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女性の活躍推進協議会参集者からのポジティブ・アクション推進のためのメッセージ

女性の活躍推進協議会 参集者からの
ポジティブ・アクション推進のためのメッセージ

 厚生労働省では、ポジティブ・アクションの取組みを一層広く普及させていくため、経営者団体と連携して、「女性の活躍推進協議会」を開催し、活動を行ってきました。
 このたび、第6回の協議会にご出席いただいた、企業のトップや有識者の方々から、ポジティブ・アクションに取り組んでいる企業の方や、これから取り組もうとしている企業の方に向けたメッセージをいただきました。

 さぁ、あなたの会社でもポジティブ・アクションを始めてみましょう。


女性が質、量ともにもっと活躍するよう促進するのが、まず第一
浜田広   (株式会社リコー 最高顧問)

 人口ピラミッドと就業人口が減るのをカバーするためには、女性が質、量ともにもっと活躍するような方向に向かっているし、それを促進するのがまず第一だと思います。
 これだけポジティブ・アクションを推進してきても、わずかしか管理職も伸びていないというのがありましたが、ライフサイクル曲線とよく言いますが、開拓時代の最初は大変だけれども、あるところから急に伸びる。委員の皆さんの発言を聞いていて、そう悲観的にならなくてもいいかという感じがしましたが、こうなるときにきっかけが欲しい。ですから、社長に日本人女性が就任して、それが話題になるのは1つのきっかけにならないかなとも思います。

女性のためではなくて、会社の競争力のため
大河原愛子   (株式会社ジェーシーコムサ 代表取締役会長)

 ポジティブ・アクションは、決して女性のためではなく、会社の競争力のため、さらにはグローバル社会における日本の競争力のためだということを幅広くマスコミを通してPRしなければいけないと思います。特に男性の経営者の中には、女性の問題だと思い正しく理解されていない場合もあると思いますが、会社の競争力のためということを強調すべきだと思います。
 やはりポジティブ・アクションを会社の戦略として考えておかなければならず、戦略であれば、経営者は機会あるごとに社内のコミュニケーションに入れておくべきで、さらにお話だけではなく、十分予算を取って実行させる必要があります。

当たり前のことだと思いますので、あまり居丈高にならなくてもやれると思います。
大國昌彦   (王子製紙株式会社 代表取締役会長)

 いちばん大事なことは、日本の産業構造はいまも猛烈に変わりつつあるということで、特にサービス産業というのはこれからどんどん伸びてくる。政府がもう少し規制を解除すればもっと伸びてくるわけですが、そこは多分女性が主戦力、主役になると思います。
 いままでの努力で、ポジティブ・アクションは当然のことと皆さんが思い始めている。まず大企業がやっていくということでこの方向が出ているということを一応評価できるのではないかと思います。
 これから女性の問題というのは、労働力不足だからということではなく、やはり当然のこととして出てくる、当たり前のことだと思いますので、あまり居丈高にならなくてもやれると思います。

男女に能力差はない。管理者等枢要なポストに、女性にも平等に登用される機会を与えるのは当然
大星公二   (株式会社NTTドコモ シニアアドバイザー)

 現在、わが国の女性管理者の登用が、先進国の中で最も遅れていることは、国際的に指摘されているのに、改善は遅々としています。このスピードでも少しずつ改善されているから良いと考えるのであれば、特に言うことはありません。
 また、女性を積極的に登用しないと市場競争で淘汰されると考えるのは、国際競争にさらされていない企業が8割という現状では、余り期待出来ない現実を直視すべきです。
 企業トップが「男女に能力差はない。管理者等枢要なポストに、女性にも  平等に登用される機会を与えるのは当然である。それを早急に社会的責務  として実現しないと、国際社会において『日本はエコノミック・アニマルで、ヒューマニティに欠けた二流国家』のレッテルが定着する国益にかかわる  問題である」との認識を持ち、企業トップが自らの考え方をオープンにするという気概がなければ「百年河川を待つ」ことになると考えます。

女性の登用を考えていくときに、勤務時間の長さで成果を評価するような仕組ではなかなか登用は難しい
北城恪太郎   (日本アイ・ビー・エム株式会社 代表取締役会長)

 少子化、高齢化でこれから人口減少社会になっていく日本社会が、競争力・活力を持つためには、女性の登用に力を入れることは非常に重要なことです。しかし、女性の登用を考えるときに、勤務時間の長さのみで成果を評価する仕組では、登用促進は難しいと思います。働いた成果で評価する「成果主義」を取り入れていかないと、これまでの男性中心の登用の仕組から変わりにくいのではないかと考えます。

ポジティブ・アクションの問題を、CSRの一環として取り上げることに 大賛成
立石信雄   (オムロン株式会社 相談役)

 私が大変いいことではないかと思うのは、「本気のポジティブ・アクション−「私は本気です」−」の冒頭の座長の話の中に、ポジティブ・アクションの問題をCSRと絡めて取り上げられていることです。
 ISOがCSRの規格を作り出すため、この3月にまさにブラジルで集まって詳細を討論し始めたところですが、その中の労働のところで、女性の活性化度、何パーセント採用しているかということも含めて、労働の項目の中に入れようとしています。そういうことからも、ポジティブ・アクションをCSRの一環として取り上げるということに私は大いに賛成です。

「本気のポジティブ・アクション−「私は本気です」−」を大々的に伝えていくべき
中村紀子   (株式会社ポピンズコーポレーション 代表取締役)

 ポジティブ・アクションについて、「本気のポジティブ・アクション−「私は本気です」−」という形できちっとまとめていただいたが、是非、これを大々的に伝えていくべきではないかと思います。ポジティブ・アクションをやりたいのだけれども、どうしていいのか分からないという企業や人事担当者に向けて、セミナーの開催や相談窓口を設けるなど、実践が可能なメッセージを送っていくべきと考えます。

中小企業の場合、他動的な要因で動くケースが多い。そうした実態を考慮し、徐々に意識、行動を変えさせていく手法こそ有効
広瀬一郎   (東京商工会議所 常務理事)

 例えば、ISO14001にしても、中小企業で取得する企業が増えています。環境対応の必要性を強く認識し、自発的に資格を取得する企業も結構増えてはいますが、それよりはむしろ、取引先、親企業からの要請、あるいは自治体や消費者等からの要請といった他動的な要因で、否応なくそれをやっていかないとビジネスに響くという判断から対応している企業が多いようです。中小企業の経営者のビヘイビア、意識、考え方はかなりそういう部分に影響される部分があるということは、今後こういう推進のためのメッセージを考えるときに、何か有効な部分もあるのではないかという感じがします。

企業のニーズと働いている人のニーズ、これが一体化したときに初めて力が生まれてくる
水越さくえ   (株式会社イトーヨーカ堂 常務取締役常務執行役員)

 優秀な人材をどれだけ活かしきれるかが、やはり企業にとっても重要なことではないかなと思います。したがって企業のニーズと働いている人のニーズ、これが一体化したときに初めて力が生まれてくるのではないかなと思います。
 日本の女性は管理能力がないのかとなると、必ずしもそうではなく、むしろ、これまでは、持てる能力を発揮できる環境がなかったことが問題なわけで、管理職志望で、なおかつ優秀な人材は、おおいに登用できるような環境をつくっていかなければならないと思います。
 一方、女性達が管理職を目指していこうと思えるような、意識改革の教育も続けていく必要があると考えます。

ポジティブ・アクションは、魅力ある企業の条件の1つ
矢野弘典   (社団法人日本経済団体連合会 専務理事)

 「継続は力なり」と申しますが、いろいろな方々がその立場に応じて続けていくことが大事だろうと思います。おそらくそのことによって生じる反応は、多分我々の想像を越えたスピードと形で展開していくのではないかと思っています。間違いなくそういう世の中になりつつあると思いますので、それには自信を持って取り組んでいったらいいのではないかと思っています。
 どういう形で進めていくか、いろいろなやり方がありますが、各企業にとってもポジティブ・アクションは魅力ある企業の条件の1つになってくると思うのです。人手不足時代が来るわけですから、そういう中で優れた人があの会社で働きたい、ずっといたいというような、そういう思いを持つような会社づくりの1つの大事な柱になるのではないかと思っています。

経営者のやる、やらない、要するに決断と勇気
山崎克也   (全国中小企業団体中央会 常務理事)

 私から見ると、まだポジティブ・アクションの理解度、浸透度というのはかなり低いのではないかと思います。そういう意味からやはり経営者の意識を改革する、経営者のやる、やらない、要するに決断と勇気だと思いますので、自ずと経営者が常にそういうものを頭に入れて、ポジティブ・アクションという言葉がすぐ出てくるような、そういうところまで持っていく必要があろうかと思います。

ポジティブ・アクションは、社会全体の環境整備も必要だが、個人の問題でもある
玄田有史   (東京大学社会科学研究所 助教授)

 ポジティブ・アクションに関し、相当危機感を持っていらっしゃる会社は増えているし、実際行動をとっていらっしゃる。
 競争社会ですから、それでやらない所が評価されなくなり、それこそいい人材が集まらなくて、国際競争に負けていくのは仕方がないと思います。
 ポジティブ・アクションのキーワードはもちろん育成である。ただ育成というのは実はたった一言によってなされたり、なされないときがある。本当の育成というのはそういうOJTやOFF−JTの素晴らしいプログラムを組むということもあるでしょうが、皆さん一言によって救われたり、ファイトしていったり、逆に希望を失ったりする。敢えて逆のことを言えば、社会全体の環境整備も必要ですが、ポジティブ・アクションというのは個人の問題である。個人が自分でどんな言葉で自分の仕事を語り、自分の後輩にどういう言葉で励まし、また時には接するか。そこに尽きていると思っています。

本気にならなければ、世の中は動かない
樋口美雄   (慶應義塾大学商学部 教授)

 最近の世の中の動きを見て、どうもポジティブ・アクションを含め、女性の活用あるいは高齢者の活用も含め、後ろ向きになってきているなという感じを、非常に強く危機感として持っています。人を育てることの大切さが、何となくいくつかの企業では忘れられつつあるのではないか、というようなことも感じています。
 ポジティブ・アクションに必要なのは本気であろう。経営者も上司も女性も「本気」ということだろうと思います。これが当人である以上、いちばんこれを進めていく上では鍵になるプレーヤーであるということは間違いないですし、その人たちが本気にならなければ、世の中は動かないということだろうと思います。

若いときからチャレンジのある面白い仕事を提供していくというのが、日本にとって必要
守島基博   (一橋大学大学院商学研究科 教授)

 若い人たちにどんどんチャレンジングな仕事を渡していく、そういう方向での変革が起こってくれば、多分女性の活用という視点からしても、いろいろといいことが起こってきて、本当に真剣に結婚と出産、ある意味では人生の中のそういうコンフリクトは誰にでも起こることなのですが、そういうときに多くの人たちで結婚、出産が勝ってしまうということが多分なくなってくるのではないかなと思っています。必ずしも女性の活用という意味だけではないかもしれませんが、ひとつはやはり若いときからチャレンジのある面白い仕事を提供していくというのが、日本の人事にとって必要なのかなと思います。

一人ひとりの働く人がいかに生き生きと会社の中で生き甲斐を持って働けるか
森永卓郎   (株式会社UFJ総合研究所 客員主席研究員)

 この協議会の中でずっと話してきたポジティブ・アクションというのは、突き詰めていくと別に男だ、女だという話ではなくて、一人ひとりの働く人がいかに生き生きと会社の中で生き甲斐を持って働けるかと、そういう社会、会社をつくっていきましょうということだったのです。
 日本の会社というのは、人々が生き生きと働くことによって、生産性も上がり、業績も上がっていって、会社の価値も高まっていくのだと。その発想というのがない中で、協議会が出していくべきメッセージは、むしろ非常に重要になっていると思います。


(照会先) 雇用均等・児童家庭局 雇用均等政策課
均等業務指導室 啓発指導係(内線7843)

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