その他の化学物質による中毒等(平成21年)
発生月 | 業種 | 被災者数 | 有害要因 | 発生状況 | 発生原因等 |
2月 | 一般産業用機械装置製造業(5607) | 中毒1名 | 塩化ホスホリル | 調味料の製造工程において、配管内部を窒素ガスで洗浄した後、配管の取り外し作業を行っていたところ、配管内部に残留していた塩化ホスホリル(別名:オキシ塩化リン)ガスを吸入し、急性中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 非定常作業の作業標準不徹底 呼吸用保護具の未着用 |
3月 | その他の化学製品製造業(4709) | 薬傷4名 | 水酸化ナトリウム | 菌の培養テストを行う培養タンクにおいて、pH調整するために供給ポンプで水酸化ナトリウム水溶液(30%)をタンクに投入する作業を行っていたところ、タンク側受け口の開閉コックを閉めたままの状態で供給ポンプを稼働させたため、水酸化ナトリウム水溶液がホース内で圧縮され、その後、供給ポンプを停止させたため、水酸化ナトリウム水溶液がホースを逆流し、供給ポンプから噴出し、顔、首等にかかり、薬傷を負った。 | 作業標準不徹底 設備・機器の点検不足 |
3月 | 研究又は調査の事業(9426) | 中毒1名 | アクリル酸クロライド | 高純度のアクリル酸クロライドを生成する工程において、ガラス製の装置に入ったアクリル酸クロライドをオイルバスで80℃まで加熱し、常圧で蒸留していたところ、バルブの開放操作が行われず、装置内部の圧力が上昇し、発散したアクリル酸クロライドガスを吸入し、中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 作業標準不徹底 |
4月 | 自動車又は軽車両による貨物の運送事業(7203) | 薬傷、中毒1名 | 過酸化水素 | 物流倉庫において、フォークリフトを運転して、過酸化水素の入ったコンテナタンクを移動させたところ、フォークリフトの爪がコンテナタンク下部の配管フランジ部分に接触し、配管が破損し、過酸化水素が漏れ、過酸化水素に直接触れた手指が化学熱傷となった。また、気化した過酸化水素ガスを吸入し、中毒となった。 | 作業標準不徹底 呼吸用保護具の未着用 危険有害性の認識不足 |
4月 | 原動機製造業(5601) | 中毒1名 | 二酸化炭素 | 超低温槽の定期点検作業において、補助冷却装置の液化炭酸ガスボンベの重量を量るため、ボンベを重量計に乗せようと両手で抱えあげたところ、ボンベの接続口の配管が破断して外れたため、室内に二酸化炭素が充満し、二酸化炭素中毒となった。 | 作業標準不徹底 危険有害性の認識不足 |
5月 | 通信機械器具又は同関連機械器具製造業(5704) | 薬傷1名 | 水酸化テトラメチルアンモニウム | 液晶ディスプレイ製造工場の薬液供給室において、基板製造装置のフィルターの交換作業を行っていたところ、強アルカリ性の水酸化テトラメチルアンモニウム20%水溶液がフィルターの継手から噴出し、これを浴び、薬傷となった。 | 危険有害性の認識不足 作業標準不徹底 設備の点検不足 呼吸用保護具の未着用 |
7月 | 宗教、法務(9416) | 中毒1名 | ジホスゲン | 実験室において、合成実験の反応試薬としてジホスゲン(クロロギ酸トリクロロメチル)を使用後、ジホスゲンの入った瓶のフタに漏れ防止のためにビニールテープを巻いていた際、瓶ごと床に落とし、瓶が割れ、ジホスゲンが漏れたため、拭こうとしたところ、ジホスゲンガスを吸入し、中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 換気不十分 呼吸用保護具の未着用 安全衛生教育不十分 |
7月 | 既設建築物における建具の取付け、床張りその他の内装工事業(3803) | 中毒3名 | クロロピクリン | 農機具小屋の解体作業において、農業用トラクターを圧砕機で把持し、屋外へ移動させたところ、トラクター座席下に置いてあった農薬(クロロピクリン燻蒸剤)の入った容器(ペール缶:20![]() |
設備・機器の点検不足 危険有害性の認識不足 |
8月 | 研究又は調査の事業(9426) | 薬傷、中毒4名 | 臭素、ブロモアセトン | 分析室において、局所排気装置内で金属分析を行うため、三角フラスコに試料を入れ、酢酸メチルを添加し、続いて臭素を攪拌しながら少しずつ添加するところ、誤って酢酸メチルの替わりにアセトンを添加したため、アセトンと臭素が激しく反応し、三角フラスコが割れ、薬品が顔等に飛散し、薬傷を負った。また、反応で生成したブロモアセトン等のガスにより、中毒となった。 | 作業標準不徹底 呼吸用保護具の未着用 |
9月 | 飲食店(9802) | 中毒1名 | 二酸化炭素 | 店舗において、テーブル下の扉の隙間から白い煙のようなものが出ていたため、扉を取り外し確認しようとしたところ、予備のボンベ(液化二酸化炭素5kg入り)から吹き出した二酸化炭素ガスを吸入し、二酸化炭素中毒となった。 | 設備の点検不足 呼吸用保護具の未着用 |
10月 | 無機・有機化学工業製品製造業(4702,4703) | 薬傷3名 | 水酸化ナトリウム | 無機・有機化学工業製品製造工場の製造プラントにおいて、移送管路上のボールバルブを修繕のため、バルブ部品を取り外したところ、内部に残留していた水酸化ナトリウム水溶液(含有率1%未満、温度70〜80℃)が噴出し、顔に薬傷を負った。 | 作業標準不徹底 保護具の未着用 |
12月 | 非鉄金属の製錬又は精錬業(5101) | 中毒1名 | セレン | セレン精製作業場において、セレン200kgをアルミニウム製の釜に入れ、電気炉にて280℃で溶融する作業を行っていたところ、釜が壊れ、セレンが漏れたため、除去作業の準備をしていた者がセレンを吸入し、セレン中毒となった。 | 非定常作業の作業標準不徹底 呼吸用保護具の未着用 |