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3 一酸化炭素による中毒等(平成30年)

発生月 業種 被災状況 原因物質 発生状況 発生原因
1月 その他の建築工事業 中毒1名(休業) 一酸化炭素 共同住宅新築現場において内壁の吹付塗装を行うに際し、開口部をビニール養生シートで閉塞した状態で、内部でエンジンコンプレッサーを使用していたため、コンプレッサーの排気ガスが作業場所内に充満し、当該箇所で作業を行っていた労働者が一酸化炭素中毒を発症した。作業者は、呼吸用保護具は使用していなかった。コンプレッサの排気口は出入口へ向けられていたものの、ホース等による延長措置は行われていなかった。 適切な呼吸用保護具未着用
リスクアセスメント未実施
作業標準書・マニュアル未作成
安全衛生教育未実施
換気・排気装置未設置
1月 飲食店 頸髄損傷及び中毒1名 (休業) 一酸化炭素 被災者は、ろばた焼店のホール担当及び調理補助として客席及び厨房内で仕事をしていたが、材料を取りに行った倉庫内で倒れていた。七輪を使った炭火焼で発生したCOガスに、換気扇の効果が及ばないところで作業していた被災者がばく露したと推定される。 安全衛生教育未実施
換気・排気装置の稼働不足
2月 工作物の解体、移動、取りはずし又は撤去の事業 中毒1名(休業) 一酸化炭素 チェーンソーを使用し、木造2階建て一般家屋の脱衣室内で解体作業を行っていたところ、作業開始約40分後、頭痛がして足元がふらついたため、建物外で休憩したが回復せず、病院で受診したところ、一酸化炭素中毒と診断された。脱衣室の扉は内側に開く構造となっており、扉を開けると室内が狭くなってうまく作業が出来ないため、扉を閉めた状態でチェーンソーを使用していた。一酸化炭素には効果のない有機ガス用防毒マスクを着用していた。 適切な呼吸用保護具未着用
安全衛生教育未実施
換気・排気装置未設置
装置・設備の管理不足・点検不備
装置・設備の点検・管理体制不備
作業者の危険有害性認識不足
管理責任者等の危険有害性認識不足
2月 河川土木工事業 中毒3名(休業) 一酸化炭素 河川改修工事において、函渠内壁を作業員2名が内燃式発電機を電源とした携帯用グラインダを用い研磨していたところ、1名が軽度の気分不調を訴え、自ら作業現場を退出した。約1時間後、当該作業員が現場に戻ったところ、もう1名の作業員が意識不明で倒れているところを発見し、現場代理人とともに、現場外へ搬出し、緊急搬送した。その後、現場代理人及び搬出活動に加わった作業員も気分不調を訴えたため、病院で受診したところ、3名全員が一酸化炭素中毒との診断を受けた。本件災害の発生原因は、自然換気が不十分であった作業現場内で内燃式発電機を使用した結果、発電機より排気された一酸化炭素が現場内に充満し、当該ガスを吸気したことにより発症したものと推測される。作業員2名は、防じんマスクを着用しており、送気マスク及び一酸化炭素用防毒マスクの備付けはなかった。
また、救出作業時、2名とも呼吸用保護具は着用していなかった。
適切な呼吸用保護具未着用
換気不足
作業開始前の一酸化炭素濃度測定未実施
2月 金融業 農業組合 中毒1名(休業) 一酸化炭素 被災者は倉庫内において、1人でパレットに載せられた米袋(30kg/個)を米出庫のためフォークリフトにて移動作業を行っていた。4つ目のパレットを移動させていた際、パレットより米袋が崩れ落ちたため、被災者は、フォークリフトから降り、崩れた米袋を再びパレット上に積み直すため、米袋を掴んで引いた際、後方に転倒した。痛みで横になっていたところ、扉の閉められた倉庫内において内燃機(ガソリンエンジン)を有するフォークリフトより排出された一酸化炭素が充満し中毒症状となり意識を失ったものと推測される。なお、倉庫内には換気扇が設けられていたが稼働させていなかった。 作業標準書・マニュアルの不備
安全衛生教育未実施
換気・排気装置の未稼働
作業者の作業手順・指示等の不履行
7月 ビルの総合的な管理等の事業 中毒3名(休業) 一酸化炭素 マンション貯水槽の清掃作業を行うため、エンジン式ポンプ(内燃機関)1台、電動式ポンプ3台で水抜きした後、労働者1名が貯水槽内で清掃作業を行ったところ、頭痛等の症状を訴えたもの。その後、続けて清掃作業のために貯水槽に入った労働者1名、地下室(貯水槽につながる部屋)に出入りした労働者3名も同様に頭痛等を訴えた。被災労働者5名のうち2名は不休災害であるが、搬送先の病院で5名とも一酸化炭素中毒と診断された。排気設備として、エンジン式ポンプの隣横に排風機が置かれていたが、ダクトの長さが十分でなく、排気口が直接屋外に通じていなかった。また、エンジンの排気口と排風機の吸気口との間も50cm以上空いていた。一酸化炭素中毒対策のための防毒マスクは用意されておらず、着用していなかった。 適切な呼吸用保護具未設置、未着用
リスクアセスメント未実施
安全衛生教育未実施
換気不足
装置・設備の管理不足・点検不備
検知・警報装置未設置
検知・警報装置の管理不足・点検不備
作業者の危険有害性認識不足
管理責任者等の指示内容の検討不足、危険有害性認識不足
作業開始前・作業中の一酸化炭素濃度測定未実施
6月 金属精錬業 中毒1名(休業) 一酸化炭素 被災者は高炉の熱風炉において、熱風炉休風後の立ち上げのため、高炉ガス(Bガス)を熱風炉に通風させる作業中、本管の熱風炉水封弁のダクト・フランジから漏洩した高炉ガスを吸入し、一酸化炭素中毒となり、意識を失ったものである。ダクトフランジの遮蔽が不完全で、蓋とフランジの間に隙間が生じていた。被災者はサイズが小さなダクト・フランジの遮蔽は経験していたが、本管の大型フランジの遮蔽については単独での作業経験はなかった。防毒マスク等の呼吸用保護具は備付けられていたが、被災者は着用していなかった。 適切な呼吸用保護具未着用
リスクアセスメント不足
安全衛生教育未実施
装置・設備の管理不足・点検不備
作業者の作業手順・指示等の不履行
10月 隧道の改修、復旧もしくは維持の事業又は推進工法による管の埋設の事業 中毒3名(死亡1名、休業2名) 一酸化炭素 水力発電所の導水路(コンクリート製。以下、「暗渠」という。)の補修作業に伴い、労働者3名が原動機付高圧水洗浄機により、暗渠内部において内壁の洗浄作業を行った。原動機の発する一酸化炭素(CO)により暗渠内のCO濃度が上昇したことから、1名がCO中毒により意識を消失し、他の2名もCO中毒症状を呈した。3名は救助及び病院に搬送されたが、意識消失の1名はその後死亡し、他2名は1週間程度の入院加療が必要となった。暗渠内の換気は不十分であり、被災者らは呼吸用保護具等は使用していなかった。 安全衛生教育未実施
換気不足
作業者の作業手順・指示等の不履行
作業開始前・作業中の一酸化炭素濃度測定未実施
10月 動物の飼育若しくは畜産の事業又は養蚕の事業 中毒4名(休業) 一酸化炭素 鶏舎内のエレベーター巻上機が故障したため、修理業者1名が昇降路天井梁に吊り下げられている巻上機の取り換え工事を4名の養鶏工と行っていた。修理業者1名と養鶏工4名がエレベーター搬器の天板上に上り、巻上機を搬器に乗せ当該搬器を作業位置まで上げ、4名の養鶏工は搬器天板上で待機し、修理業者が新しい巻上機を仮止めするための金具を昇降路天井梁に取り付けるため原動機付アーク溶接機により溶接作業を行った後、巻上機の配線作業を行っていたところ、原動機から発生した一酸化炭素によりエレベーター搬器天板上にいた5名が一酸化炭素中毒症状を呈したもの。 換気・排気装置未設置
関係者間の連携・連絡体制不備
作業者の危険有害性認識不足
管理責任者等の指示内容の検討不足
10月 隧道の改修、復旧もしくは維持の事業又は推進工法による管の埋設の事業 中毒3名(休業) 一酸化炭素 トンネル本坑へ出入りするための作業用トンネル(作業横坑)内において、本坑と作業横坑の接続部を閉鎖する作業中、被災者3名が型枠に鉄筋を補強するため、アーク溶接を行っていたところ、体調に異変を感じてそのまま意識を失った。被災者らは現場巡視中の元請担当者のよって発見され、その後緊急搬送された。作業坑内では、ガソリンエンジン発電機兼用溶接機2台の内燃機関が稼動していた。3名のうち2名は溶接用保護メガネ、防じんマスクを着用していたが、3名とも一酸化炭素用の防毒マスクは用意していなかった。103m離れた作業横坑の始点(入り口)以外に通気口はなく、換気設備もなかった。なお、リスクアセスメントの手法を用いて、作業手順書をもとに安全教育を行っていたが、一酸化炭素中毒に関しての危険性又は有害性について検討がなされていなかった。 適切な呼吸用保護具未設置、未着用
リスクアセスメント不足
作業標準書・マニュアルの不備
安全衛生教育不足
換気・排気装置未設置
関係者間の連携・連絡体制不備
作業者の危険有害性認識不足、作業手順・指示等の不履行
管理責任者等の危険有害性認識不足
作業開始前の一酸化炭素濃度測定未実施

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