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第3章 要保護児童対策地域協議会の運営
第3章 要保護児童対策地域協議会の運営
1. 業務
(1) 地域協議会は、要保護児童等に関する情報その他要保護児童の適切な保護を図るために必要な情報の交換を行うとともに、要保護児童等に対する支援の内容に関する協議を行う(児福法第25条の2第2項)。
(2) 地域協議会については、個別の要保護児童等に関する情報交換や支援内容の協議を行うことを念頭に、要保護児童対策調整機関や地域協議会の構成員に対する守秘義務が設けられており、個別の事例について担当者レベルで適時検討する会議(個別ケース検討会議)を積極的に開催することはもとより、構成員の代表者による会議(代表者会議)や実務担当者による会議(実務者会議)を開催することが期待される。
現在、市町村で取組が進みつつある児童虐待防止ネットワークについては、市町村の規模や児童家庭相談体制にもよるが、以上のような三層構造となっていることが多い。
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(3) 児童虐待への対応は、多数の関係機関が関与し、また、児童相談所と市町村の間の役割分担が曖昧になるおそれもあることから、市町村内における全ての虐待ケースに関して地域協議会において絶えず、ケースの主担当機関及び主たる援助者(キーパーソン)をフォローし、ケースの進行管理を進めていくことが必要である。こうした観点から地域協議会の調整機関において、全ケースについて進行管理台帳(別紙1参照)を作成し、実務者会議等の場において、定期的に(例えば、3か月に1度)、状況確認、主担当機関の確認、援助方針の見直し等を行うことが適当である。
(4) 市町村の規模や関係機関の多寡等によっては、幅広い関係機関を構成員とし、代表者会議や実務者会議への参加を通じて問題意識の共有や必要に応じ的確な対応を取るための体制の確保を図りつつ、個別ケース検討会議については、対象とするケースの性質に応じて参加機関等を選定することも考えられる。
例えば、教育関係機関については、代表者会議には教育委員会のみが出席し、会議において提供された情報については教育委員会から各小学校、中学校等に周知することとしつつ、個別ケース検討会議には、教育委員会に加え、検討の対象となるケースに直接関係する学校等の関係者を参加させるといった手法も考えられる。
また、地域協議会の対象は、虐待を受けている子どものほか、非行児童や障害児なども含まれることも踏まえ、虐待、非行、障害などの分科会を設けて対応することも考えられる。
(5) 個別ケース検討会議においては、関係機関が対応している事例についての危険度や緊急度の判断、子どもに対する具体的な支援の内容について検討を行うことが適当である。また、 個別ケース検討会議への個別の要保護児童等に関する情報の提供については、あらかじめ子どもや保護者の理解を得ておくことが望ましいが、その子どもの保護のために特に必要がある場合であって、これらの者の理解を得ることが困難であるときはこの限りではない。
(6) 地域協議会は、施設から一時的に帰宅した子どもや、施設を退所した子ども等に対する支援に積極的に取り組むことも期待されているところであり、児童相談所や児童福祉施設等と連携を図り、施設に入所している子どもの養育状況を適宜把握するなど、一時的に帰宅した際や退所後の支援の円滑な実施に向けた取り組みを実施することが期待される。
(7) また、支援が必要であるにもかかわらず、連絡先等が不明となってしまった子どもや保護者等に関する情報を共有し、これらの者を早期に発見し、必要な支援を行うことも期待される。
2. 相談から支援に至るまでの流れ
個別の相談、通報から支援に至るまでの具体的な流れについては、地域の実情に応じて様々な形態により運営されることとなるが、一つのモデルを示すと以下のとおりとなる。(別添2参照)
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3. 役割分担
個別事例ごとの関係機関等の役割分担については、それぞれの事例に関する個別ケース検討会議で決定するべき事項であるが、主なものは以下のとおりである。
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4. 関係機関に対する協力要請
(1) こうした要保護児童等に関する情報の交換や支援の内容に関する協議を行うために必要があると認めるときは、地域協議会は、関係機関等に対し、資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる(児福法第25条の3)。
(2) この協力要請は、地域協議会の構成員以外の関係機関等に対して行うことも可能であるが、この要請に基づき当該関係機関等から地域協議会に対し一方的に情報の提供等が行われる場合はともかく、今後の支援の内容に関する協議など、当該関係機関等と地域協議会の構成員の間で双方向の情報の交換等を行うことが見込まれる場合には、協力要請時に、守秘義務が課せられる地域協議会の構成員なることについても要請することが適当である。
(3) なお、医師や地方公務員等については、他の法令により守秘義務が課せられているが、要保護児童の適切な保護を図るために、この規定に基づき情報を提供する場合には、基本的にはこれらの法令による守秘義務に反することとはならないものと考えられる。
(4) また、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。)においては、本人の同意を得ない限り、[1]あらかじめ特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないとともに、[2]第三者に個人データを提供してはならないこととされている。(個人情報保護法第16条及び第23条)
(5) しかしながら、「法令に基づく場合」は、これらの規定は適用されないこととされており、児福法第25条の3に基づく協力要請に応じる場合は、この「法令に基づく場合」に該当するものであり、個人情報保護法に違反することにもならないものと考えられる。
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