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4 その他の化学物質による中毒等(平成22年)
発生月 | 業種 | 被災状況 | 要因分類 | 原因物質 | 発生状況 | 発生原因 |
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1月 | 有機工業製品製造業 | 火傷2名 | 化学物質 | クエンチ油 | プラントの冷却用クエンチ油を循環させるポンプの吸入ラインベローズに確認されたにじみの原因確認のため、当該ラインの縁切り準備作業を開始し、吐出弁を閉め、吸入弁を閉めていたところ、にじみ箇所が突然裂け、弁の閉止作業をしていた2名の労働者の足元にクエンチ油(約170℃)が噴出し、火傷を負った。 | 緊急対応マニュアル未整備 |
3月 | 有機工業製品製造業 | 薬傷1名 | 化学物質 | 水酸化ナトリウム | 排水のpH調整用の配管フランジ部分から水酸化ナトリウムが漏えいし、配管下で、新設した砂ろ過装置の試験運転・調整作業を行っていた労働者が化学熱傷を負った。 | 作業標準不徹底 設備の管理不足 |
4月 | その他の電気機械器具製造業 | 中毒2名 | 化学物質 | ピロール | 重合処理(アルミ箔表面に導電性高分子膜を形成する工程)作業にピロールを使用していたところ、従事労働者が肝機能障害を発症した。 | 危険有害性の認識不足 呼吸用保護具未着用 |
4月 | 劇場、遊技場その他の娯楽の事業 | 中毒4名 | 化学物質 | 二酸化塩素 | スポーツクラブの男性用浴室を清掃しようと浴槽のふたを開けたところ、浴槽の湯が黄緑色になっており異常を感じたため、管理者であるマネージャーに連絡し、様子を見ているうちに、むせる、鼻が痛む等の症状が現れた。なお、浴槽内の湯は浄化等のため前夜から二酸化塩素発生剤を投入していた。 | 危険有害性の認識不足 換気不十分 |
5月 | その他の電気機械器具製造業 | 中毒1名 | 化学物質 | 洗浄液 | 製造中の部品自動洗浄機の試験運転のため洗浄液が入れられていた煮沸槽から洗浄液の抜き取りを行った後、煮沸槽の上蓋を開け煮沸槽内に上半身を入れて洗浄液の拭き取り作業を行ったところ、槽の底部に滞留していた高濃度の洗浄液蒸気を吸入し、一時意識を失った。 | 危険有害性の認識不足 呼吸用保護具の未着用 換気不十分 |
5月 | 酒類製造業 | 薬傷2名 | 化学物質 | エタノール | アルコール度数約44度の焼酎原酒が目に入ったため、両眼の角膜が化学熱傷を負った。 | 保護具未着用 |
7月 | 清掃業 | 薬傷1名 | 化学物質 | 水酸化ナトリウム、 砒素化合物 |
産業廃棄物である酸性の砒素化合物を中和処理するため、薬液槽に砒素化合物と工業用水を入れ薬液槽の蓋の上で粒状の水酸化ナトリウムを薬液槽内に投入していたところ、薬液槽内の混合液が飛散し、不浸透性の保護衣やゴーグル型の保護眼鏡を着用していなかった労働者の顔面・肩・肘・大腿部等にかかり、Ⅱ度〜Ⅲ度の化学熱傷を負った。 | 危険有害性の認識不足 保護具未着用 |
7月 | 各種機械装置の組立てまたはすえ付けの事業 | 中毒1名 | 化学物質 | アニリン | オートクレーブ装置について、アニリンによる置換作業を行い、通常洗浄後、窒素ガス置換によりアニリンの排出を行っていたところ、残留していたアニリンを吸い込み、中毒となった。 | 換気不十分 呼吸用保護具未着用 |
8月 | その他の化学製品製造業 | 中毒1名 | 化学物質 | 化学製品 | 配管内部に付着した結晶の除去作業を行うため、屋内配管を外して別室に運び、洗浄作業としてフランジ部の結晶をドライバーにてこそぎ落としていたところ、配管に詰まっていた原料が自己反応性化学物質であったことから、衝撃を与えたことが原因で瞬間的に膨張・発煙し、配管の片方から煙が出るとともに、配管の両端から内容物が噴き出し、作業をしていた労働者の右半身にかかった。労働者はヘルメット・ゴーグル・有機ガス用防毒マスク・ゴム手袋などの保護具を着用していたが、噴出物が付着したゴーグルを思わず外した際に有機ガス用防毒マスクもずれて吸い込み、中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 非定常作業時の作業標準不徹底 |
8月 | 電子応用装置製造業 | 薬傷1名 | 化学物質 | 希釈剤 | 潤滑剤塗布装置の貯槽へ希釈剤の補充を専用のポンプで行う作業において、本来はポンプ先端部を貯槽内に挿入してポンプのエアバルブを開栓するところ、挿入されていないことに気がつき、慌ててホースを手で保持しながらバルブ操作を行ったため、ポンプ先端を自らの顔に向けてしまい、希釈剤が顔にかかった。 | 安全衛生教育不十分 作業標準不徹底 |
9月 | 建築物の新設に伴う設備工事業 | 薬傷1名 | 化学物質 | 酸化鉄、酸化カリウム、酸化セリウム、酸化モリブデンの混合物 | 石油精製プラントの点検補修工事において、脱水素反応器の槽内に入って触媒の抜出し作業に従事したところ、腕部分に肌荒れの症状が現れた。なお、触媒は、酸化鉄、酸化カリウム、酸化セリウム、酸化モリブデンの混合物であり、MSDSには取扱時の身体保護具は密閉型保護具と記述されていたが、注文者の指示で、煙管服にて槽内作業に従事していた。 | 危険有害性の認識不足 適切な保護具の未着用 |
10月 | 有機工業製品製造業 | 中毒1名 | 化学物質 | メチルメルカプタン | プラントから出たアルカリ性廃液について、処理費用を下げようと、廃液のpHを14から中和して12まで下げるため、屋外において、廃液に塩酸を加えて中和作業を行っていたところ、廃液をヒシャクで攪拌していた労働者が発生したメチルメルカプタンを吸い込み、中毒となって意識を失い倒れた。 | 危険有害性の認識不足 保護具未着用 |
10月 | 自動車製造業 | 中毒3名 | 化学物質 | 防錆剤、溶剤 | 仕上げ検査工程において、洗浄作業として製品を防錆剤に漬けた後、エアーで製品を吹く工程があり、製品に使用する防錆剤を水溶性のものから油性のものに交換し作業を行っていたところ、吹き飛ばされてミスト状となった防錆剤および溶剤を吸入したため、頭痛、嘔吐感を伴う中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 保護具未着用 |
10月 | その他の化学工業 | 薬傷2名 | 化学物質 | シーリング剤原料 | 建築用シーリング剤の製造ラインにおいて、中間製品に追加原料の投入作業をしていたところ、追加原料が付着していた手袋で汗をぬぐったため、額に付着し、皮膚炎を発症した。 | 危険有害性の認識不足 安全衛生教育不十分 |
11月 | 各種機械装置の組立てまたはすえ付けの事業 | 薬傷1名 | 化学物質 | 硝酸カリウム | 硝酸カリウムを溶融するタンクのドレン配管が詰まったため、耐熱服、耐熱手袋、耐熱頭巾を装備し電動ドリルを使用し配管出口の凝固したソルト(塩)の穿乱作業を行っていたところ、溶融したソルト(塩)が吹き出した。 | 危険有害性の認識不足 緊急対応マニュアル未整備 |
12月 | 非鉄金属圧延または伸線業 | 火傷(死亡1名、 薬傷1名) |
化学物質 | ボンデ液(硝酸亜鉛、りん酸亜鉛等) | 鋼線の酸洗工程において、コイル状に巻いた鋼線の束をクレーンでつり上げ、ボンデ液槽に浸ける作業を行っていたところ、労働者が高さ80㎝の柵を越えて槽に転落し、全身に熱傷を負い、救助した労働者も右手に熱傷を負った。 | 危険有害性の認識不足 設備の管理不足 安全衛生教育不十分 |
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