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4 その他の化学物質による中毒等(平成24年)
発生月 | 業種 | 被災状況 | 原因物質 | 発生状況 | 発生原因 |
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1 | 有機工業製品製造業 | 薬傷1名 | オキシ塩化リン | 染料の中間体であるパラジエチルアミノベンズアルデヒドを製造するため、N,N−ジエチルアニリンに滴下ポンプを用いてオキシ塩化リンを滴下していた際、滴下ポンプ上部のホースが外れ、右大腿部を中心にオキシ塩化リンを体全体に被った。 | 設備の点検・管理不足 安全衛生教育不十分 |
2 | 医療機械器具製造販売 | 漏洩 | N-メチル-2−ピロリジノン | 人工透析器製造工程で使用するN-メチル-2-ピロリジノンが貯蔵タンクから敷地外に漏出した。タンク外周に設置された防油堤内に溜まった雨水を排出した際、表面で凍結した氷が下方に下がり、ドレンバルブのハンドルを押し下げて漏出したもの。 | 設備の管理不足 |
2 | 飲食店 | 中毒1名 | 次亜塩素酸ナトリウム | 回転寿司店内のトイレ内の床面等に散布された殺菌消毒剤(12%次亜塩素酸ナトリウム溶液)をモップおよび布巾で拭き取る作業を行ったところ、塩素臭等により気分が悪くなり、口唇、舌、のどの炎症および頭痛を発症した。 | 作業標準不徹底 安全衛生教育不十分 |
2 | 建設事業 | 薬傷3名 | コンクリート | 河川の砂防えん堤工事において、コンクリートの打設作業を行った際に、長靴の中に生コンが入り込み化学熱傷を負った。 | 適切な保護具未着用 安全衛生教育不十分 |
3 | 医薬品製造業 | 中毒3名 | アジ化水素 | 研究室で試薬用緩衝液(CL洗浄液)の調製作業にて、調合する試薬としてトリスアミノメタンを入れるべきところ、リン酸1ナトリウムを入れ、さらにアジ化ナトリウムおよび塩酸を加えたところ、異臭がし、これを吸引して中毒となった。 | 換気不十分 作業標準不徹底 |
3 | 各種機械装置の組立またはすえ付けの事業 | 中毒1名 | 亜鉛 | 作業場で亜鉛メッキ鋼材の溶接作業に7時間程度従事し帰宅後に、発熱等の体調不良を訴え、翌日医療機関に受診したところ、「急性亜鉛中毒の疑い」と診断された。 | 適切な保護具未着用 作業標準不徹底 |
4 | その他の電気機械器具製造業 | 中毒2名 | ピロール、イソプロピルアルコール | ピロールを使用する重合処理(アルミ箔表面に導電性高分子膜を形成する工程)作業に従事していた2名が、肝機能障害を発症した。 | 呼吸用保護具未着用 |
4 | 医療保健業 | 中毒1名 | オゾン水 | 手術器具の洗浄・消毒をするため、被災者が院内に設置されているオゾン水発生機よりオゾン水を、手術器具が入っている容器に入れ、流し台にて作業を行っていたところ、せき込み出し気分が悪くなり、急性化学性気管支炎となった。 | 危険有害性の認識不足 安全衛生教育不十分 |
5 | 解体工事業 | 中毒1名 | 亜鉛 | ビル解体工事において、同僚が溶断した空気設備機器の亜鉛メッキの配管を、運び出す作業をしていたところ、帰宅後に発熱や吐き気、関節痛の症状が出た。 | 危険有害性の認識不足 安全衛生教育不十分 |
6 | 非鉄金属の製錬または精錬業 | 中毒1名 | 鉛 | 溶解工場で、種板と呼ばれる鉛電極の製造業務、炉に廃バッテリーの電極を入れる作業、次いでアノードと呼ばれる鉛電極の製造業務、と順次従事していたところ、腰、膝、胃の痛みがひどくなり、鉛中毒となった。 | 設備の点検・管理不足 作業標準不徹底 |
6 | その他の建築事業 | 薬傷3名 | セメント原料 | ホッパーケーシング切り替え工事に従事していた作業員3名が、掻き落とされたセメント原料の落粉が皮膚に付着し、発疹が出た。 | 保護具着用不徹底 |
6 | 石油製品または石炭製品製造業 | 中毒7名 | 2−イソシアナトエチルメタクリレート | 工場の建屋内に設置している真空蒸留設備で、不純物約30%を含む2−イソシアナトエチルメタクリレートを蒸留精製した。蒸留終了後、蒸発回収されなかった残渣を残渣タンクからドラム缶に抜き取るための準備を2名で行っていたところ、残渣タンクののぞき窓が破裂し、のぞき窓のガラス片、内部の残渣が飛散したため1名が左手を負傷し、一緒に作業していた1名と駆けつけた5名が飛散した白煙により、目、のど等に異常を訴えた。 | 危険有害性の認識不足 安全装置未設置 作業標準未整備 設備の管理不足 |
6 | 動物の飼育もしくは畜産の事業または養蚕の事業 | 中毒1名 | 2-イソプロポキシフェニル-N-メチルカーバメート、ジメチルー2,2,2-トリクロロ-1-ヒドロキシエチルホスホナート | 鶏舎内で、害虫駆除のために消毒薬を噴霧したところ、約20分の噴霧作業終了後に吐き気およびめまいを催し中毒となった。 | 換気不十分 保護具未着用 安全衛生教育不十分 作業標準未整備 |
6 | その他の各種事業 | 死亡1名 | 珪弗化ナトリウム | 通常業務として現場詰所に立ち寄った際に、土産物の菓子と間違えて、珪弗化ソーダを口に含み、中毒を起こして死亡した。 | 危険有害性の認識不十分 安全衛生教育不十分 |
6 | その他の繊維工業または繊維製品製造業 | 中毒4名 | フッ素樹脂化合物 | 作業場内で、衣服の撥水処理作業のため、撥水剤を水で薄め、コンプレッサーで吹付け作業を行っていたところ、のどの痛みや、呼吸困難等の症状が出た。 | 換気不十分 呼吸用保護具未着用 安全衛生教育不十分 危険有害性の認識不足 |
7 | その他の食料品製造業 | 中毒2名 | 次亜塩素酸ナトリウム | フルーツ加工場で、フルーツのカット、カップ詰めおよび箱詰め等の作業を行っていたところ、作業開始約1時間後に吐き気等の症状を訴えた。作業開始の約3時間前に密閉された加工場において次亜塩素酸ナトリウムの希釈液を散布し、機械等の洗浄・滅菌作業を行っていた。 | 換気不十分 作業標準不徹底 安全衛生教育不十分 危険有害性の認識不足 |
7 | 自動車または軽車両による貨物の運送事業 | 死亡1名 | 二酸化炭素 | 路上に停車中の冷蔵冷凍車内の架台上で、配送作業を行っていた作業者が、車内に発生していた二酸化炭素を吸い込み、意識を失った。 | 換気不十分 安全衛生教育不十分 危険有害性の認識不足 |
8 | 電球製造業 | 中毒1名 | 1-ブロモプロパン | 1-ブロモプロパンが含有されている洗浄液を用いて、治具についた塗料を洗浄する業務に従事していた。朝からふらつきを感じ始めたが、翌日まで通常勤務を行った。病院を3カ所受診するが原因が分からなかった。体調不良感じてから5日後に病院で倒れ、精密検査を行ったところ、血液中の臭化物濃度が高かったことから、1-ブロモプロパンによる中毒と診断された。 | 危険有害性の認識不足 リスクアセスメント不十分 |
8 | 卸売業・小売業 | 死亡1名 | イソシアネート | トンネル工事で使用される注入機のメンテナンス後の作動確認作業で、トンネルに入り、注入機の薬液投入の説明等で建設会社の労働者が行う薬液の投入等に立ち会っていたところ、体調が悪化(咳き込み、しゃがみこみ、顔面蒼白、脈拍弱く等)し、病院に搬送されたが、3日後に死亡した。 | 保護具未着用 安全衛生教育不十分 |
8 | 橋りょう建設事業 | 中毒2名 | 鉛 | トラス橋補修現場にて、含鉛塗料の掻き落とし作業に従事していた作業者が鉛中毒を発症した。 | 換気不十分 呼吸用保護具未着用 安全衛生教育不十分 |
8 | 動物の飼育もしくは畜産の事業 | 中毒1名 | 有機リン | 鶏卵の生産等を行う事業場において、鶏舎の洗浄および害虫駆除のために殺虫剤(ジクロルボス、フェニトロチオン、トリクロルホン等を使用)および洗浄剤を可搬式動力噴霧器を用いて散布する作業に従事していたところ、頭痛、吐き気、舌のしびれ等を発症し、有機リン中毒となった。 | 適切な保護具未着用 安全衛生教育不十分 |
8 | 動物の飼育もしくは畜産の事業 | 中毒2名 | 有機リン | 鶏舎内で、害虫駆除のために動物用医薬品である殺虫剤を希釈した消毒薬を噴霧したところ、吐き気およびめまいを催した。 | 換気不十分 呼吸用保護具未着用 安全衛生教育不十分 |
8 | その他の建築事業 | 薬傷3名 | トリエチルアミン | 化学工場の設備改修工事においてトリエチルアミンが配管のバルブより噴出・飛散し、作業者が薬傷を負った。 | 設備の点検不足 作業標準不徹底 安全衛生教育不十分 |
9 | その他の電気機械器具製造業 | 中毒1名 | ピロール | 被災者はコンデンサ製造工程のうち、重合工程を担当していた。ピロールの気中濃度の高くなる装置付近ではマスクを使用し、濃度の低い装置付近では、マスクを使用しないまま作業をしていた。当該工程に配置後、1カ月経過した頃、血液検査で肝機能異常が認められ、病院で受診したところ薬物性肝障害となる工業中毒と診断された。 | 作業標準不徹底 安全衛生教育不十分 危険有害性の認識不足 |
10 | 医薬品製造業 | 中毒・薬傷計3名 | 臭素 | 臭素を内包したガラス容器の先端を折って開封しようとしたところ、容器下部が割れて臭素が飛散し、作業者や検査員が薬傷や中毒となった。 | 保護具未着用 危険有害性の認識不足 安全衛生教育不十分 |
11 | はつり・解体業 | 発散 | 石綿 | ホテル解体工事にて、4階以上の鉄骨梁に石綿が吹き付けられていたが、隔離養生をしないまま解体を行い、上層階から解体材を投下したため、石綿が建物内に広範囲に発散した。 | 作業標準不徹底 安全衛生教育不十分 危険有害性の認識不足 呼吸用保護具着用不徹底 |
11 | 有機工業製品製造業 | 中毒1名 | アニリン | 工場建屋内で、原水ピット内に溜まった汚泥を処理するため、原水ピット内でバケツで汚泥をすくい、ピット外側のスラッジ箱に入れる作業を行っていた。汚泥にアニリンが残留しており、これを吸引して、息苦しさを感じたため、マンホールから頭部を出し深呼吸した際、意識が薄れてピット内に転落した。 | 作業手順未整備 作業標準不徹底 安全衛生教育不十分 危険有害性の認識不足 保護具着用不徹底 |
11 | 建築物の新設に伴う設備工事業 | 中毒1名 | ジクロロブタジエン | 化学工場においてジクロロブタジエンの貯蔵タンク内に付着したスケール(堆積物)の清掃作業を行ったところ、タンク内の臭気により気分が悪くなり、嘔吐し中毒となった。 | 適切な呼吸用保護具未着用 |
12 | 建築物の新設に伴う設備工事業 | 薬傷7名 | 消石灰(水酸化カルシウム) | 定期点検後、試運転時に消石灰ホッパー下のフィーダーの調子が悪かったため、ホッパー下の点検口を開けて点検していたところ、大量の消石灰が落下し、点検口から消石灰が噴出、付近にいた労働者7名が消石灰に接触した。 | 設備の管理不足 作業標準不徹底 保護具着用不徹底 作業主任者未選任 |
12 | その他の金属製品製造業または金属加工業 | 中毒1名 | 接着剤(4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエン) | 内装パネル等の製造工場でトルエンを使用し接着用ノズルを洗浄する作業に従事していたところ、接着剤吸入による肺障害となった。呼吸用保護具を着用せず、局所排気装置等の有効な換気装置が設置されていなかった。 | 換気不十分 呼吸用保護具着用不徹底 危険有害性の認識不足 |
12 | 紙製造業 | 薬傷24名 | 水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム | 木材チップの蒸解に使用する水酸化ナトリウム等を含有する溶液を回収・再利用するラインにおいて、溶液および石灰の投入を行う配管が石灰により詰まり、当該配管の点検口より溶液および石灰が漏洩した。漏洩した溶液は強風によりミスト状に広く拡散し、付近を通行中の作業者がこれを浴びて被災した。 | 設備の管理不足 警報装置未作動 |
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