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第102回ILO総会(2013年6月14日)金子厚生労働事務次官日本政府代表 演説

 議長、ありがとうございます。
 第102回ILO総会で日本政府を代表して発言する機会をいただいたことを光栄に思います。

 まず、昨年10月に就任されたガイ・ライダー事務局長に対し、改めてお祝いを申し上げます。

 ライダー事務局長は、創設100周年を迎えようとしているILOにいま求められていることは、(1)仕事の世界の権威として全世界的に認められること、(2)質の高い分析に基づき的を射た政策助言と支援を加盟国の政労使に提供すること、(3)労働・社会・経済政策に関わる世界的な課題にILOの中核的な目標を組み込んでいくことであるとし、これらの目標達成を行うための計画予算策定と組織改編を行いました。

 事務局長が早速強いリーダーシップを発揮されていることに敬意を表するとともに、その成果が早くよい形で出てくることを期待しています。

 ILOの重要な機能の一つは、監視機構です。今総会で、基準適用委員会が機能していることは、労使の意識の高さを示すものであり、敬意を表します。
 今後も、三者の間で対話が進められ、よりよい監視機構となるよう希望します。

 議長、昨年12月に日本では3年半ぶりに政権交代がありました。現在、安倍首相の下で、我が国経済の再生に向けた対策として、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」を掲げており、3つめの「成長戦略」の中に、雇用・人材分野が含まれています。

 経済再生のためには、その原動力となる雇用への支援や働く環境整備が重要であり、私の方からは、これに関連していま日本が検討している対策についていくつか述べたいと思います。

 ライダー事務局長は、労働・社会・経済政策に関わる政策討議の世界的な課題について、ILOが中心的なプレイヤーとなって取り組むことが必要と述べています。この対策は、こうした取組を進める際に、参考になると考えています。

 まず、成熟産業から成長産業へと人材を円滑にシフトするため、労働移動の支援のための助成金の拡充や民間人材ビジネスの活用等の施策を実施し、官民連携してマッチング機能を強化します。これにより、職を探している人々が雇用に結びつくチャンスを拡大します。

 二つ目に、正規雇用と非正規雇用といった両極端な働き方を見直して、あらたな雇用のモデルを確立し、労働者が希望に応じた多様な働き方を選択できる環境の整備を行っていきます。

 また、ライダー事務局長が設定された重点分野にも含まれていますが、若者の安定雇用を実現するため、ハローワークと大学との連携を強化するなど、若者が正社員としての就職を目指す取組を進めるほか、新しく就職した若者が、その後も十分な能力開発の機会に恵まれるよう、こうした若者の訓練を行う中小企業団体の支援等を実施します。

 さらに、女性の活躍を促進するための取組も強化します。
 女性が子育てをしながら「働き続けられる社会」を目指し、2013・2014年度の2年間で20万人分、保育ニーズのピークを迎える2017年度末までに40万人分の保育の受け皿を確保します。これにより、希望する子ども全員が保育を受けられるようにし、女性の就労を支援します。そのほかにも、女性の活躍の促進を図るためのスキルアップや就業継続の積極的支援を行い、育児休業からの円滑な復帰や再就職を総合的に支援します。

 議長、経済政策と雇用政策は、国の危機からの回復と発展にあたっての車の両輪であります。
 日本としては、ILOも掲げるこの方向性が正しいものであることを確信し、勇気をもって課題に取り組みます。

 議長、私は、今年5月に事務局長が来日された際、日本とILOのパートナーシップの更なる強化が確認されたことを喜ばしく思います。

 世界的な金融・雇用危機に揺れる国際社会において、社会正義の実現を目指すILOの存在感は、ますます高まっています。

 日本政府は、引き続き、この重要な使命を担うILOの活動を最大限支援し、また、100周年に向けた事務局長の多方面のイニシアティブと諮問委員会の設立へ支持を表明し、私の演説の結びとします。

 ありがとうございました。

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