その他の中毒(平成19年)
発生月 | 業種 | 被災状況 | 要因分類 | 原因物質 | 発生状況 | 発生原因 |
1月 | その他の石油製品又は石炭製品製造業(4716) | 中毒1名 | その他 | 2,4−ジクロロトルエン | ドラム缶へ薬剤を充填する作業において、自動計量器が適切に作動せず、充填ノズルとドラム缶の注入口の隙間から2,4−ジクロロトルエンが漏れ出したため、漏れた2,4−ジクロロトルエンをウエスで拭きとったところ、同ウエスの2,4−ジクロロトルエン蒸気を吸入し、中毒となった。 | 機器の点検不足 安全衛生教育不十分 |
3月 | 研究又は調査の事業(9426) | 中毒1名 | その他 | ニトロベンゼン | 研究室において、ドラフトチェンバー内で化学反応実験中、異常発熱反応が起こり、試薬を混合、溶解するために使用していたニトロベンゼンが発散し、ニトロベンゼンガスを吸入し、中毒になった。 | 危険有害性の認識不足 |
3月 | 鋳物業(5302) | 中毒6名 | その他 | メタクリル酸メチル | 模型鋳造作業において、原料である発砲スチロールの熱分解により発生した排気ガス(熱分解ガス:主にメタクリル酸メチル)を真空ポンプで吸引し、ダクトにより排出していたが、ダクト端部の排出口が完全に屋外に出ていなかったため、排気ガスが工場内へ逆流して、中毒となった。 | 換気設備の点検不足 |
4月 | 原動機製造業(5601) | 薬傷1名 | その他 | 塩化亜鉛 | 工具庫内でガス溶接・溶断用吹管をはんだ付けで補修作業において、ペットボトルに入れていた「はんだ付け用金属洗浄液(塩化亜鉛水溶液、約50%)」をお茶と間違えて飲み、薬傷となった。 | 安全衛生教育不十分 |
4月 | その他の各種事業(9416) | 薬傷4名 | その他 | 次亜塩素酸ナトリウム | 野菜の加工作業場において、次亜塩素酸ナトリウムを使用する洗浄器を用いて野菜の殺菌を行っていたところ、洗浄器を連続して運転したため、次亜塩素酸ナトリウムミストが飛散し、これを吸入して薬傷を負った。 | 作業標準の不徹底 安全衛生教育不十分 |
5月 | その他の化学製品製造業(4709) | 中毒4名 | その他 | p−ニトロベンゾニトリル | 写真用薬剤製造工程において、濃縮化したp−ニトロベンゾニトリルとメタノールの混合物を他の反応工程に送る配管が詰まったため、メタノール、トルエンを使用して、配管の分解・洗浄作業を行ったところ、防毒マスクを着用していたにもかかわらず、中毒となった。同保護具は適切に管理されておらず、有効に働いていなかった。 | 換気設備未設置 呼吸用保護具の管理不十分 |
6月 | 有機工業製品製造業(4703) | 中毒1名 | その他 | アニリン、p-トルイジン | 顔料の中間体製造の仕込み作業において、回収アニリンをタンクに移し替えようとしたところ、バルブ操作を誤り、アニリンがパラトルイジンが入ったドラム缶へ流れ込み、ドラム缶から溢れて作業場へ流出した。そこで、こぼれたアニリンを拭き取ろうとして足を滑らせ、こぼれたアニリンの上に転倒し、作業服にアニリンが付着したにもかかわらず、服は着替えたが身体を洗浄しないまま拭き取り作業をしていたところ、皮膚からアニリンを吸収し中毒となった。 | 非定常作業の作業標準の未整備 保護具未着用 |
6月 | 工作物の解体、移動、取りはずし又は撤去の事業(3505) | 中毒1名 | その他 | 二酸化炭素 | 立体駐車場の炭酸ガス消化設備用の炭酸ガスボンベの撤去作業において、非常用の容器弁開放器の引金を引いたところ、開放された炭酸ガスの圧力によりボンベのガス加圧容器弁開放器が開き、ボンベを取外していたボンベ取付口から立体駐車場に炭酸ガス(二酸化炭素)が放出され、二酸化炭素ガスを吸入し、中毒となった。 | 非定常作業の作業標準の不徹底 |
6月 | 医療保健業(9424) | 中毒1名 | その他 | 殺虫剤 | 害虫駆除(薬剤散布)を行った住宅において、薬剤散布から約2時間が経過し、外から煙が消えたように見えたため、入室したところ、殺虫剤が十分排出されておらず、殺虫剤を吸入したため、中毒となった。 | 危険有害性の認識不足 |
7月 | パルプ製造業(4501) | 薬傷1名 | その他 | 水酸化ナトリウム、炭酸カルシウム等 | 薬液(苛性ソーダ、炭酸カルシウム含有)から炭酸カルシウム等の不純物を取り除く装置において、同装置がスケール詰まりにより薬液の流量が低下したため、機械下部の手動排液弁を徐々に開放して排出作業を行ったところ、約100度の薬液が噴出し、飛び散った薬液が足にかかり薬傷となった。 | 非定常作業の作業標準の未整備 保護具未着用 安全衛生教育不十分 |
8月 | 無機工業製品製造業(4702) | 薬傷1名 | その他 | 水酸化カリウム | 水酸化カリウムの包装充填場において、フレーク状の水酸化カリウムを紙袋に充填する作業を行っていたところ、水酸化カリウムの粉じんが発汗により濡れていた衣服を浸透し、皮膚に付着したが、皮膚に付着した水酸化カリウムを水洗い等で直ちに除去しなかったため、アルカリ熱傷となった。 | 保護具未着用 危険有害性の認識不足 安全衛生教育不十分 |
8月 | ずい道新設業(3103) | 薬傷3名 | その他 | 水酸化カルシウム | 製紙工場の導水管のトンネル補修工事において、セメントミルク圧送用配管解体後の搬出作業を行っていたところ、横坑内に深さ40cmくらいまで溜まっていたセメントミルク洗浄水が手や足に接触し、セメント皮膚炎の薬傷を負った。 | 危険有害性の認識不足 保護具未着用 安全衛生教育不十分 |
8月 | 塗装工事業(0771) | 中毒1名 | その他 | 次亜塩素酸ナトリウム、炭酸ナトリウム | 塗装工事において、塗装の下準備として建屋外面の木部洗浄作業(屋外作業)を液体洗浄剤を使用して行っていたところ、呼吸用保護具ではなく、防じんマスクを着用していたことから、洗浄剤成分を吸入し、中毒となった。 | 作業標準の不徹底 呼吸用保護具未着用 安全衛生教育不十分 |
8月 | その他の電気機械器具製造業(5709) | 薬傷2名 | その他 | 水酸化カリウム | 水酸化カリウム供給設備のポンプバルブの交換作業において、作業完了後、設備の気密試験を行うため、配管に仮設フランジ及びパイプを設置し、ポンプ及び配管の洗浄作業を行っていたところ、仮設パイプが起動時の応力によりはずれ、フランジとパイプのつなぎ手から水酸化カリウム水溶液(48%)が噴出し、水酸化カリウム水溶液を浴びて薬傷を負った。 | 保護具未着用 安全衛生教育不十分 |
8月 | その他の建築事業(3506) | 中毒5名 | その他 | 二酸化塩素 | パルプ漂白作業において、漏洩した二酸化塩素ガスが上昇気流により、4階床及び点検台に流れ込み滞留し、4階の作業者が二酸化塩素ガスを吸入し、中毒となった。 | 安全衛生管理基準 危険有害性情報の伝達不足 |
9月 | 港湾貨物取扱事業(7301) | 中毒4名 | その他 | p-ニトロアニリン | コンテナ内において、白髪染めの原料(p-ニトロアニリン)を入れたポリプロピレン製の袋をコンテナから運び出す作業を行っている際、外で袋を受け取る作業を行っていたところ、p-ニトロアニリンが漏れてばく露し、メトヘモグロビン血症と診断された。 | 危険有害性の認識不足 呼吸用保護具の未着用 |
10月 | 鉄骨造り又は鉄骨鉄筋若しくは鉄筋コンクリート造りの(3501) | 中毒1名 | その他 | 亜鉛 | 建築工事の建物屋上において、デッキプレート(亜鉛メッキ鋼板)のガス溶断作業を行ったところ、ガス溶断作業で発生した亜鉛ヒュームを吸入し、亜鉛中毒となった。 | 呼吸用保護具未着用 安全衛生教育不十分 |
11月 | 劇場、遊戯場その他の娯楽の事業(9419) | 中毒1名 | その他 | 害虫駆除剤 | 施設内において、害虫駆除剤を噴霧していたところ、駆除剤の眼への接触及び吸入により、薬傷(急性結膜炎)等となった。 | 安全衛生教育不十分 保護具未着用 |
11月 | その他の電気機械器具製造業(5709) | 中毒6名 | その他 | γ-ピコリン | 素材切削加工ラインにおいて、温水洗浄装置の洗浄水を交換していたところ、50℃近くに温めた洗浄水を、γ-ピコリンと記載されたドラム缶に入れたため、残留していたγ-ピコリンが気化し、扇風機の気流により他の伝送器組立ラインに拡散し、γ-ピコリンを吸入した伝送器組立ラインの作業者が中毒となった。 | 作業標準の未徹底 換気不十分 安全衛生教育不十分 呼吸用保護具未着用 |