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4 その他の化学物質による中毒等(平成28年)
発生月 | 業種 | 被災状況 | 原因物質 | 発生状況 | 発生原因 |
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1月 | 化学工業(4701) | 角膜損傷、角膜違和感 | 無水酢酸 | ヘキシルアセテート製造の原料である無水酢酸750Lをステンレス製1000L容器にポンプ注入する作業中、担当者が持ち場を離れたためポンプ停止が遅れ、当該容器から無水酢酸が流れ出し、床面に約4.4X9.4mの広さで広がった。床にこぼれた無水酢酸を中和させるため、夜勤勤務の作業員5名がソーダ灰(炭酸ナトリウム)を床に撒く作業を行った際、気化した無水酢酸蒸気が作業者の目を刺激した。作業員はそれぞれの判断で保護具を着用した(1名が全面形防毒マスク、他4名はゴーグル)が、ゴーグルは隙間等から無水酢酸蒸気が目に入った。病院を受診し、4名が角膜損傷と診断された。 | 危険有害性の認識不足 設備の機能不足 適切な呼吸用保護具未着用 作業標準未作成 安全衛生教育不十分 |
1月 | 金属製品製造業又は金属加工業(5401) | 死亡1名 | 1―ブロモプロパン | 本災害は、工場ピット内で、ガス容器の洗浄作業中に発生した。 作業者が工場ピット内において、ガス容器(長さ5,150 mm、直径300 mm、容積300L、鋼製)の洗浄作業を行っていたところ、倒れているのを発見された。洗浄作業は、主成分1-ブロモプロパンの溶剤をガス容器に注入し、機械設備で回転させた後、溶剤を抜き取るものであった。作業者は、溶剤の抜き取り作業をピット内で行っていたところ、意識を失い倒れていた。救急車で病院に搬送されたが、死亡が確認された。 |
危険有害性の認識不足 換気不十分 保護具の点検不足 有機ガス用防毒マスクの適正使用せず 安全衛生教育不十分 |
3月 | 建設工事業 | 中毒(休業)3名 | 鉛 | 首都高速道路の橋梁桁に塗布された塗料の塗り替え工事で、近隣環境への配慮のためビニールシートで作業場を覆い、隔離措置された作業場でデイスクサンダー等を用いて含鉛塗料の掻き落とし作業に従事した作業者3名が全身倦怠感、食欲不振、体の痛み、指の痺れ、急激な体重減少などを訴えた。 | 換気不十分 局所排気装置未設置 適切な呼吸用保護具未着用 危険有害性の認識不足 作業衣や保護具の洗浄不足 保護具の保管管理不足 作業主任者未選定 安全衛生教育不十分 |
7月 | 化学工業(4701) | 中毒(休業)1名 | アニリン | アニリンを含む廃液をろ過する装置の攪拌機が停止したため、マンホールを開けてろ過器底部を確認したところ、廃液残渣が底部に固着しこれが抵抗となって攪拌機が停止していた。そのため、作業者がステンレス製の平板を用いて当該残渣を掻き出し、スコップでバケツに移して廃棄していたところ、体調不良を訴えた。一緒にいた作業指揮者が熱中症の疑いと判断し、塩飴とスポーツドリンクを飲むよう指示し、安静にさせた後、復調の兆しがあったため作業再開させたところ、体調が急変し、病院に救急搬送された。搬送された病院では診断できず大学病院に転送、診察の結果、急性アニリン中毒と診断された。 | 危険有害性の認識不足 適切な保護具未装着 作業標準未作成 安全衛生教育不十分 |
9月 | 前各項に該当しない事業(宗教、法務)(9416) | 中毒(休業)2名 | リン化水素 | 農協の農業倉庫(米保管倉庫)で、作業者2名が燻蒸作業が終了した倉庫に入り、燻蒸作業に用いた薬剤等の撤去作業を行っていたところ、倉庫内に充満していた薬剤のガス(ロン化水素)を吸入し、吐き気、体の痺れ、胸痛、下痢、呼吸困難の症状を示した。救急搬送され、リン化水素ガスの中毒症と診断された。 | 換気不十分 呼吸用保護具未着用 危険有害性の認識不足 作業手順の不適切 濃度測定未実施 安全衛生教育不十分 リスクアセスメント不足 |
10月 | 化学工業(4701) | 中毒(休業)1名 | オキシ塩化リン | 工場内のオキシ塩化リン充填室で、作業者1名が蒸留精製された液体のオキシ塩化リンをマザータンク(製品容器)から出荷容器へ液送充填する作業をしていた。マザータンクからの液送が停止したため、窒素ガスの圧力を強めた後、加圧を停止するため窒素ガス流量バルブの閉止作業を行ったところ、バルブ部品が外れ、オキシ塩化リンが製品容器から噴出して薬液が作業者の全身に付着した。救急搬送され、両眼角膜酸化学熱傷、化学物質性肺水腫、肺炎、右上肢熱傷、急性咽頭炎、鼻腔内糜爛と診断された。 | 危険有害性の認識不足 異常発生字の対処法不確立 機器・器具の定期点検不足 作業標準未作成 安全衛生教育不十分 リスクアセスメント不足 |
10月 | 化学工業(4701) | 全身火傷の感染症、敗血症により多臓器不全、死亡1名 | 赤燐など | エポキシ樹脂製造工場で、作業者1名がジャケット付き攪拌溶解器に原料の仕込み作業中、当該容器の上部マンホールから赤燐を投入中に火災が発生、マンホールから噴出した火炎により身体の60-70%に重度の火傷を負った。その後、被災者は皮膚移植等の治療を受けていたが、感染症(敗血症)による多臓器不全で死亡した。原因は、摩擦により発火した赤燐が着火源となり、当該容器で可燃性雰囲気を形成しうるブチルグリシジルエーテル蒸気に引火したことと考えられる。 | 危険有害性の認識不足 攪拌釜に赤燐を投入中、赤燐が投入網が動いたことによる衝撃、摩擦により発火し、攪拌釜内のブチルグリシジルエーテル蒸気に引火 赤燐投入が終わるまで攪拌釜に窒素を送給するはずが、当日未実施 赤燐投入終了まで攪拌釜内を加温しないはずが、当日は加温開始し74度に達した 作業方法及び作業手順の周知徹底不足 安全衛生教育不十分 |
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