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2 特定化学物質による中毒等(平成30年)

発生月 業種 被災状況 原因物質 発生状況 発生原因
3月 食料品製造業 化学物質性気管支炎1名(休業) アンモニア 冷蔵庫内の霜取り作業のため、送液ヘッダーのドレンバブルに圧力計を取付けたが、圧力計の針が動かなかった。被災者は送液ヘッダーに溜まった油が原因と考え、圧力計の取付け用ねじを工具を用いて調整していたところ、圧力計がドレンバブルから外れ、冷媒のアンモニアが漏洩し、その際に気化したアンモニアを被災者が吸引し被災したもの。作業者は、防寒着、ゴム手袋、布製帽子を着用しており、防毒マスクや化学防護服、化学防護手袋は備え付けられていたものの、使用していなかった。換気装置は設置されていなかった。 適切な保護具未着用
作業標準書・マニュアル未作成
緊急時マニュアル未作成
換気・排気装置未設置
装置・設備の管理不足・点検不備作業者の作業手順・指示等の不履行
作業主任者・管理責任者等の未選任
3月 化学工業 気管支炎(慢性中毒の疑い)1名(休業) 特定化学物質(コバルト),シクロヘキサン 当該事業場の密閉設備又は局所排気装置等が設けられていない調色室において、特定化学物質等を含むスクリーン印刷用インキの調色作業を恒常的(9年にわたり、週5日、1日7時間30分〜9時間30分)に行っていたところ、吸気ともに当該物質を吸引していたため、気管支炎等を発症したもの(慢性中毒の疑い)。インキや希釈剤にはシクロヘキサン、コバルトが含まれている。被災者が使用していた呼吸用保護具の吸収缶(防じん防毒)は2週間に一度程度の交換(呼吸が苦しくなった場合に交換)であり、破過した状態で着用していたことも考えられる。 保護具の不適切な使用
換気・排気装置未設置
作業環境管理測定の未実施
作業主任者・管理責任者等の未選任、職務不履行、指示内容の不備、危険有害性認識不足
7月 パルプ・紙製造業 死亡1名、薬傷2名 アンモニア アンモニア水タンクの液面計管台付き弁の閉止作業をするにあたり、ボールバルブが固着していたため、潤滑油をステム(弁棒)に馴染ませ、暫くたった後、1名が液面計本体を手で支え、1名がモンキーレンチをパイプに差し込んだもの(約89cm)でステムを回した直後、ボールバルブのふた部分が破断、脱落し、アンモニア水(濃度約25%)が噴き出し、2名に被液、1名は防液堤内で意識を失い倒れ、5日後に死亡した。また、同じ作業を行っていた1名は防液堤外に脱出し軽傷、救助にあたった1名も軽傷を負った。 適切な保護具未着用
作業標準書・マニュアルの不備
装置・設備の管理不足・点検不備
装置・設備の点検・管理体制不備
作業員への指示不備
作業主任者・管理責任者等の指示内容の検討不足
機器・設備の破損
応力腐食割れ
9月 その他の化学工業 中毒1名 (死亡) ジクロロメタン 高さ350cm、直径205cmのウレタン原料混合タンク(反応釜であるが第一種圧力容器には該当しない)内の底部に倒れていた被災者(防毒マスクは外れていた)が発見されたもの。被災時の目撃者はいないため、災害発生状況の詳細は不明だが、被災者近辺にシェーパー(タンク内の壁面を清掃する手持ち金属用具)が落ちていた。また、当該タンク開口部の蓋は開いており、当該タンク内に前夜入れてあった洗浄液(ジクロロメタン)約10〜20Lは抜かれていた。なお、被災者は、肺水腫を発症していた。解剖の結果、ジクロロメタンによる中毒死と判断された。 適切な保護具未着用
適切な呼吸用保護具未着用
安全衛生教育未実施
換気不足
作業者の危険有害性認識不足
作業者の作業手順・指示等の不履行
作業主任者・管理責任者等の危険有害性認識不足
12月 化学工業 急性肺水腫1名(休業) 硝酸 電子機器材料の製造中間工程で使用した遠心分離器に付着した固形物を除去するため、67.5%硝酸を用いて洗浄作業を行っていた。防毒マスクを着用し13時頃から洗浄作業を開始したが、14時頃には防毒マスク内に臭いを感じるようになり、他の作業員と交替し、部品の洗浄作業に従事していた。16時過ぎ頃、息苦しさを感じるようになり、その日は帰宅して様子を見ていた。その後、少し回復した為、翌日に出勤するも、少し動くと体調が悪化した為、病院を受診。翌々日、病院からの紹介により他の病院を受診し、硝酸による急性肺水腫と診断されたもの。 呼吸用保護具の不適切な着用
呼吸用保護具管理不足・点検不備
リスクアセスメント未実施
安全衛生教育不足
作業者の危険有害性認識不足
作業者の作業手順・指示等の不履行
作業主任者・管理責任者等の指示内容の検討不足
作業主任者・管理責任者等の危険有害性認識不足
平成28年7月 その他の有機化学工業製品製造業 呼吸障害1名(休業) トリレンジイソシアネート 工場内の発泡実験室において、被災者は機能性ウレタン発泡体の発泡実験を行うため、トリレンジイソシアネートが99%以上含有した有機溶剤を使用した。被災者は、呼吸用保護具を着用して実験を行ったが、当日の実験終了後、呼吸用保護具を着用せずに残液処理等の片付け作業を行ったため、揮発したトリエチレンジイソシアネートを吸い込んだものと考えられる。
被災者は、上記ばく露の約20分後、自動車で帰宅途中に息苦しさを感じ、翌日の午前1時になっても症状が悪化する一方であったため、救急車を呼び医療機関に搬送されたところ、呼吸障害と診断された。
適切な呼吸用保護具未着用
作業標準書・マニュアル未作成
換気不足
作業者の危険有害性認識不足
作業者の作業手順・指示等の不履行
作業主任者・管理責任者等の未選定

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