1 業務の目的と沿革
港湾運送事業は、貨物の取扱量が日ごとに変動するという特徴(港湾運送の波動性)を有することから、企業外労働力に依存せざるを得ない状況にあり、また、港湾運送事業主には、中小企業が多いこともあり、他の産業に比して、雇用改善、能力開発について、なお、改善の余地のある状況にあります。
このため、港湾労働法(昭和63年法律第40号)により、厚生労働大臣が港湾雇用安定等計画を作成し、同計画に基づいて、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進に関する施策を推進しています。
2 現況
6大港における、港湾労働法適用事業所数は平成16年12月末現在で980所(対前年比0.9%減)、常用労働者数は平成16年12月末現在で28,638人(対前年度比1.3%増)となっています。
また、平成12年10月より開始された港湾労働者派遣事業における、許可事業所数は平成17年2月末現在で290事業所であり、また、平成15年度における派遣労働者による就労日数は月平均で1,756人日となっています。
3 業務の概要
イ 港湾雇用安定等計画の策定
厚生労働大臣は、港湾労働法の適用港湾(東京、横浜、名古屋、大阪、神戸及び関門)における、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進を図るため、次の事項について定めた港湾雇用安定等計画を策定しています。
- 港湾労働者の雇用の動向に関する事項
- 労働力の需給の調整の目標に関する事項
- 港湾労働者の雇用の改善並びに能力の開発及び向上を促進するための方策に関する事項
- 港湾労働者派遣事業の適正な運営を確保するための方策に関する事項
ロ 労働力の需給の調整
- (イ) 以下の対策を実施することにより、港湾における迅速かつ的確な労働力需給調整及び雇用秩序の確保を図っています。港湾運送事業主に対し港湾運送の業務に従事する常用労働者の届出を義務付け、届出のあった港湾労働者に対して、港湾労働者証を交付しています。
- (ロ) 港湾労働者の雇用の安定と港湾運送事業における効率的な経営・就労体制との確立との両立を図るため、一定の要件の下に、港湾運送事業主間で港湾労働者を相互に活用することを認めています。
- 港湾労働法の適用対象港湾において、港湾運送事業主が厚生労働大臣の許可を受けて、その常時雇用する港湾労働者を他の港湾運送事業主の下で就労させることができることとしています。
- 許可基準に、適正な派遣料金、派遣日数の上限を設定しています。
- 制度の対象者は、港湾労働者証の交付を受けた常用港湾労働者としています。
- 港湾労働者雇用安定センターにおいて港湾労働者派遣制度に係る情報収集提供・あっせん業務、相談援助業務等を行っています。
- (ハ) 港湾運送事業主が企業外労働力を活用する場合には、港湾労働者派遣制度を優先的に利用しなければなりません。
- (ニ) 事業主に対して、港湾労働者の雇用の届出、日雇労働者の雇入れに関する公共職業安定所紹介の原則の遵守等の徹底を図っています。
- (ホ) 港湾労働法遵守強化旬間の実施
港湾労働法遵守強化旬間等を通じて、港湾関係者の遵法意識の一層の高揚を図るとともに、港湾労働者からの申告に対する迅速な対応、現場パトロール及び立入検査の効果的な実施、雇用管理に関する勧告等により、違法就労の防止を図っています。
ハ 港湾労働者の雇用の改善
事業主に対して、雇用管理者の選任の徹底を図るとともに、雇用管理に関する指導、勧告等により、港湾労働者の雇用管理の改善を図っています。
ニ 港湾労働者雇用安定センターによる業務
厚生労働大臣は、(財)港湾労働安定協会を各適用港湾の港湾労働者雇用安定センターとして指定しており、同センターは港湾労働者の雇用の安定その他福祉の増進を図ることを目的として次の業務を行っています。
- 港湾労働者の雇用管理に関する相談、援助
- 港湾労働者に対する訓練
- 港湾労働者派遣制度に係る情報の収集、整理及び提供
- 港湾労働者派遣契約の締結のあっせん
- 港湾労働者派遣制度に関する相談、援助
- 雇用管理者及び派遣元責任者に対する研修