Ministry of Health, Labour and Welfare

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 (3) 採用・活用の問題点
   外国人の採用・活用を進めるにあたって活用する側の法人が感じている問題点のうち、主なものは「文化・習慣の違い」、「職場内での意思の疎通」、「入国管理手続」となっている。外国人とのコミュニケーションに深く関連するはじめの2点を問題とする法人が多いということは、外国人を採用・活用する際には、外国人とのコミュニケーションがうまくいかないことが全ての問題の起点となっていると考えられる。
 現在の外国人の活用状況並びに今後の活用意向別に、採用・活用についての問題点をみると、「現在活用していて、今後も人数を増やしたい」並びに「現在活用していて、今後も現状を維持したい」法人では、「現在活用しているが、今後は人数を減らしたい」法人や活用していない法人と比べ、「特に問題はない」と回答している法人の割合が若干高くなっている。しかしながら、「現在活用していて、今後も人数を増やしたい」並びに「現在活用していて、今後も現状を維持したい」法人においても、外国人を採用・活用するにあたっては、何かしらの問題があると考えている法人が大半であり、特に「入国管理手続」を問題視している法人が多くなっている。「現在活用していないが、今後活用するつもり」のある法人では「採用コスト」や「募集方法」を問題とする割合が他の法人と比べて高く、外国人を雇用する際の第1ステップに不安を感じている法人が多いことが伺える。「現在活用しておらず、今後もその予定がない」と回答した法人では、「職場内での意思の疎通」、「取引先・顧客との意思の疎通」を問題とする割合が他の法人と比べ高かった。このことから外国人就業者の活用意向がない法人は、「文化・習慣の違い」も含めた、外国人コミュニケーション能力についてより強く危惧しているのではないかということが推測される。

図表3−26 現在の活用状況別にみた外国人採用・活用の問題点(複数回答)
図表3−26 現在の活用状況別にみた外国人採用・活用の問題点(複数回答)

図表3−27 今後の活用意向別にみた外国人の採用・活用の問題点(複数回答)
  合計 採用・活用の問題点
入国管理手続 募集方法 採用コスト 能力評価 職場内での意思の疎通 取引先・顧客との意思の疎通 賃金、昇格、その他の処遇 文化・習慣の違い 人材育成の仕方 仕事の与え方 定着性 住宅の確保 日本企業の仕事の進め方への適応 その他 特に問題はない
全体 1,272 402 101 108 187 478 241 258 508 191 195 360 179 266 62 164
100.0 31.6 7.9 8.5 14.7 37.6 18.9 20.3 39.9 15.0 15.3 28.3 14.1 20.9 4.9 12.9
現在活用している 今後も人数を増やしたい 102 47 12 6 16 27 11 25 36 17 14 22 23 18 1 16
100.0 46.1 11.8 5.9 15.7 26.5 10.8 24.5 35.3 16.7 13.7 21.6 22.5 17.6 1.0 15.7
今後も現状を維持したい 304 100 21 20 37 97 26 45 105 26 27 62 27 32 11 61
100.0 32.9 6.9 6.6 12.2 31.9 8.6 14.8 34.5 8.6 8.9 20.4 8.9 10.5 3.6 20.1
今後は人数を減らしたい 24 11 3 2 5 7 3 9 9 4 6 6 2 2 2 1
100.0 45.8 12.5 8.3 20.8 29.2 12.5 37.5 37.5 16.7 25.0 25.0 8.3 8.3 8.3 4.2
現在活用していない 今後するつもり 79 31 14 17 13 26 14 16 38 10 11 30 18 21 4 5
100.0 39.2 17.7 21.5 16.5 32.9 17.7 20.3 48.1 12.7 13.9 38.0 22.8 26.6 5.1 6.3
今後もその予定なし 392 101 26 30 54 181 113 71 179 85 80 129 61 101 29 39
100.0 25.8 6.6 7.7 13.8 46.2 28.8 18.1 45.7 21.7 20.4 32.9 15.6 25.8 7.4 9.9
わからない 332 101 21 27 56 133 69 82 130 45 53 101 42 88 12 41
100.0 30.4 6.3 8.1 16.9 40.1 20.8 24.7 39.2 13.6 16.0 30.4 12.7 26.5 3.6 12.3

   産業分野別にみると、「製造業」では、現在外国人を活用していない半数以上の法人において、「職場内での意思の疎通」や「文化・習慣の違い」といった問題点が指摘されており、この分野では仕事を進めるにあたっては、従業員間のコミュニケーションが重要な要素となっていることが伺える。また、現在外国人を活用している法人においては、「人材育成の仕方」を問題として挙げる法人が他の分野よりも多くなっている。
 「通訳・翻訳・語学学校」では、現在外国人を活用している法人において、「定着性」を挙げる法人の割合が他の分野と比べ高い割合を示している(詳細は26〜31ページ参照)。この分野は、日本人、外国人を問わず、全従業員に占める非正規従業員の割合が非常に高い分野であり、この契約形態が外国人従業員の「定着性」とも関連していると考えられる。また、「採用コスト」、「募集方法」を挙げる法人の割合も特に現在外国人を活用していない法人において他の産業分野より高くなっている。この分野ではネイティブスピーカーを確保するために、海外で人材を募集して日本につれてくるケースもあること等(48ページ参照)が以上の2点を問題視する割合が高くなっていることに影響していると考えられる。
 「卸売・小売・商社」や「旅行・ホテル」においては、現在外国人を活用している法人より活用していない法人の方が、「文化・習慣の違い」、「職場内での意思の疎通」、「取引先・顧客との意思の疎通」、「日本企業の仕事の進め方への適応」等コミュニケーション能力に起因すると考えられる点を問題とする割合が高くなっていた。この2分野ではある程度、コミュニケーションを円滑に行うための日本語能力や日本の商習慣に対する知識が求められることから、留学経験者の占める割合が高くなっていると言えよう(43〜44ページ参照)。
 なお、外国人を採用・活用するにあたって「特に問題はない」と考えている割合が最も高いのは、外国人を活用している割合が高い「私立大学・研究機関」であった。この分野で活躍する外国人は就労を目的とする在留資格の中では、ある一定の学歴要件等を満たせば取得できる「教授」を保有している者が中心となっているためからか(42ページ図表3−15参照)、「入国管理手続」を問題としてとらえている割合が最も低くなっており、それが外国人採用・活用を問題視する割合が低い要因になっていると考えられる。
 外国資本の参入状況別には、外国資本が入っている法人の方が、外国資本が参入していることが企業文化にも影響しているためか、「職場内での意思疎通」、「文化・習慣の違い」、「仕事の与え方」を問題とする割合が低かった。
 上記の点以外に、採用・活用の問題が挙げられていたものとしては「家族や子どもの環境の問題」、「日本語能力」等がある。

図表3−28 現在外国人を活用している法人における採用・活用の問題点(複数回答)
  合計 採用・活用の問題点
入国管理手続 募集方法 採用コスト 能力評価 職場内での意思の疎通 取引先・顧客との意思の疎通 賃金、昇格、その他の処遇 文化・習慣の違い 人材育成の仕方 仕事の与え方 定着性 住宅の確保 日本企業の仕事の進め方への適応 その他 特に問題はない
全体 592 208 45 43 80 175 59 114 203 66 68 132 69 79 22 106
100.0 35.1 7.6 7.3 13.5 29.6 10.0 19.3 34.3 11.1 11.5 22.3 11.7 13.3 3.7 17.9
産業分野 製造業 104 37 6 4 15 36 10 16 44 24 16 31 6 17 2 12
100.0 35.6 5.8 3.8 14.4 34.6 9.6 15.4 42.3 23.1 15.4 29.8 5.8 16.3 1.9 11.5
通訳・翻訳・語学学校 67 24 9 13 13 14 7 18 28 13 15 32 15 9 4 9
100.0 35.8 13.4 19.4 19.4 20.9 10.4 26.9 41.8 19.4 22.4 47.8 22.4 13.4 6.0 13.4
卸売・小売・商社 58 31 5 1 6 10 9 8 19 10 9 13 10 13 2 12
100.0 53.4 8.6 1.7 10.3 17.2 15.5 13.8 32.8 17.2 15.5 22.4 17.2 22.4 3.4 20.7
旅行・ホテル 64 22 1 6 8 24 8 14 26 6 7 11 6 12 3 7
100.0 34.4 1.6 9.4 12.5 37.5 12.5 21.9 40.6 9.4 10.9 17.2 9.4 18.8 4.7 10.9
金融・保険・証券 58 22 1 7 7 8 11 14 13 2 4 15 13 11 5 8
100.0 37.9 1.7 12.1 12.1 13.8 19.0 24.1 22.4 3.4 6.9 25.9 22.4 19.0 8.6 13.8
私立大学・研究機関 195 49 22 9 24 67 3 39 60 6 11 15 13 10 3 55
100.0 25.1 11.3 4.6 12.3 34.4 1.5 20.0 30.8 3.1 5.6 7.7 6.7 5.1 1.5 28.2
情報・通信 18 8 0 2 1 6 5 1 6 2 2 6 1 3 1 2
100.0 44.4 0.0 11.1 5.6 33.3 27.8 5.6 33.3 11.1 11.1 33.3 5.6 16.7 5.6 11.1
出版・印刷・広告代理 9 5 0 0 3 4 1 1 4 2 3 3 1 2 0 0
100.0 55.6 0.0 0.0 33.3 44.4 11.1 11.1 44.4 22.2 33.3 33.3 11.1 22.2 0.0 0.0
その他 18 9 1 1 3 6 5 3 3 1 1 5 4 2 2 1
100.0 50.0 5.6 5.6 16.7 33.3 27.8 16.7 16.7 5.6 5.6 27.8 22.2 11.1 11.1 5.6
外資の参入状況 入っている 129 56 3 11 17 22 21 21 35 11 10 27 22 17 7 25
100.0 43.4 2.3 8.5 13.2 17.1 16.3 16.3 27.1 8.5 7.8 20.9 17.1 13.2 5.4 19.4
入っていない 460 150 41 32 62 153 37 92 167 54 58 104 47 62 15 81
100.0 32.6 8.9 7.0 13.5 33.3 8.0 20.0 36.3 11.7 12.6 22.6 10.2 13.5 3.3 17.6
従業員規模 0〜30人未満 111 47 7 11 13 22 20 17 43 16 21 37 20 24 7 15
100.0 42.3 6.3 9.9 11.7 19.8 18.0 15.3 38.7 14.4 18.9 33.3 18.0 21.6 6.3 13.5
30〜100人未満 117 41 6 13 18 31 14 22 39 13 15 28 13 17 5 22
100.0 35.0 5.1 11.1 15.4 26.5 12.0 18.8 33.3 11.1 12.8 23.9 11.1 14.5 4.3 18.8
100〜300人未満 173 55 16 7 21 58 11 29 46 14 15 21 15 12 5 43
100.0 31.8 9.2 4.0 12.1 33.5 6.4 16.8 26.6 8.1 8.7 12.1 8.7 6.9 2.9 24.9
300人以上 169 59 15 12 26 60 13 43 68 21 16 42 17 23 4 22
100.0 34.9 8.9 7.1 15.4 35.5 7.7 25.4 40.2 12.4 9.5 24.9 10.1 13.6 2.4 13.0
注) 本表は、外国人を直接的若しくは間接的に雇用している、経営権を保有する外国人がいる、外国人個人事業主との契約がある法人について集計している。
太字部分は、各項目における構成比が上位3つ以内のもの、網掛け部分は、各項目における構成比が全体の構成比よりも10%以上高いもの。

図表3−29 現在外国人を活用していない法人における採用・活用の問題点(複数回答)
  合計 採用・活用の問題点
入国管理手続 募集方法 採用コスト 能力評価 職場内での意思の疎通 取引先・顧客との意思の疎通 賃金、昇格、その他の処遇 文化・習慣の違い 人材育成の仕方 仕事の与え方 定着性 住宅の確保 日本企業の仕事の進め方への適応 その他 特に問題はない
全体 676 192 56 64 107 301 181 143 304 125 126 227 109 186 40 58
100.0 28.4 8.3 9.5 15.8 44.5 26.8 21.2 45.0 18.5 18.6 33.6 16.1 27.5 5.9 8.6
産業分野 製造業 183 54 16 13 30 107 38 44 107 34 38 65 26 62 11 9
100.0 29.5 8.7 7.1 16.4 58.5 20.8 24.0 58.5 18.6 20.8 35.5 14.2 33.9 6.0 4.9
通訳・翻訳・語学学校 27 5 4 8 7 6 5 8 7 2 5 6 5 3 0 6
100.0 18.5 14.8 29.6 25.9 22.2 18.5 29.6 25.9 7.4 18.5 22.2 18.5 11.1 0.0 22.2
卸売・小売・商社 141 40 11 13 19 59 51 27 66 26 22 55 30 43 4 13
100.0 28.4 7.8 9.2 13.5 41.8 36.2 19.1 46.8 18.4 15.6 39.0 21.3 30.5 2.8 9.2
旅行・ホテル 186 53 16 15 28 76 59 42 77 38 43 64 23 48 11 14
100.0 28.5 8.6 8.1 15.1 40.9 31.7 22.6 41.4 20.4 23.1 34.4 12.4 25.8 5.9 7.5
金融・保険・証券 49 15 1 6 4 12 7 9 10 4 2 10 8 10 7 9
100.0 30.6 2.0 12.2 8.2 24.5 14.3 18.4 20.4 8.2 4.1 20.4 16.3 20.4 14.3 18.4
私立大学・研究機関 19 5 2 1 6 11 0 3 6 2 3 3 2 1 0 2
100.0 26.3 10.5 5.3 31.6 57.9 0.0 15.8 31.6 10.5 15.8 15.8 10.5 5.3 0.0 10.5
情報・通信 14 7 2 4 3 6 2 3 8 2 2 5 4 4 2 1
100.0 50.0 14.3 28.6 21.4 42.9 14.3 21.4 57.1 14.3 14.3 35.7 28.6 28.6 14.3 7.1
出版・印刷・広告代理 13 2 1 2 2 4 5 1 3 2 2 3 0 6 1 2
100.0 15.4 7.7 15.4 15.4 30.8 38.5 7.7 23.1 15.4 15.4 23.1 0.0 46.2 7.7 15.4
その他 40 11 3 2 8 19 13 6 20 14 8 14 10 9 4 2
100.0 27.5 7.5 5.0 20.0 47.5 32.5 15.0 50.0 35.0 20.0 35.0 25.0 22.5 10.0 5.0
外資の参入状況 入っている 91 31 6 14 15 42 25 22 34 18 8 26 19 20 6 12
100.0 34.1 6.6 15.4 16.5 46.2 27.5 24.2 37.4 19.8 8.8 28.6 20.9 22.0 6.6 13.2
入っていない 580 161 50 50 92 257 156 120 270 106 118 199 90 166 33 46
100.0 27.8 8.6 8.6 15.9 44.3 26.9 20.7 46.6 18.3 20.3 34.3 15.5 28.6 5.7 7.9
従業員規模 0〜30人未満 258 68 23 31 40 86 82 50 103 47 43 84 44 65 13 32
100.0 26.4 8.9 12.0 15.5 33.3 31.8 19.4 39.9 18.2 16.7 32.6 17.1 25.2 5.0 12.4
30〜100人未満 155 46 10 17 33 80 44 36 65 32 38 49 23 48 9 11
100.0 29.7 6.5 11.0 21.3 51.6 28.4 23.2 41.9 20.6 24.5 31.6 14.8 31.0 5.8 7.1
100〜300人未満 160 48 10 9 21 81 34 34 90 26 33 62 28 43 10 8
100.0 30.0 6.3 5.6 13.1 50.6 21.3 21.3 56.3 16.3 20.6 38.8 17.5 26.9 6.3 5.0
300人以上 76 23 12 5 10 43 14 18 40 18 12 22 12 23 6 6
100.0 30.3 15.8 6.6 13.2 56.6 18.4 23.7 52.6 23.7 15.8 28.9 15.8 30.3 7.9 7.9
注) 本表は、外国人を直接的若しくは間接的に雇用していない、経営権を保有する外国人がいない、外国人個人事業主との契約がない法人のうち、今後外国人の活用意向がある法人について集計している。
太字部分は、各項目における構成比が上位3つ以内のもの、網掛け部分は、各項目における構成比が全体の構成比よりも10%以上高いもの。

 (4)  行政への要望等
   行政への要望として挙げられていた意見で主なものは、社会保険に関する要望、入国管理手続きに関するもの、外国人の報酬要件に関するもの等が挙げられている。最後の報酬要件については、かつて「人文知識・国際業務」、「企業内転勤」の在留資格のうち、国際業務に従事する外国人に対しては、「月額25万円以上」という報酬要件が求められていたが、平成11年8月の出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の改正により、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」に改められた(詳細は資料IV参照)。しかし、報酬要件に関する意見が多くみられたことは、この省令の改正が徹底されていない可能性がある。
 なお、具体的な回答例は以下のとおりとなっている。

 入国管理局への電話がいつもつながりにくくて困っています。ケースごとの必要書類一覧等はせめてインターネットで調べられるようにしてください。
 入管にかかわる手続きにおいて、申請から発行までの期間をもっと短くしていただけると助かります。
 私の会社は一般の英会話スクールです。現在外国人英語講師を採用する際、事前にビザ申請を当然しますが、その際契約内容で月給25万以上でなくてはいけないという入管からの指導があります。しかし、日本人大卒者で月給25万というのはほとんどありません。また、彼らは一年契約ですので、会社側からするととても大きな賃金負担を感じます。
 非永住者は厚生年金に関して不利であり、この点で加入の際に説得を要する場合もあった。より有利な制度が必要とされると思う。
 政府管掌保険の場合、保険と年金がセットになっているが、年金部分の保険料は、受給資格が生じるまで多年に渡り日本で働くつもりのない多くの外国人にとって余分な税金である。(脱退帰国したら一部払い戻しがあるが、払い込んだ保険料に比して少額しかもどらない)
 外国人の入出国に伴う市役所等での手続きについて、住民届・市県民税・所得税についての英文パンフのようなものを作成いただき、本人に配布いただけたらと思います。特に、日本語での就業を終えて、海外に転居する場合、本人に住民届の抹消手続きと市県民税の精算をするよう伝えるのですが、住民届の窓口には行くが、そこで税金の案内がないと終了したと思い、帰ってしまうということがあるようです。

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