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第106回ILO総会(2017年6月13日)橋本厚生労働副大臣 日本政府代表演説

 議長、ありがとうございます。私は、日本政府を代表して発言いたします。

 まずは、事務局長報告で取り上げた「気候変動下での労働:グリーン・イニシアチブ」に関する課題と取組について紹介します。

 温暖化については、世界が協調して現状を上回る対策を採らなかった場合には、今世紀末には、2000年頃と比較して、2.6℃〜4.8℃高くなることが予測されています。

 こうした急激な気候変動は、人々の暮らしや働き方に大きく影響を与えます。

 このため、より環境に優しい持続可能な生産・消費形態への移行が求められますが、その際には、労働者がこうした移行に円滑に適応できるように配慮することも必要であり、事務局長が提唱するグリーン・イニシアチブは、今日(こんにち)において大変意義ある取組と考えます。

 我が国は、世界全体の平均気温の上昇を産業革命以前よりも2.0℃を十分下回るように抑えること等を目的とした、パリ協定を受諾したところであり、今後も堅持してまいります。

 また、我が国は、環境・エネルギー分野での技術開発や国民全体での取組を進めることにより、温室効果ガスを計画的に削減していくこととしています。さらに、我が国の優れた環境技術や経験を活かし、温室効果ガスの排出を削減しながら、この地球上の人々の暮らしを豊かにするために、2020年には約1.3兆円の気候変動対策事業を途上国において着実に実施できるよう取り組んでまいります。

 気候変動の対応に加え、ディーセント・ワークの実現が重要な課題です。

 日本では、少子化の進展に伴い、15歳から64歳までの生産年齢人口が1995年以降、20年以上にわたり減少を続けています。労働の現場における人手不足や労働者一人あたりの社会保障負担の増大など、経済・社会への悪影響が懸念されます。

 このような、生産年齢人口の減少に伴う課題を克服し、社会の活力を高め、経済成長を達成し、より良い社会的保護を実現するため、日本は、政労使が一体となって「働き方改革」に取り組んでいます。

 人手不足に対して、労働時間の増加によって対応するのではありません。働くことを希望する女性や高齢者に一層の労働参加を促し、彼らが長く働き続けられる環境を整備することで、労働力人口の減少を最小限にとどめます。

 同時に、技術革新の活用や、賃上げや同一労働同一賃金の実現により、働く者のやりがいや士気を高めること、そして我が国の製造業が誇る「カイゼン」の文化をサービス業などに横展開することを通じ、労働生産性の向上に努めます。

 我が国では、今年3月に「働き方改革実行計画」をとりまとめました。同一労働同一賃金や時間外労働の上限規制など、実行計画の内容にしたがって、関係審議会の審議を終え、早期に法案を国会に提出したいと考えています。

 このように我が国では、ディーセント・ワークの実現に向けて、「働き方改革」を進め、社会の持続可能性を高めてまいります。

 日本は他国に先駆けて少子化や長寿化が進む課題先進国です。日本の経験や制度、また失敗を世界の皆さんの課題解決に役立てていただきたいと願っています。

 情報交換や意見交換を通じ、持続可能な経済とディーセント・ワークが両立する社会の実現という、困難な課題に対して果敢に立ち向かって行きましょう。

 ご静聴ありがとうございました。

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