その他の中毒(平成20年)
発生月 | 業種 | 被災状況 | 要因分類 | 原因物質 | 発生状況 | 発生原因 |
2月 | 鋼船製造又は修理業(5901) | 中毒1名 | その他 | 酸化亜鉛 | 鋼製船舶の建造作業において、厚さ70〜100μm程度の亜鉛メッキが施された測深管の溶接作業が行われていた船首部タンク内部で片づけ作業を行っていたところ、亜鉛ヒュームを吸入し、亜鉛中毒となった。 | 換気不十分 安全衛生教育不十分 |
2月 | 無機工業製品製造業(4702) | 火災(火傷1名) | その他 | 赤りん | エポキシ樹脂と添加剤を混合して難燃剤を製造する工程において、溶解器のマンホールから主成分が赤りんの添加剤を投入したところ、添加剤の粒子の摩擦熱又は静電気により添加剤が発火、爆発的に燃焼し、マンホールから噴出した火炎により、火傷を負った。 | 危険有害性の認識不足 作業標準不徹底 |
3月 | その他の各種事業(9416) | 中毒1名 | その他 | 1-ブロモプロパン | 塗装ラインの塗装ブースにおいて、ギア部品を洗浄カゴに入れてどぶ漬け脱脂洗浄作業を行っていたところ、換気が不十分な状態で、防毒マスクを着用しないで作業を行ったため、脱脂洗浄剤中の1-ブロモプロパン蒸気を吸入し、急性中毒となった。 | 換気不十分 作業標準不徹底 呼吸用保護具未着用 |
4月 | その他の設備工事業(3801) | 火災(火傷2名) | その他 | シクロヘキサン | プラントの定期修理工事において、タンク内の溶接補修工事を行っていたところ、隣接したタンクで配管に固形物等が詰まっていないか水を流して確認する作業が行われており、配管内に残留していたシクロヘキサンがタンク内に流れ込み、火災が発生し、火傷を負った。 | 設備の点検不足 非定常作業の作業標準不徹底 |
4月 | 鉄道、軌道又は索道による旅客又は貨物の運送業(7101) | 中毒3名 | その他 | ナトリウム=メチルジチオカルバメート | 貨物コンテナの清掃作業において、コンテナ内部に残っていた農薬のナトリウム=メチルジチオカルバメートをホースの水で洗い流し、スポンジで拭き取る作業をしていたところ、農薬中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 保護具未着用 |
4月 | 産業用電気機械器具製造業(5701) | 薬傷3名 | その他 | 水酸化ナトリウム | プリント配線基板の製造ラインにおいて、ラミナー剥離機の圧力が上昇しないので、エアー抜きのために水を注入していたところ、ポンプのスイッチが停止しておらず、稼働した状態であったため、エアーが抜けるとともに3%水酸化ナトリウム溶液が噴出し、噴出した溶液により熱傷を負った。 | 作業標準不徹底 保護具の未着用 |
4月 | 医療器械器具製造業(6003) | 中毒9名 | その他 | 二硫化モリブデン | 医療用内視鏡のスコープ修理作業において、スコープ内部に二硫化モリブデンを塗布し、乾燥機で加熱・乾燥させていたところ、二硫化モリブデンが酸化反応し、二酸化硫黄ガスが発生し、中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 換気不十分 |
4月 | ボルト、ナット、リベット、小ねじ、木ねじ等製造業(5407) | 中毒4名 | その他 | 二酸化窒素 | 屋外の少量危険物倉庫前において、硝酸廃液を空ドラム缶へ移し替え作業中、作業指示の間違いに気づき、作業を中断し、ドラム缶の蓋を閉めた。その後、少し上下に膨張していたドラム缶から硝酸廃液を抜き取るため、ドラム缶の蓋を開けたところ、ドラム缶から噴出した硝酸廃液を浴び、同時に噴出した二酸化窒素ガスを吸入し、中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 呼吸用保護具の未着用 |
4月 | 石油精製業(4710) | 火災 | その他 | 潤滑油 | 精油所において、給水ポンプの試運転を行っていたところ、軸受部シール部及び軸受部エアベント部から潤滑油が漏れ出し、軸受箱の下を通る400℃の蒸気回収配管に接触し、潤滑油が発火した。 | 危険有害性の認識不足 設備の点検不足 |
5月 | 医療保健業(9424) | 中毒3名 | その他 | クロロピクリン | 救命救急センターにおいて、クロロピクリンによる農薬自殺者が搬送された後に農薬を嘔吐したため、センター内にクロロピクリンガスが拡散し、救命スタッフ及び外来患者がクロロピクリンガスを吸入し、中毒になった。 | 危険有害性の認識不足 換気不十分 |
5月 | 卸売業・小売業(9801) | 中毒1名 | その他 | フロンガス | 惣菜作業室において、隣接している冷蔵庫の冷媒ガスの配管溶接部分に亀裂が発生してフロンガスが漏洩し、フロンガスを吸入し、中毒となった。 | 設備の点検不足 |
6月 | 非鉄金属の製錬又は精錬業(5101) | 中毒1名 | その他 | クロロピクリン | 廃金属類のプレス作業において、フォークリフトで回収された土壌殺菌剤の空き缶を金属プレス機に投入し、成型したプレス材を排出シュートで排出する作業を行ったところ、プレス材からクロロピクリンガスが発散し、クロロピクリンガスを吸入し、中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 |
6月 | 非鉄金属圧延又は伸線業(5203) | 中毒1名 | その他 | 一酸化窒素 | 酸洗工場の薬液調整作業において、バルブ操作を誤ったため、工業用水がアルカリ促進剤のタンクに流入し、タンク容量を超えて溢れ出した促進剤とピットケース内の補給剤(酸性)が反応し、一酸化窒素ガスが発生し、一酸化窒素ガスを吸入し、中毒となった。 | 作業標準不徹底 呼吸用保護具の未着用 緊急時の対応未整備 |
6月 | ビルの総合的な管理等の事業(9301) | 中毒2名 | その他 | リン化水素 | リン化アルミニウム含有の燻蒸剤残滓の移送作業において、残滓をビニール袋で二重梱包し、車に積載していたところ、残滓が完全に分解しておらず、リン化水素ガスが発生し、ビニール袋から漏洩したリン化水素ガスを吸入し、急性中毒となった。 | 作業標準不徹底 安全衛生教育不十分 |
6月 | その他の食料品製造業(4110) | 中毒1名 | その他 | 次亜塩素酸ナトリウム | 野菜加工場において、ニラを束ねる作業を行っていたところ、近接した場所で次亜塩素酸ナトリウム水溶液によるまな板の消毒が行われており、次亜塩素酸ナトリウム水溶液のミストを吸入し、中毒となった。 | 換気不十分 |
7月 | ゴルフ場の事業(9606) | 中毒1名 | その他 | 農薬 | ゴルフ場において、除草剤散布作業を行っていたところ、散布車の運転手が農薬中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 安全衛生教育不十分 |
7月 | 医薬品製造業(4707) | 薬傷1名 | その他 | ゾテピン | 治療薬のゾテピン(分子式:C18H18CINOSC )を篩に掛けた後、ふるい器を水及びエチルアルコールにより洗浄作業を行っていたところ、腕に薬傷を負った。 | 危険有害性の認識不足 保護具の未着用 |
7月 | 有機工業製品製造業(4703) | 薬傷3名 | その他 | エタノールアミン塩酸塩 | エタノールアミン塩酸塩を製造する反応器の塩酸供給配管において、反応器内のエタノールアミン塩酸塩が逆流し、配管のフランジ付近が固化したので、点検のためフランジを開放したところ、反応器内の圧力でエタノールアミン塩酸塩が噴出し、エタノールアミン塩酸塩を浴び、薬傷を負った。 | 危険有害性の認識不足 非定常作業の作業標準不徹底 |
7月 | その他の食料品製造業(4110) | 中毒1名 | その他 | 次亜塩素酸ナトリウム | 大根皮むき場の殺菌・消毒工程において、次亜塩素酸ソーダ水溶液により殺菌・消毒された大根を洗浄槽からすくい上げ、箱に移し、次工程に運搬する作業を行っていたところ、次亜塩素酸ソーダ水溶液から発生したミストを吸入し、中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 換気不十分 |
8月 | 鉄筋コンクリート造りの家屋の建設事業(3501) | 薬傷5名 | その他 | ポルトランドセメント(酸化カルシウム) | ビル新築工事現場において、カッパとゴム長靴の隙間をガムテープで密閉し、ひざ近くまで浸かりながら、生コンクリート(ポルトランドセメント)を均す作業をしていたところ、カッパとゴム長靴の隙間より生コンクリートが入り込み、ふくらはぎに薬傷を負った。 | 危険有害性の認識不足 作業標準不徹底 |
8月 | 配管工事用附属品製造業(5403) | 薬傷4名 | その他 | アルカリ水溶液 | 工場内において、ポンプの交換作業を行っていたところ、上の階の床に滞留していたアルカリ性の水溶液(ph10〜11)が床の穴から階下に滴下し、皮膚に薬傷を負った。 | 設備の点検不足 |
9月 | 電子管又は半導体素子製造業(5705) | 薬傷1名 | その他 | 塩化ホスホリル | 半導体製造設備のメンテナンス作業において、塩化ホスホリル溶液の入った石英容器に接続されているチューブの洗浄作業を行っていたところ、塩化ホスホリルが他の物質と反応し、塩素ガスが発生したため、石英容器の内圧が上がり、破裂して塩化ホスホリル溶液を浴び、薬傷を負った。 | 危険有害性の認識不足 設備の点検不足 |
9月 | 医薬品製造業(4707) | 中毒10名 | その他 | アジ化水素(アジ化ナトリウム) | 透析用バッファーの調整室において、試薬調整タンクにアジ化ナトリウムを投入・溶解し、pH調整後、塩酸を投入する作業を行っていたところ、pH調整せずに塩酸を投入したため、アジ化ナトリウムと塩酸が反応してアジ化水素ガスが発生し、アジ化水素ガスを吸入し、中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 作業標準不徹底 |
10月 | ブリキかんその他のめっき板製品製造業(5401) | 中毒1名 | その他 | 酸化亜鉛 | 亜鉛メッキされた空調用ダクトの穴開け作業において、ダクトの穴開けのため、ガス溶断作業を行ったところ、ガス溶断で発生した亜鉛ヒュームがダクト内に溜まっており、穴が開いたときにダクト外に漏れた亜鉛ヒュームを吸入し、亜鉛中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 設備の点検不足 |
12月 | 化学繊維製造業(4202) | 中毒1名 | その他 | デカヒドロナフタリン | ポリエチレン繊維の紡糸工程において、糸切れが発生したため、機械の上部を開けて、流れ出る繊維を機械外へ取り出す作業をしていたところ、防毒マスクを着用せずに機械の上部を開けたため、機械内に充満していたデカヒドロナフタリン(別名デカリン)蒸気を吸入し、中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 換気不十分 呼吸用保護具の未着用 |
12月 | 医療保健業(9424) | 中毒19名 | その他 | O, O -ジエチル- O -(2-イソプロピル-4-メチル-6-メチルピリミジル)ホスホ ロチオエート(別名ダイアジノン) |
病院の救急蘇生診療室において、農薬(殺虫剤:ダイアジノン含有)を飲んだ患者の診療に当たっていたところ、診療に当たっていた医師、看護師等が患者の嘔吐物から発生したダイアジノン蒸気を吸入し、有機リン中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 換気不十分 |