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4 その他の化学物質による中毒等(平成23年)

発生月 業種       原因物質 発生状況 (修正) 発生原因等
1月 紙製造業 中毒3名 水酸化ナトリウム 事業場内の苛性化ヤードにおいて、ポンプ周りの液漏れ修理を行っていたところ、修理箇所でないポンプと配管とのフランジの間に取り付けられたゴム製のパッキンが損傷し、薬液(水酸化ナトリウムを主成分とする液体)が噴出した。その場にいた事業場の作業者2名と、修理作業者1名が、吹き出した薬液で被災した。 設備・機器の点検不足
危険有害性の認識不足
2月 工作物の解体、移動、取り外し、又は撤去の事業 漏洩 クロロピクリン ビル解体工事現場において、基礎部分の解体のために、ドラグショベルを用いて掘削作業を行ったところ、現場監督、運転者、作業者の3名が目に痛みを感じ、作業を中断し、掘削した箇所を埋め戻した。その後の調査で、原因物質はクロロピクリンと推測された。 危険有害性の認識不足
3月 交通運輸業 中毒1名 ガス中毒 路線バス走行中、異臭を感じたため、窓を開けて換気しながら終点である営業所まで走行したところ、到着後に体調不良を訴え、ガス中毒症と診断された。 原因不明
3月 通信機械器具又は同関連機械器具製造業 漏洩 亜硝酸ガス 平成23年3月11日の大震災に伴い、建屋脇の硫酸と塩酸の混酸タンクとの配管が破損し、それに伴い、隣接の硝酸タンクの配管が腐食して漏えいした。同月14日、タンク周囲の防液堤内から二酸化窒素と水が反応して亜硝酸ガスの黄煙が発生しているのが発見された。 地震によるもの
5月 各種機械装置の組立て又は据付の事業 薬傷6名 三酸化硫黄 化学工場の定期点検工事において、酸性ガス除去設備から出る硫化水素と二酸化炭素をメタノールに吸収させる吸収塔の錆落とし等の清掃を行っていたところ、擦り取った錆の微粉じんに含まれた硫黄分が、保護眼鏡の換気孔から目に入り、作業者2名が目の痛みを訴え、作業者6名全員が、角膜化学外傷等となった。 適切な保護具未着用
5月 貯水池、鉱毒沈殿池、プール等の建設事業 中毒1名 エポキシ樹脂 下水処理施設の分配槽の防食工事において、数日前からエポキシ樹脂の塗布作業に従事していたところ、午後2時頃、咳が止まらなくなり、午後3時10分ごろ作業を終了した。翌朝、息苦しくなり、救急搬送され、入院した。防毒ガスマスクの着用、送風機による換気は行われていた。 適切な保護具未着用
6月 その他の食料品製造業 中毒1名 オゾン 有機飼料製造の工場建屋に隣接して設置された脱臭装置(屋外)の反応塔において、オゾンが流れているテフロンホースと反応塔の接続箇所を確認するため手で触れたところ、接続箇所のナットが外れて、テフロンホースから吹き出し続けていた(5L/分)オゾンを吸引して咳が止まらず呼吸困難となり、足元がふらつき意識もうろうとなった。 設備の管理不足
呼吸用保護具未着用
6月 無機工業製品製造業 中毒3名 2-アミノ-5-クロロピリジン 試作プラントで製造した医薬品の中間体2-アミノ-5-クロロピリジンの粗結晶をろ過した後、溶媒のメチルイソブチルケトンを加えて精製後、純度の上がった結晶を得た。この結晶から溶媒を除去するため、防じん機能付き有機ガス用防毒マスク、ゴム手袋を着用し、この結晶を乳鉢ですり潰す作業を行ったところ、体調が悪化し、血液検査の結果、2-アミノ-5-クロロピリジンによる中毒性メトヘモグロビン血症と診断された。マスクの漏れや経皮吸収によるばく露と推定された。 不適切な呼吸用保護具の使用
6月 伐木伐出業 中毒1名 N-メチルジチオカルバミン酸アンモニウム 森林組合の作業員が、キクイムシ防除のためくん蒸剤(主成分N-メチルジチオカルバミン酸アンモニウム)を用いて立木くん蒸作業を行っていたところ、全身に発疹が現れた。支給されていたゴム手袋とマスクは、息苦しい等の理由から使用していなかった。 呼吸用保護具未着用
作業標準未整備
安全衛生教育不十分
6月 土地の耕作又は植物の栽植、栽培若しくは採取の事業その他の農業 中毒1名 メソミル 農業組合法人に勤務する被災者が、畑に農薬(主成分メソミル、粉状のもの)を散布する作業を行っていたところ、めまいがして呼吸が苦しくなったが作業を続けたところ、その後、のどの渇きがひどくなり、目眩や息苦しさも悪化し、2回嘔吐し、帰宅後も全身の痛みや麻痺が出て、体の自由が利かなくなったことから、救急搬送され入院した。 呼吸用保護具未着用
安全衛生教育不十分
6月 その他の各種建築事業 中毒2名 鉛化合物 神宮境内の保存修理工事のため含鉛塗料を含む塗料の掻き落とし作業を5月上旬から行っていたところ、2名の作業員が6月上旬から吐き気や腹痛、腰痛を訴えた。症状が悪化して救急搬送され、鉛中毒と診断された。作業場所はビニールシートで覆い、通風がほとんどない状態であった。 呼吸用保護具の管理不十分
安全衛生教育不十分
作業主任者の未選任
6月 化学工業 中毒2名 防腐剤 ラテックス製造施設の出荷工程へ防腐剤を供給する設備において、防腐剤貯蔵用タンクから出荷工程の混合タンクまで防腐剤を供給する約350mの配管途中にできたピンホールから、防腐剤が霧状に噴出し、付近を通行していた労働者6名が防腐剤を顔に浴びた。 設備の点検不足
7月 卸売・小売業 中毒1名 不明 医薬品原料等の製造事業場から廃棄されたガラス屑(化学物質の容器で、使用後水で洗浄し廃棄されたもの)を、ドラム缶から小型の容器に移し替える作業をしていたところ、額の汗、口の周りを拭ったところ清涼感を感じるとともに目に痒みを感じた。目の赤み、腹痛や発汗の体調不良を訴え、中毒症と診断され約2週間入院治療を行った。ガラス屑に何らかの有害物があり、それが手に付き、汗を拭ったことで体内に取り込まれたと推察された。 適切な保護具未着用
7月 無機工業製品製造業 漏洩 クロロピクリン クロロピクリン製造プラントにおいて、ポンプの作動不良により、中間タンク上澄みや排ガス処理設備のドレン等を留め置く地中ピットから、クロピクリン溶解液10〜20Lが漏れていた。すぐにポンプを再起動させ、液位は正常に低下したが、事業場内に体調不良を訴えた者はいなかったものの、周辺工場の労働者等26名が異臭と目の痛みを訴えた。 設備・機器の点検不足
7月 自動車又は軽車両による貨物の運送事業 中毒1名 モノメチルアミン 運送会社の作業員が、化学工場からモノメチルアミンが入っていた空のボンベ9本を持ち帰り、自社の貨物一時保管場所に置いた。翌朝、建物内に入ったところ、「あまいアンモニア臭」がしたため、窓を開けて換気を行ったが、漏れ出ていたモノメチルアミンを吸い込み、吐き気、手の痺れ及び頭のふらつき等の症状が見られた。 危険有害性の認識不足
7月 パン又は菓子製造業 中毒8名 フロンガス 洋菓子製造の事業場において、冷凍庫の冷媒として使用していたフロンガスが作業場内に漏れ、作業者の8名が体調が悪いと受診し、うち3名が入院した。当日は、ガス検知器が作動して、オーブンが稼働せず、冷凍庫の調子が悪く、修理作業を依頼していた。 危険有害性の認識不足
8月 自動車又は軽車両による貨物の運送事業 中毒1名 二酸化炭素 冷凍トラック3t車で冷凍食品を各店舗へ配送する運転手が、冷蔵庫内の温度を適温に保つため、通常より多くドライアイスを積み込んで出発し、配送先であるコンビニエンスストアに到着し積荷を降ろしたところ、ドライアイスから気化した二酸化炭素により、急性中毒に陥り意識を失った。 作業標準不徹底
呼吸用保護具未着用
8月 その他の事業 中毒1名 リン化水素 5つの穀物倉庫をくん蒸するため、被災日の1週間前に燻蒸剤(主成分リン化アルミニウム)を投薬し、朝から車で各倉庫を回って燻蒸剤を回収して、ハッチバック型車両のトランクに積み込み移動していたところ、当該燻蒸剤の残渣に未反応のものがあり、分解反応を起こして殺虫成分のリン化水素が発生した。これを吸い込み、午後になって運転中に頭痛、胸部圧迫、呼吸困難等の急性中毒となった。 危険有害性の認識不足
呼吸用保護具未着用
8月 [1]化学製品製造販売
[2]自動車製造
薬傷3名 水酸化ナトリウム 工場の塗料含有廃水処理施設内において、薬品の納入業者の作業員がトラックの荷台上のコンテナーから液状の薬品(主成分水酸化ナトリウム)を施設内のタンクへ送給しようとしたところ、持参のポンプが不具合を生じたため、工場備え付けのポンプを使用して薬品の送給作業が行った。作業終了後、ホースを取り外そうとしたところ、ホースとポンプの結合箇所より液体が噴き出し、作業員3名の顔面等にかかった。 設備の確認不足
8月 機械装置の組立てまたは据付の事業 薬傷4名
粉体キレート 粉体キレートの貯留槽に設けられた計器の交換作業を行っていた作業者3名が粉体キレートにばく露し、直後に現場に駆けつけた作業者1名も、再度噴出した粉体キレートにばく露した。計4名が両角結膜化学火傷を負った。 適切な保護具未着用
9月 有機工業製品製造業 中毒2名 有機ガス 液状のフッ素化合物(1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン)が入ったコンテナを、フォークリフトを使用して運搬し、建屋に入ろうとしたところ、コンテナから突き出ているノズルが、建屋入り口のシャッターレール部分に激突してノズルが破断し、内容物であるフッ素化合物が流出した。流出した液の回収作業を行った2名が、この蒸気を吸引し、意識障害を生じた。 呼吸用保護具未着用
11月 自動車又は軽車両による貨物の運送事業 中毒3名 四アルキル鉛 貨物運送の事業において、工場建物の解体及び環境改善工事から出た汚染土を処理施設に運搬する作業中、汚染土から出た四アルキル鉛を含む空気を吸引し、中毒となった。
危険有害性の認識不足
11月 その他の非鉄金属の製錬又は精錬業 漏洩 二酸化窒素 貴金属の回収精錬を行う事業場において、前日に、アルミニウム製品に付着しているコバルト膜を除去するため、屋外に設置された反応槽にアルミニウムと希硝酸を投入し、反応させるため一晩放置していた。翌朝、反応槽から赤褐色のガス(二酸化炭素)が出ていることを確認し、その後、付近住民からの通報により、消防署及び警察署により周辺の立入禁止等の措置がとられた。 設備の不適切な使用
作業主任者の未選任
11月 その他の繊維工業又は繊維製品製造業 中毒2名 オゾン 羽毛布団の製造加工リフォームを行う事業場において、前日に羽毛の原毛を消毒消臭するため、原毛を敷き詰めオゾン発生装置をセットして帰宅した。翌朝装置を停止し、室内の換気扇を稼働させ、扉を閉めたが、オゾンの臭気が工場内に漏れた。扇風機などどで換気したが、工場で作業していた6名のうち2名が頭痛を訴えた。 設備の不適切な使用
換気不十分
12月 建築事業 中毒1名 亜鉛ヒューム 社会福祉施設の新築工事現場において、ガス溶断により、床デッキプレートの開口穴開け作業を行っていたところ、作業終了前ごろ息苦しさと寒気を感じ作業を中止し、息苦しさが緩和したので帰宅した。2日後、急に胸が苦しくなって、病院に搬送され、亜鉛ガス中毒による肺障害と診断された。 呼吸用保護具未着用
換気不十分
安全衛生教育不十分

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