平成18年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数等
(平成18年度社会福祉行政業務報告(福祉行政報告例) 【平成19年9月28日公表】より抜粋) |
児童相談所は、市町村と適切な役割分担・連携を図りつつ、子どもに関する家庭その他からの相談に応じ、子どもが有する問題又は子どもの真のニーズ、子どもの置かれた環境の状況等を的確に捉え、個々の子どもや家庭に最も効果的な援助を行い、もって子どもの福祉を図るとともに、その権利を擁護することを目的として設置された行政機関であり、平成19年7月1日現在、全国に196ヶ所設置されている。
平成18年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待に関する相談件数等を平成16年度以降の件数とともにまとめたものである。
1 相談受付件数
児童相談所に寄せられる相談の種類は、大きく分けると養護相談(児童虐待相談を含む)、障害相談、非行関係相談、育成相談、その他の相談に分類される。 平成18年度の受付総数は380,950件で、前年度より約31,000件増加した。これは、平成18年10月から施行された、障害者自立支援法の影響により、新たに障害児施設給付費の受給に係る手続きが加わった影響によるものと考えられる。総数の内訳は、障害相談が194,166件(約51.0%)と最も多く、次いで養護相談が78,698件(約20.6%)となっている。 |
種 別 | ||||||
総 数 | 養護相談 | 非 行 相 談 | 障害相談 | 育成相談 | その他の相談 | |
年 度 | ||||||
平成16年度 ( 2004 ) | (100%) | (21.5%) | ( 5.2%) | (44.6%) | (18.6%) | (10.1%) |
352,614 | 75,669 | 18,362 | 157,326 | 65,681 | 35,576 | |
平成17年度 ( 2005 ) | (100%) | (21.5%) | ( 5.0%) | (46.8%) | (17.5%) | ( 9.3%) |
349,873 | 75,253 | 17,518 | 163,597 | 61,053 | 32,452 | |
平成18年度( 2006 ) | (100%) | (20.6%) | (4.6%) | (51.0%) | (16.0%) | (7.8%) |
380,950 | 78,698 | 17,409 | 194,166 | 60,908 | 29,769 |

2 虐待に関する相談対応件数の推移
平成18年度に全国の児童相談所で対応した児童虐待相談対応件数は、37,323件で、統計を取り始めた平成2年度を1とした場合の約34倍、児童虐待防止法施行前の平成11年度に比べ約3倍強と、年々増加している。
平成18年度 |
〈33.90〉 37,323 |
平成2年度 | 平成3年度 | 平成4年度 | 平成5年度 | 平成6年度 | 平成7年度 | 平成8年度 |
〈 1 〉 | 〈1.06〉 | 〈1.25〉 | 〈1.46〉 | 〈1.78〉 | 〈2.47〉 | 〈3.73〉 |
1,101 | 1,171 | 1,372 | 1,611 | 1,961 | 2,722 | 4,102 |
平成9年度 | 平成10年度 | 平成11年度 | 平成12年度 | 平成13年度 | 平成14年度 | 平成15年度 |
〈4.86〉 | 〈6.3〉 | 〈10.56〉 | 〈16.1〉 | 〈21.13〉 | 〈21.56〉 | 〈24.13〉 |
5,352 | 6,932 | 11,631 | 17,725 | 23,274 | 23,738 | 26,569 |
平成16年度 | 平成17年度 | |||||
〈30.34〉 | (31.31) | |||||
33,408 | 34,472 |

※平成17年度の全国における市町村が対応した虐待相談対応件数=40,222件
3 虐待の経路別相談件数
児童相談所に寄せられる虐待相談の経路は、家族、学校等、近隣知人及び福祉事務所からの相談が多くなっている。
総 数 | 家 族 | 親 戚 | 近 隣 知 人 |
児 童 本 人 |
福祉事 務 所 |
児 童 委 員 |
保健所 | 医 療 機 関 |
児童福 祉施設 |
警察等 | 学校等 | その他 | |
16 年度 |
(100%) 33,408 |
(16%) 5,306 |
( 2%) 785 |
(15%) 4,837 |
( 1%) 410 |
(13%) 4,433 |
( 2%) 639 |
( 3%) 871 |
( 4%) 1,408 |
( 5%) 1,611 |
( 6%) 2,034 |
( 15%) 5,078 |
( 18%) 5,996 |
17 年度 |
(100%) 34,472 |
(16%) 5,368 |
( 3%) 958 |
(14%) 4,807 |
( 1%) 455 |
(13%) 4,591 |
( 2%) 538 |
( 2%) 530 |
( 4%) 1,428 |
( 4%) 1,521 |
( 7%) 2,250 |
( 15%) 5,073 |
( 20%) 6,953 |
18 年度 |
(100%) 37,323 |
(15%) 5,700 |
(3%) 1,042 |
(14%) 5,475 |
(1%) 452 |
(15%) 5,659 |
(1%) 472 |
(1%) 374 |
(4%) 1,522 |
(4%) 1,472 |
(7%) 2,727 |
(15%) 5,686 |
(18%) 6,742 |
4 虐待の内容別件数
内容相談別に見ると、身体的虐待が15,364件(41.2%)で最も多く、次いでネグレクトが14,365件(38.5%)となっている。身体的虐待の割合が減少傾向であるのに対し、ネグレクト、心理的虐待の割合は年々増加している。
総数 | 身体的虐待 | 保護の怠慢 ないし拒否 (ネグレクト) |
性的虐待 | 心理的虐待 | |
平成16 | (100%) | (44.6%) | (36.7%) | (3.1%) | (15.6%) |
年度 | 33,408 | 14,881 | 12,263 | 1,048 | 5,216 |
平成17 | (100%) | (42.7%) | (37.5%) | (3.1%) | (16.8%) |
年度 | 34,472 | 14,712 | 12,911 | 1,052 | 5,797 |
平成18 | (100%) | (41.2%) | (38.5%) | (3.1%) | (17.2%) |
年度 | 37,323 | 15,364 | 14,365 | 1,180 | 6,414 |

5 主たる虐待者
主たる虐待者は、実母が23,442件(62.8%)と最も多く、次いで実父の8,219件(22.0%)となっている。
総 数 | 父 | 母 | その他 | |||
実 父 | 実父以外 | 実 母 | 実母以外 | |||
平成16年度 | (100%) 33,408 |
(20.9%) 6,969 |
(6.4%) 2,130 |
(62.4%) 20,864 |
(1.5%) 499 |
(8.8%) 2,946 |
平成17年度 | (100%) 34,472 |
(23.1%) 7,976 |
(6.1%) 2,093 |
(61.1%) 21,074 |
(1.7%) 591 |
(7.9%) 2,738 |
平成18年度 | (100%) 37,323 |
(22.0%) 8,219 |
(6.5%) 2,415 |
(62.8%) 23,442 |
(1.8%) 655 |
(6.9%) 2,592 |

6 虐待相談の年齢構成
虐待相談の年齢構成別に見ると、小学生が14,467件(38.8%)、3歳〜学齢前が9,334件(25.0%)となっている。学齢前児童の割合が減少傾向であるのに対し、小学生以上の割合は年々増加している。
総数 | 0〜3未満 | 3〜学齢前児童 | 小学生 | 中学生 | 高校生・ その他 |
|
平成16年度 | (100%) 33,408 |
(19.4%) 6,479 |
(26.3%) 8,776 |
(37.4%) 12,483 |
(12.5%) 4,187 |
(4.4%) 1,483 |
平成17年度 | (100%) 34,472 |
(18.5%) 6,361 |
(25.5%) 8,781 |
(37.8%) 13,024 |
(13.4%) 4,620 |
(4.9%) 1,686 |
平成18年度 | (100%) 37,323 |
(17.3%) 6,449 |
(25.0%) 9,334 |
(38.8%) 14,467 |
(13.9%) 5,201 |
(5.0%) 1,872 |

7 家庭への立入調査
児童虐待の防止等に関する法律第9条に基づく立入調査は、児童虐待が行われているおそれがあるとき、児童福祉司等が児童の住居等に立ち入り、必要な調査や質問を行うことができるものである。
平成18年度に立入調査した件数は238件であった。
年 度 | 件 数 |
平成16年度 | 287 件 |
平成17年度 | 243 件 |
平成18年度 | 238 件 |

8 一時保護
児童福祉法第33条に規定する一時保護は、児童福祉法第27条に規定される施設入所等の措置をとるに至るまで、子どもを一時保護所に一時保護し、または児童福祉施設、警察等に一時保護を委託することができるものであり、虐待、放任等の理由により家庭から一時引き離す必要がある場合等に行われる。なお、一時保護所は全国に117か所設置されている(平成19年7月現在)。
平成18年度の一時保護件数は10,221件であり、前年度に比べ約13%の増加となっている。そのうち一時保護委託については3,140件であり、なかでも児童養護施設への委託が1,488件(47.4%)と一時保護委託の半数近くを占めている。
平成16年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | ||
一 時 保 護 所 | 6,214 | 6,412 | 7,081 | |
一 時 保 護 委 託 | 2,213(100%) | 2,631(100%) | 3,140(100%) | |
児 童 養 護 施 設 | 1,143(51.6%) | 1,362(51.8%) | 1,488(47.4%) | |
乳 児 院 | 343(15.5%) | 472(17.9%) | 552(17.6%) | |
児 童 自 立 支 援 施 設 | 44( 2.0%) | 28( 1.1%) | 43( 1.4%) | |
情 緒 障 害 児 短 期 治 療 施 設 | 35( 1.6%) | 47( 1.8%) | 59( 1.9%) | |
障 害 児 関 係 施 設 | 126( 5.7%) | 123( 4.7%) | 157( 5.0%) | |
そ の 他 社 会 福 祉 施 設 | 27( 1.2%) | 48( 1.8%) | 130( 4.1%) | |
警 察 署 | 81( 3.7%) | 110( 4.2%) | 124( 3.9%) | |
里 親 | 185( 8.4%) | 209( 7.9%) | 286( 9.1%) | |
そ の 他 | 229(10.3%) | 232( 8.8%) | 301( 9.6%) | |
計 | 8,427 | 9,043 | 10,221 |
一 時 保 護

一 時 保 護 委 託

9 虐待相談の対応状況
虐待相談を受け付けた後の対応状況は、助言指導や継続指導等のいわゆる面接指導が30,566件(81.2%)と最も多く、施設入所については約1割の3,874件となっている。施設入所の内訳は、児童養護施設が2,603件(67.2%)と最も多くなっている。
総 数 | 施 設 入 所 | 里 親 等 委 託 | 面 接 指 導 | そ の 他 | |
平成16 年度 |
(100%) 33,476 |
(10.6%) 3,527 |
(0.7%) 243 |
(81.4%) 27,251 |
(7.3%) 2,455 |
平成17 年度 |
(100%) 34,531 |
(10.4%) 3,621 |
(0.7%) 243 |
(81.3%) 28,070 |
(7.5%) 2,597 |
平成18 年度 |
(100%) 37,656 |
(10.3%) 3,874 |
(0.6%) 251 |
(81.2%) 30,566 |
(7.9%) 2,965 |
(※1 ひとつの事例に対して複数の処理をした場合は複数計上とした。) (※2 その他は、児童委員指導、福祉事務所送致、訓戒・誓約など) |

● 施設入所の内訳
平成16年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | |
児 童 養 護 施 設 | 2,405 (68.2%) | 2,487 (68.7%) | 2,603(67.2%) |
乳 児 院 | 602 (17.1%) | 619 (17.1%) | 637(16.4%) |
児 童 自 立 支 援 施 設 | 123 ( 3.5%) | 130 ( 3.6%) | 138 (3.6%) |
情 緒 障 害 児 短 期 治 療 施 設 | 155 ( 4.4%) | 148 ( 4.1%) | 193(5.0%) |
そ の 他 の 施 設 | 242 ( 6.8%) | 237 ( 6.5%) | 303(7.8%) |
計 | 3,527 (100%) | 3,621 (100%) | 3,874(100%) |

10 児童福祉法第28条(家裁の承認を得て行う施設入所措置)・第33条の6(家裁に対して児童相談所長が行う親権喪失請求)関係の請求・承認件数
平成18年度における28条(家裁の承認を得て行う施設入所措置)に基づく請求件数は185件、承認件数は163件であり、年々請求件数に占める承認件数の割合が増加している。
年 度 | 事 項 | 法第28条による施設入所 措置の承認申立 |
法第33条の6による親権 喪失宣告の請求 |
平成16年度 | 請 求 件 数 | 186 | 4 |
承 認 件 数 | 147(79%) | 1 | |
平成17年度 | 請 求 件 数 | 176 | 2 |
承 認 件 数 | 147(84%) | 2 | |
平成18年度 | 請 求 件 数 | 185 | 3 |
承 認 件 数 | 163(88%) | 2 |
※ ( )は請求件数に対する承認件数の割合 (注) 児童福祉法第28条では、保護者が、その児童を虐待し、著しくその監護を怠り、その他保護者に監護させることが著しく当該児童の福祉を害する場合において、施設入所の措置を採ることが児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反するときは、家庭裁判所の承認を得て、施設入所措置をとることができることを規定している。 |
28条(家裁の承認を得て行う施設入所措置)に基づく請求・承認件数
