亜塩素酸ナトリウムと塩酸の混合液を、専用機械により用途に応じた濃度で調整していた。被災者は、2種類の原料となる溶液のタンクに、保管容器から溶液を補充した際、漏洩センサーが作動したため、溶液が漏洩したと思われる箇所を雑巾で拭き取っていたところ、徐々に具合が悪くなった。なお、中毒を起こしたガスは、2種類の溶液の反応により発生したものか、単一の溶液によるものかは不明である。化学手袋、保護眼鏡、呼吸用保護具等は用意されておらず、着用していなかった。 |
適切な呼吸用保護具未着用 適切な呼吸用保護具未設置 適切な保護用眼鏡未着用 適切な保護用眼鏡未設置 適切な保護用手袋未着用 適切な保護用手袋未設置 リスクアセスメント未実施 安全衛生教育未実施 作業者の危険有害性認識不足 作業者の経験不足/初めて 作業主任者・管理責任者等の指示内容の不備 |
4月 | 製造業 | 薬傷1名 | 二酸化窒素、硫酸、硝酸 | 被災者は、工場内で、銅、ニッケル、亜鉛でできた器具に付着した錆や汚れを落とすため、濃硫酸と希硝酸の原液を混合した液数Lを容器に入れ、器具をその液に漬ける作業中に、発生した褐色の煙を吸い込み、体調が悪くなった。病院を受診したところ、化学物質性肺水腫、急性呼吸不全と診断された。天井の換気扇は作動しておらず、出入口の引戸が半分開いていただけであった。被災者は防毒マスクではなく、防じんマスクを着用していた。発生状況から、二酸化窒素を吸引したものと推定される。 |
適切な呼吸用保護具未着用 適切な呼吸用保護具未設置 安全衛生教育未実施 作業主任者・管理責任者等の未選定 作業主任者・管理責任者等の職務不履行 |
5月 | その他 | 中毒1名 | 塩素 | 経年劣化した内容物不明の高圧ガス容器からガスの漏出があったため、一旦、高圧ガス容器に取り付けたホースを水に着け、内容物であるガスを容器から吐出させて水中で水溶させた後、これを引き上げ、ホースを容器から取り外したところ、ホースに残留したガスが噴出し、被災者がガスを吸入して、塩素中毒の症状を呈したもの。被災者は、使い捨て防じんマスクを着用していたが、防毒性能を有するものではなかった。 |
適切な呼吸用保護具未着用 作業標準書・マニュアル未作成 緊急時マニュアル未作成 作業主任者・管理責任者等の指示内容の不備 作業主任者・管理責任者等の指示内容の検討不足 |
6月 | 製造業 | 中毒1名 | シアン化水素 | 被災者は、めっき液(シアン化銀)に濃硝酸と濃硫酸を加えた混合液を、囲い式フード付き局所排気装置が設置された電熱器上で加熱した後、混合液の入ったビーカーに近づいた際、気化したシアンガスを吸引した。吸入時はのどの刺激や頭痛等の症状であったが、その後手に力が入らない等の異常を認め、病院を受診。シアン化物の毒作用と診断された。被災者は防毒マスクではないマスクを着用。保護手袋等の保護具も着用していなかった。局所排気装置が故障等で能力が不足していたため、シアン化ガスがフード外に漏洩したと推定される。 | 適切な呼吸用保護具未着用 適切な呼吸用保護具未設置 換気・排気装置の能力の不足 装置・設備の管理不足・点検不備 装置・設備の点検・管理体制不備 作業員への指示不備 |
10月 | その他の繊維工業 | 中毒2名 | トリクロロエチレン | トリクロロエチレンに数年にわたりばく露したことで中毒となったもの。局所排気装置等の発散抑制措置や呼吸用保護具等のばく露防止措置を行っていなかった。被災者は、布の検品時に汚れのあるものについて、トリクロロエチレン70%以上含有する薬品をスプレーガンで噴射し、洗浄する作業を行っていた。 |
SDSの内容未確認 適切な呼吸用保護具未着用 適切な呼吸用保護具未設置 適切な保護用手袋未着用 適切な保護用手袋未設置 安全衛生教育未実施 換気・排気装置未設置 作業環境管理不足 作業主任者・管理責任者等の職務不履行 作業主任者・管理責任者等の危険有害性認識不足 |
10月 | 製造業 | 中毒8名 | 塩酸 | 工場内においてプラセンタ(豚胎盤)の処理作業中、胎盤を洗浄するための殺菌水を溜めた桶から塩素ガスが発生し、同処理室にいた労働者7名及び隣接する乾燥室内で作業していた労働者1名が当該ガスを吸い込み、喉と目に痛みを覚え医療機関を受診したもの。被災者らはマスクを着用していたが、防毒マスクではなかった。殺菌水生成装置において、塩酸及び次亜塩素酸ナトリウムの2種類の薬液を同時にエアー抜きした場合、塩素が発生するため、製造業者は同時実施しないよう警告していたが、被災当日は同時に実施していた。 | 作業者の危険有害性認識不足 作業者の作業手順・指示等の不履行 |
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