Ministry of Health, Labour and Welfare

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5. 外国人の側からみた日本での就労の理由、問題点と今後の就労意向
 (1)  働く上での問題点
   日本で働いている外国人の半数近くは、日本で働く上では「特に問題はない」と回答している。しかし、逆にみると半数以上の人が何らかの問題があるととらえており、最も多い回答は、「職場内のコミュニケーション」となっており、続いて「能力開発」、「休暇のとり方」、「仕事の進め方や分担方法」となっている。
 職種別にみると、半数以上の人が問題であると挙げている項目は、「アナリスト」では「労働時間」や「休暇の取り方」、「研究開発」では「能力開発」や「職場内でのコミュニケーション」、「コンサルティング」では、「能力開発」や「仕事の進め方や分担方法」、「大学職員」は「職場内でのコミュニケーション」、「通訳・翻訳」は「賃金」、「勤務地」、「職場内のコミュニケーション」となっている。
 また、日本語能力別に職場で感じる問題点をみると、日本語があまり若しくは全くできないというケースを除いて、日本語能力が低下していくにつれて、「特に問題はない」と回答する人の割合が低くなっており、逆に「顧客とのコミュニケーション」の占める割合が大幅に高くなる。また、それ以外の点について問題視する人の割合も高くなっていく。日本語が「あまり/全くできない」人の間で、「職場でのコミュニケーション」が他の人たちに比べ、最も高い割合を示しているが、それ以外の点でそれほど問題視している割合が高くないのは、「アナリスト」、「管理職」、「語学教師」が日本で働く際には、それほど日本語能力が求められておらず(81ページ図表4−14参照)、活用する側も外国人就業者の言語に対応するように努めているからではないかと推測される。
 なお、自由回答によると、選択肢の内容以外に、管理体制の不備や日本人との扱いに差を感じること、日本人との交流が少ないこと等が仕事上の問題点として挙げられている。

図表4−31 働く上での問題点
  全体 働く上での問題点
賃金 労働時間 休暇のとり方 勤務地 能力開発 職場内のコミュニケーション 顧客とのコミュニケーション 仕事の内容 仕事の進め方や分担方法 その他 特に問題はない 無回答
合計 140 19 18 20 11 23 42 8 18 20 18 58 0
100.0 13.6 12.9 14.3 7.9 16.4 30.0 5.7 12.9 14.3 12.9 41.4 0.0
職種 ITエンジニア 10 1 2 2 3 1 1 1 2 0 1 5 0
100.0 10.0 20.0 20.0 30.0 10.0 10.0 10.0 20.0 0.0 10.0 50.0 0.0
アナリスト 4 0 2 2 0 0 1 0 0 0 0 2 0
100.0 0.0 50.0 50.0 0.0 0.0 25.0 0.0 0.0 0.0 0.0 50.0 0.0
営業・企画・販売 4 1 1 1 0 0 1 1 0 1 0 1 0
100.0 25.0 25.0 25.0 0.0 0.0 25.0 25.0 0.0 25.0 0.0 25.0 0.0
管理職 9 2 0 0 0 2 2 0 0 0 0 4 0
100.0 22.2 0.0 0.0 0.0 22.2 22.2 0.0 0.0 0.0 0.0 44.4 0.0
研究開発 8 2 1 2 0 4 4 2 1 2 0 1 0
100.0 25.0 12.5 25.0 0.0 50.0 50.0 25.0 12.5 25.0 0.0 12.5 0.0
語学教師 11 2 2 2 1 0 4 1 1 1 3 4 0
100.0 18.2 18.2 18.2 9.1 0.0 36.4 9.1 9.1 9.1 27.3 36.4 0.0
コンサルティング 4 1 1 0 0 3 1 0 0 2 0 0 0
100.0 25.0 25.0 0.0 0.0 75.0 25.0 0.0 0.0 50.0 0.0 0.0 0.0
大学教員 69 6 5 6 5 9 20 1 12 11 12 30 0
100.0 8.7 7.2 8.7 7.2 13.0 29.0 1.4 17.4 15.9 17.4 43.5 0.0
大学職員 3 0 0 1 0 0 2 0 0 1 1 0 0
100.0 0.0 0.0 33.3 0.0 0.0 66.7 0.0 0.0 33.3 33.3 0.0 0.0
調査研究 4 0 1 0 0 0 1 1 0 0 0 2 0
100.0 0.0 25.0 0.0 0.0 0.0 25.0 25.0 0.0 0.0 0.0 50.0 0.0
通訳・翻訳 4 2 1 1 2 1 2 1 1 0 0 2 0
100.0 50.0 25.0 25.0 50.0 25.0 50.0 25.0 25.0 0.0 0.0 50.0 0.0
貿易業務 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 0
100.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 100.0 0.0
マーケティング 5 1 1 2 0 2 2 0 1 1 0 3 0
100.0 20.0 20.0 40.0 0.0 40.0 40.0 0.0 20.0 20.0 0.0 60.0 0.0
その他 2 1 1 1 0 1 1 0 0 1 1 1 0
100.0 50.0 50.0 50.0 0.0 50.0 50.0 0.0 0.0 50.0 50.0 50.0 0.0
日本語能力 母語/母語同様 29 3 1 1 2 4 4 0 2 5 4 13 0
100.0 10.3 3.4 3.4 6.9 13.8 13.8 0.0 6.9 17.2 13.8 44.8 0.0
良くできる 72 12 10 12 5 12 21 4 12 11 7 31 0
100.0 16.7 13.9 16.7 6.9 16.7 29.2 5.6 16.7 15.3 9.7 43.1 0.0
ある程度できる 17 3 4 4 2 4 7 2 2 3 4 6 0
100.0 17.6 23.5 23.5 11.8 23.5 41.2 11.8 11.8 17.6 23.5 35.3 0.0
あまり/全くできない 21 1 3 3 2 3 9 2 2 1 2 8 0
100.0 4.8 14.3 14.3 9.5 14.3 42.9 9.5 9.5 4.8 9.5 38.1 0.0

 (2)  生活する上での問題点
   日本で働いている外国人は、同時に日本で生活していることになる。生活をする上では、3分の1の人は、「特に問題はない」と回答している。最も多い回答は、「住宅」であり、「入管以外の公的機関における手続」、「医療」が続いている。
 また、日本語能力別に日本で生活する上での問題点をみると、日本語能力が高いほど「特に問題はない」とする人の割合が高くなっている。日本語能力が低下するにつれて問題点として挙げられる割合が高くなるのは「入管以外の公的機関における手続」、「医療」となっている。
 なお、自由回答の中では、「住宅を借りる際に外国人であるために差別される」、「年金は支払ってもその恩恵を受けることができる見込みがない」、「日本の医者は英語を解さないために、医療機関にかかるのに苦労する」、「市役所での手続き等が難しい」、「銀行口座を開設するのが難しい」といったものが多くみられた。

図表4−32 生活する上での問題点
  全体 生活する上での問題点
入管手続 入管以外の公的機関における手続 社会保険への加入 就職活動 住宅 食生活 買い物 医療 教育 地域住民との交流 宗教 その他 特に問題はない 無回答
合計 140 10 23 5 9 38 8 7 20 14 12 3 12 50 7
100.0 7.1 16.4 3.6 6.4 27.1 5.7 5.0 14.3 10.0 8.6 2.1 8.6 35.7 5.0
日本語能力 母語/母語同様 29 2 2 2 2 6 1 1 1 4 3 0 1 14 1
100.0 6.9 6.9 6.9 6.9 20.7 3.4 3.4 3.4 13.8 10.3 0.0 3.4 48.3 3.4
良くできる 72 6 10 3 4 23 4 1 10 8 3 1 7 25 3
100.0 8.3 13.9 4.2 5.6 31.9 5.6 1.4 13.9 11.1 4.2 1.4 9.7 34.7 4.2
ある程度できる 17 0 4 0 1 4 1 1 3 1 2 1 2 5 3
100.0 0.0 23.5 0.0 5.9 23.5 5.9 5.9 17.6 5.9 11.8 5.9 11.8 29.4 17.6
あまり/全くできない 21 2 7 0 2 4 2 4 5 1 4 1 2 6 0
100.0 9.5 33.3 0.0 9.5 19.0 9.5 19.0 23.8 4.8 19.0 4.8 9.5 28.6 0.0

 (3)  日本で働く理由
   日本で働いている理由としては、「やりたい仕事ができるから」というものが最も多くなっている。ついで「日本が好きだから」となっている。
 職種別にみると、「管理職」や「アナリスト」は、「業務上の転勤のため」という理由が半数を占めている。一方「ITエンジニア」、「調査研究」、「大学教員」、「大学職員」、「貿易業務」、「研究開発」の職に就いている人は、「やりたい仕事ができるから」という理由が大半を占めており、「語学教師」、「大学職員」、「通訳・翻訳」では「日本が好きだから」という理由が多い。
 また、自由回答においては、日本が研究の対象であるためといった回答もみられる。

図表4−33 日本で働く理由(複数回答)
  全体 日本で働く理由
出身国よりも賃金が高いから やりたい仕事ができるから 業務上の転勤のため 家族が日本人だから 日本が好きだから その他 無回答
合計 140 39 75 15 20 67 19 0
100.0 27.9 53.6 10.7 14.3 47.9 13.6 0.0
ITエンジニア 10 5 8 2 0 3 1 0
100.0 50.0 80.0 20.0 0.0 30.0 10.0 0.0
アナリスト 4 0 0 2 1 1 1 0
100.0 0.0 0.0 50.0 25.0 25.0 25.0 0.0
営業・企画・販売 4 1 0 1 0 2 1 0
100.0 25.0 0.0 25.0 0.0 50.0 25.0 0.0
管理職 9 2 0 6 1 3 3 0
100.0 22.2 0.0 66.7 11.1 33.3 33.3 0.0
研究開発 8 2 5 1 0 0 2 0
100.0 25.0 62.5 12.5 0.0 0.0 25.0 0.0
語学教師 11 2 4 0 1 7 2 0
100.0 18.2 36.4 0.0 9.1 63.6 18.2 0.0
コンサルティング 4 0 1 0 1 2 0 0
100.0 0.0 25.0 0.0 25.0 50.0 0.0 0.0
大学教員 69 21 46 1 14 38 6 0
100.0 30.4 66.7 1.4 20.3 55.1 8.7 0.0
大学職員 3 2 2 0 0 2 0 0
100.0 66.7 66.7 0.0 0.0 66.7 0.0 0.0
調査研究 4 0 3 0 0 1 1 0
100.0 0.0 75.0 0.0 0.0 25.0 25.0 0.0
通訳・翻訳 4 2 2 0 0 3 0 0
100.0 50.0 50.0 0.0 0.0 75.0 0.0 0.0
貿易業務 3 0 2 0 1 1 0 0
100.0 0.0 66.7 0.0 33.3 33.3 0.0 0.0
マーケティング 5 2 2 2 1 4 0 0
100.0 40.0 40.0 40.0 20.0 80.0 0.0 0.0
その他 2 0 0 0 0 0 2 0
100.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 100.0 0.0

 (4)  日本での生活のしやすさ
   日本で働いている外国人のうち、9割近い人が生活しやすいと感じている。
 なお、日本における仕事上若しくは生活上で何らかの問題があると感じている人は生活しやすいと感じている人の割合も若干低くなっている。
 また、日本で生活しやすいとあまり感じていない人が、生活しやすいと感じている人よりも問題点として多く挙げているのは、仕事上については「能力開発」、「職場内のコミュニケーション」、「顧客とのコミュニケーション」となっており、生活上に関しては、「住宅」、「教育」、「入管手続」となっている。

図表4−34 日本での生活しやすさ
  件数 構成比
(%)
とてもそう思う 37 26.4
そう思う 86 61.4
あまりそう思わない 17 12.1
全くそう思わない 0 0.0
無回答 0 0.0
全体 140 100.0

図表4−35 日本の生活しやすさ別にみた働く上での問題点(複数回答)
  全体 働く上での問題点
賃金 労働時間 休暇のとり方 勤務地 能力開発 職場内のコミュニケーション 顧客とのコミュニケーション 仕事の内容 仕事の進め方や分担方法 その他 特に問題はない 無回答
合計 140 19 18 20 11 23 42 8 18 20 18 58 0
100.0 13.6 12.9 14.3 7.9 16.4 30.0 5.7 12.9 14.3 12.9 41.4 0.0
日本での生活のしやすさ とてもそう思う 37 2 1 1 1 3 6 0 0 2 3 27 0
100.0 5.4 2.7 2.7 2.7 8.1 16.2 0.0 0.0 5.4 8.1 73.0 0.0
そう思う 86 14 14 16 8 13 30 6 15 15 11 27 0
100.0 16.3 16.3 18.6 9.3 15.1 34.9 7.0 17.4 17.4 12.8 31.4 0.0
あまりそう思わない 17 3 3 3 2 7 6 2 3 3 4 4 0
100.0 17.6 17.6 17.6 11.8 41.2 35.3 11.8 17.6 17.6 23.5 23.5 0.0

図表4−36 日本の生活しやすさ別にみた生活する上での問題点(複数回答)
  全体 生活する上での問題点
入管手続 入管以外の公的機関における手続 社会保険への加入 就職活動 住宅 食生活 買い物 医療 教育 地域住民との交流 宗教 その他 特に問題はない 無回答
合計 140 10 23 5 9 38 8 7 20 14 12 3 12 50 7
100.0 7.1 16.4 3.6 6.4 27.1 5.7 5.0 14.3 10.0 8.6 2.1 8.6 35.7 5.0
日本での生活のしやすさ とてもそう思う 37 3 5 1 0 7 2 1 5 2 3 1 3 16 4
100.0 8.1 13.5 2.7 0.0 18.9 5.4 2.7 13.5 5.4 8.1 2.7 8.1 43.2 10.8
そう思う 86 3 16 4 6 23 5 4 13 6 7 2 7 29 3
100.0 3.5 18.6 4.7 7.0 26.7 5.8 4.7 15.1 7.0 8.1 2.3 8.1 33.7 3.5
あまりそう思わない 17 4 2 0 3 8 1 2 2 6 2 0 2 5 0
100.0 23.5 11.8 0.0 17.6 47.1 5.9 11.8 11.8 35.3 11.8 0.0 11.8 29.4 0.0

 (5)  今後の就労意向
   今後の就労意向については、大半の人が日本で現在と同様の仕事を続けていこうと考えているが、いずれは日本以外で働こうと考えている人も3割近くいる。なお、日本で違う仕事をしていこうと考えている者はごくわずかになっている。
 職種別に、今後の就労意向をみると、「管理職」や「コンサルティング」等の職種で、いずれは日本以外で就労しようと考えている人の割合が高くなっている。
 また、日本は生活しやすいと感じている人の方が、引き続き日本で就労していこうという意向は強くなっている。

図表4−37 職種別にみた今後の就労意向
  全体 日本で同様の仕事をしながら働く 日本で違う仕事をして働く いずれは出身地で働く いずれは第3国で働く 無回答
合計 140 87 4 29 15 5
100.0 62.1 2.9 20.7 10.7 3.6
ITエンジニア 10 6 1 1 2 0
100.0 60.0 10.0 10.0 20.0 0.0
アナリスト 4 2 0 1 1 0
100.0 50.0 0.0 25.0 25.0 0.0
営業・企画・販売 4 2 0 0 2 0
100.0 50.0 0.0 0.0 50.0 0.0
管理職 9 2 0 3 4 0
100.0 22.2 0.0 33.3 44.4 0.0
研究開発 8 4 0 4 0 0
100.0 50.0 0.0 50.0 0.0 0.0
語学教師 11 6 1 4 0 0
100.0 54.5 9.1 36.4 0.0 0.0
コンサルティング 4 0 0 2 2 0
100.0 0.0 0.0 50.0 50.0 0.0
大学教員 69 56 1 7 1 4
100.0 81.2 1.4 10.1 1.4 5.8
大学職員 3 1 0 2 0 0
100.0 33.3 0.0 66.7 0.0 0.0
調査研究 4 1 0 2 1 0
100.0 25.0 0.0 50.0 25.0 0.0
通訳・翻訳 4 4 0 0 0 0
100.0 100.0 0.0 0.0 0.0 0.0
貿易業務 3 1 0 2 0 0
100.0 33.3 0.0 66.7 0.0 0.0
マーケティング 5 1 1 1 2 0
100.0 20.0 20.0 20.0 40.0 0.0
その他 2 1 0 0 0 1
100.0 50.0 0.0 0.0 0.0 50.0

図表4−38 日本での生活のしやすさ別にみた今後の就労意向
  全体 日本で同様の仕事をしながら働く 日本で違う仕事をして働く いずれは出身地で働く いずれは第3国で働く 無回答
合計 140 87 4 29 15 5
100.0 62.1 2.9 20.7 10.7 3.6
日本での生活のしやすさ とてもそう思う 37 26 0 3 5 3
100.0 70.3 0.0 8.1 13.5 8.1
そう思う 86 51 3 22 8 2
100.0 59.3 3.5 25.6 9.3 2.3
あまりそう思わない 17 10 1 4 2 0
100.0 58.8 5.9 23.5 11.8 0.0

   なお、いずれは日本以外で就労していこうと考えている人は、平均してあと5.0年日本で働いていこうと考えている。

図表4−39 日本での就労希望年数
  件数 就労希望年数
全体 42 5.0
いずれは出身地で働く 28 5.8
いずれは第3国で働く 14 3.4

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