ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 子ども・子育て > 子ども・子育て支援 > 児童虐待防止対策・DV防止対策・人身取引対策等 > 児童相談所運営指針等の改正について(平成19年1月23日雇児発第0123002号) > 児童相談所運営指針 > 児童相談所運営指針 > 第6章 事業に係る留意事項

第6章 事業に係る留意事項

第6章   事業に係る留意事項
第1節   家庭、地域に対する援助等
1. 家庭、地域に対する援助
児童相談所は、個々の子どもや保護者等に対する相談援助活動のほか、家庭、地域に対する相談援助活動の総合的な企画及びその実施を市町村等の関係機関と連携しつつ、積極的に行っていく。具体的には、次のような活動が考えられる。
[1]   比較的子どもに関する問題の多い地域に対する巡回相談
[2]   子育ての悩みや子どもの悩みについての電話相談
[3]   不登校児童、障害児及びその保護者等を対象とした療育キャンプ、集団心理療法等の集団指導
[4]   里親研修会、児童委員研修会
[5]   在宅障害児療育指導
[6]   障害児保育巡回相談事業
[7]   思春期児童の性等に関する相談
[8]   子どもの相談機関合同一日相談会
[9]   相談援助機関合同会議(情報交換及び援助方針検討)
[10] パンフレットの作成配布、映画、スライド、ビデオ等の作成・貸出し、新聞、テレビ、ラジオ等の活用、講演会、講習会の開催、保育所、学校等他の機関の行う行事への参加等地域住民の知識や意識を深める活動
 
2. 広報
児童相談所が地域のニ−ズに即応した業務を積極的に進めていくためには、その業務内容を広く子どもを含む地域住民や関係機関が理解している必要があることから、パンフレット等を作成し保健所、福祉事務所、児童館、市町村等の関係機関及び民間団体等に配布するほか、地方公共団体の広報紙に掲載する等の方法により、広報活動を計画的に行う。
 
3. 調査・統計等
(1)  児童相談所がその業務を行うためには、住民のニ−ズを的確に把握する必要があり、調査・統計の事務は極めて重要である。また、児童相談所の企画活動を支え、業務を効果的に行うため、常に調査・研究等に関する諸資料の収集整理等を行っていくことが適当である。
(2)  過去のケ−ス記録の分析、他の機関の行った調査の分析、独自の調査の実施等にも留意する。
 
第2節   巡回相談
1. 巡回相談の意義
(1)  児童相談所は、管轄区域内のすべての子どもに対し、地域に密着した相談援助活動を行うため、積極的に巡回相談を行う必要がある。
(2)  巡回相談には、個々の子どもや保護者等に対する相談援助活動を目的とするものと、主として地域における児童福祉活動の強化等を目的とするものがある。
 
2. 対象地域の選定
巡回相談は次のような地域が対象となる。
[1]   かなりの人口があるが、遠距離にある等児童相談所を利用することが困難な地域
[2]   団地、住宅街等の人口密集地域
[3]   比較的子どもに関する問題の多い地域
[4]   その他必要と認められる地域
 
3. 巡回相談の準備
(1)  巡回相談班
巡回相談は、原則として各種職員がチ−ムで行う。また、対象地域を管轄する福祉事務所、保健所等の協力をあらかじめ求め、チ−ムを編成することも検討する。
(2)  巡回相談の場所
[1]   巡回相談の場所は、地域住民の交通の便を考慮して選定する。具体的には、公民館等の集会所、児童館、学校、福祉事務所、保健所、市町村保健センター等が考えられる。
[2]   巡回相談の場所には、待合室、面接室等を確保し、そこで使用する最小限の物品を備える。
(3)  広報活動
[1]   巡回相談は年間計画を作成し、対象地域の関係機関等と十分な協議を行い、実施に際し支障がないようにする。
[2]   巡回相談を行う際には、趣旨、会場、日時等について地域住民に広報を行う。
 
4. 巡回相談の実施
(1)  巡回相談は、限られた時間内に多くの相談に対応するため、予約制等の方法も工夫する。
(2)  巡回相談の場で助言指導等により終結できる事例については、助言指導等を行う。また、継続して観察を行うことが必要な事例については、日常生活で特に注意する点、観察すべき点等について助言指導等を行い、原則として子どもや保護者等の同意を得て、必要に応じ児童委員、担当教師等に連絡し協力を依頼する。
(3)  助言指導等により終結させることが困難な事例については、今後の相談援助の方法等について子どもや保護者等と十分協議し、次回の面接日時等を決定する。
 
5. 巡回相談実施後の対応
(1)  巡回相談で受け付けた相談も、一般の相談と同様、受理会議に提出し検討する。
(2)  巡回によって把握した地域の子どもの状況等は福祉事務所等の関係機関に伝達する。
 
第3節   児童虐待防止対策支援事業
 
1. 趣旨    
児童虐待防止対策支援事業は、児童相談所が地域の医療、法律その他の専門機関や職種の協力を得て、高度で専門的な判断が必要となるケースへの対応が可能となる体制を確保するとともに、相談機能を強化し、もって子どもの福祉の向上を図ることを目的とする。
 
2. 事業内容
(1)カウンセリング強化事業
児童相談所が児童虐待問題に関して熱意を有する精神科医等(以下「精神科医等」という。)の協力を得て実施するものであり、地域の実情を踏まえた上 で、精神科医等と契約を締結して実施するものとする。なお、精神科医等の役 割は以下のとおり。
ア   児童相談所が児童虐待の相談を受理した際、必要に応じ医学的診断を行うものとする。
イ   児童相談所の援助方針会議において、必要に応じ保護者に関する援助方針について、助言を行うものとする。
ウ   援助方針会議で保護者に対する心理療法が決定した場合、心理療法を担当する職員に対し適宜助言を行うとともに、必要に応じ保護者に対するカウンセリング等を行うものとする。
エ   カウンセリング強化事業の一つである家族療法事業について、この場合の「家族療法」とは、特定の治療法を意味するものではなく、虐待を受けたまたはそのおそれのある子どもやその家族に対して、家族再統合や家族の養育機能の再生・強化に向けた取り組みを意味するものであり、個別ケースの状況や児童相談所の体制等の実情に応じて行うものとする。
(2)法的対応機能強化事業
保護者からの反発や暴力を受けることや保護者とトラブルになることも多く、子どもの安全な身柄保護やそれ以降の継続援助が極めて困難になるため、弁護士による司法的な調整や援助を得ることにより、児童相談所の援助を円滑に行うことができるものとする。なお、弁護士等の役割は以下のとおり。
ア   児童相談所が児童虐待等の相談を受理した際、必要に応じて法的対応に関する助言や関係者との調整を行うものとする。
イ   法的申立を行うなど、司法的対応が必要となる場合には、保護者等、家庭裁判所及び関係機関との調整を行うものとする。
(3)スーパーバイズ・権利擁護機能強化事業
高度な専門性をもった学識経験者や実務経験者からの援助を受けることにより、児童相談所におけるスーパーバイズ・権利擁護機能を強化するものである。なお、学識経験者等の役割は以下のとおり。
ア   多問題家族、施設内虐待など高度な専門的対応や組織的な対応が必要となるケースについて、その家族及び施設入所中の子ども(一時保護中の子どもを含む。)に対し、専門的技術的助言・指導等を行うものとする。
イ   施設における援助状況の実態把握・評価や施設援助のあり方等に対する専門的技術的助言・指導等を行うものとする。また、施設における第三者評価事業と連携することにより、入所者の援助の向上等を図るものとする。
ウ   問題が複雑で援助方針や自立支援計画を立てるために専門的判断などが必要なケース等に対して専門的技術的助言・指導等を行うものとする。
エ   虐待等による子どもの死亡事例を未然に防くとともに、子どもの権利擁護に関する意識を高めるため、処遇困難事例における会議や死亡事例検証委員会等を開催するにあたっては、専門的技術的助言・指導等を行うものとする。
(4)一時保護機能強化事業
一時保護所が有する行動観察や短期入所指導の機能を充実・強化するため、実務経験者である児童指導員OBや教員OBなどによる一時保護対応協力員を配置し、的確な実態把握・評価(アセスメント)を行い、子どもに適切な支援、教育、心理治療を実施し、子どもの健全育成の推進や一時保護所が抱えている問題の改善を図るものである。
一時保護対応協力員は、一時保護所に置き、所長の監督を受け、次の業務を行うものである。また、必要に応じ委託一時保護先に派遣することもできる。
ア   個々の保護している子どもについての的確なアセスメントが行えるよう児童指導員等を補助する。
イ   個々の保護している子どもの学力に応じた学習指導を行うものとする。
ウ   心的外傷のある子どもに対する心理治療を行うものとする。
エ   夜間休日体制等の充実を図り、混合援助などからくる子どもの間でのトラブルなどの軽減や即時対応体制の強化を図ることとする。
(5)24時間・365日体制強化事業
児童相談所は、児童相談に関する役割を担う市町村を後方支援することを踏まえ、夜間休日を問わず、いつでも相談に応じられる体制の整備を図るため、24時間・365日体制対応協力員を配置するものである。
ア   24時間体制強化については、児童相談所が各々の通常の開所時間外の時間帯に、365日体制強化については、児童相談所が閉所している祝休日に、相談援助技術を有した児童相談所OB職員または民間団体やボランティア活動を通じ相談援助活動経験のある非常勤職員等を配置し、随時直接相談に応じられる体制を図るものとする。
イ   また、アに掲げる時間帯または祝休日に、児童相談所の職員を充てた場合の、平日の時間帯におけるアに定める非常勤職員等を配置する場合の体制強化についても対象とする。
 
3. その他
児童虐待防止対策支援事業については、本指針に定めるほか、平成17年5月2日雇児発第0502001号「児童虐待防止対策支援事業の実施について」による。
 
第4節   ひきこもり等児童福祉対策事業
1. 趣旨
ひきこもり等の状態にある子ども及びその家庭に対し、学校及び保健所等の関係機関と連携を図りつつ、児童相談所や児童養護施設等の機能を活用し、総合的な援助を行うことにより、子どもの自主性及び社会性の伸長、登校意欲の回復並びに家庭における養育機能の強化を図り、もってこれら子どもの福祉の向上に資する事を目的とする。
 
2. 事業内容
(1)  ふれあい心の友訪問援助事業
児童相談所の児童福祉司の指導の下、学生等のボランティア(メンタルフレンド)がひきこもり等の子どもの家庭等を訪問し、当該子どもとのふれあいを通じて、子どもの福祉の向上を図る。
(2)  ひきこもり等児童宿泊等指導事業
ひきこもり等の子どもを一時保護所等に宿泊又は通所させ、集団的に生活指導、心理療法、レクリエーション等を実施し、子どもの福祉の向上を図る。
(3)  ひきこもり等保護者交流事業
コーディネーター(児童相談所OBやひきこもりの子どもをもっていた親等)の支援のもとに、ひきこもりの子どもをもつ保護者を対象として、講習会やグループワークなどを実施し、ひきこもり等の子どもに対応する力を身につけさせ、子育てに対する不安を軽減するなど子育て家庭に対する支援の充実を図る。
    
3. その他
ひきこもり等児童福祉対策事業については、本指針に定めるほか、平成17年3月28日雇児発第0328006号「ひきこもり等児童福祉対策事業の実施について」による。
 
第5節   養子縁組
1. 養子縁組の意義
(1)  児童福祉における養子縁組の意義は、保護者のない子ども又は家庭に恵まれない子どもに暖かい家庭を与え、かつ、その子どもの養育に法的安定性を与えることにより、子どもの健全な育成を図るものであり、児童相談所は、要保護児童対策の一環として、保護に欠ける子どもが適当な養親を見出し、適正な養子縁組を結べるよう努める。
(2)  養子縁組については、民法(明治29年法律第89号)第792条以下において規定する養子縁組(以下「普通養子縁組」という。)と同法817条の2以下において規定する特別養子縁組の2種類がある。
 
2. 調査、認定等
(1)  自己の養子とする子どものあっせんを希望する者(以下「養子縁組希望者」という。)、自己の子を他の者の養子とすることを希望する者等からの相談を受けた場合には、受理会議で検討し調査、認定等を行う。この場合には、原則として里親の場合に準ずる。
(2)  調査等を行った後援助方針会議で検討し、養子縁組のあっせんを行うことが適当と判断される者がある場合には、養子縁組のあっせんに関し必要な援助を行う。
(3)  里親が委託されている子どもと養子縁組を希望する場合には、事情を十分調査した後援助方針会議で検討し、適当と判断される場合には必要な援助を行う。
 
3. あっせん手続き
(1)  養子縁組のあっせんを行う場合には、子どもや保護者等の縁組についての同意をできるだけ得ておくことが適当である。
(2)  養子縁組のあっせんを行うことが適当と判断される場合には、養子縁組希望者に子どもを少なくとも6カ月以上里親として養育することを勧めることが適当である。
(3)  里親委託の要件に該当しない等の事情により里親委託を行わない場合には、養子縁組希望者に対し法第30条第1項に規定する同居児童の届出を行うよう指導し、法第27条第1項第2号に基づく児童福祉司指導を行う等、里親の場合と同等の指導体制をとる。
(4)  子どもが15歳未満で法定代理人がいない場合は、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所に対し未成年後見人選任の手続きをとる。なお、施設に在籍する親権を行う者のない子どもの普通養子縁組の場合には、施設長が都道府県知事等の許可を受けて親権代行者としてその縁組を承諾する。(法第33条の7、法第47条、民法第840条)
(5)  6か月以上の期間の養育状況を調査し、援助方針会議で検討し、養子縁組を行うことが適当と判断される場合には、養子縁組希望者に対し、家庭裁判所に申立て等を行うよう助言する。なお、特別養子縁組の場合は、これにより実方の父母等との親族関係が終了すること、離縁が厳しく制限されていること等その特徴に十分配慮して対応する。
 
4. 離縁の訴
子どもが15歳未満であって、普通養子縁組の結果が子どものため適当でないことを発見し養親が協議上の離縁をしない場合は、家庭裁判所により離縁後に子の未成年後見人となるべく選任された児童相談所長は、離縁の訴を提起することができる。
なお、特別養子縁組については児童相談所長は離縁の訴を提起することはできない。
 
5   都道府県等間の連絡
2つの都道府県等にまたがる養子縁組のあっせんについては、各都道府県等は相互に緊密な連絡をとり必要な協力を行う。この場合においては、里親に関する都道府県等間の連絡の場合に準ずる。
 
6. 家庭裁判所との連携
(1)  養子縁組について家庭裁判所から調査等を嘱託された場合においては、児童福祉の観点から必要な協力を行う。特に、特別養子縁組に関して、家事審判規則第8条に基づき調査委嘱がなされた場合には、十分な配慮が必要である。
(2)  児童相談所があっせんした養子縁組又は里親に委託した子どもが養子縁組を行う場合には、当該養子縁組をあっせんした児童相談所又は里親委託を行った児童相談所が中心となって家庭裁判所と連絡を行う。
(3) (2)以外の場合については、子どもの居住地を管轄する児童相談所が中心となって家庭裁判所と連絡を行う。
 
7. その他
(1)  国際養子縁組については、基礎資料作成や手続き、制限事項等について社会福祉法人日本国際社会事業団と十分連携を図ることが適当である。
(2)  養子縁組については、本指針に定めるほか次の通知による。
[1]   昭和62年10月31日児発第902号「養子縁組あっせん事業の指導について」
[2]   昭和62年11月18日児育第27号「特別養子制度における家庭裁判所との協力について」
[3]   平成14年厚生労働省令第115号「里親の認定等に関する省令」  
[4]   平成14年厚生労働省令第116号「里親が行う養育に関する最低基準」
[5]   平成14年9月5日雇児発0905001号「里親の認定等に関する省令」及び「里親が行う養育に関する最低基準」について
[6]   平成14年9月5日雇児発0905002号「里親制度の運営について」
[7]   平成14年9月5日雇児発0905004号「養子制度等の運用について」
[8]   平成14年9月5日雇児発0905005号「里親支援事業の実施について」
[9]   平成14年9月5日雇児発0905006号「里親の一時的な休息のための援助の実施について」
[10] 平成18年8月28日雇児福発0828001号「養子縁組あっせん事業を行う者が養子の養育を希望する者から受取る金品に係る指導等について」
 
第6節   1歳6か月児、3歳児精密健康診査及び事後指導
1. 精密健康診査、事後指導の意義
(1)  乳幼児の精密健康診査、事後指導は、疾病や障害の早期発見、早期援助を行い、また、将来の人格形成の基礎を育成して、生涯にわたる健全な生活を保持増進するものである。
(2)  市町村が実施した1歳6か月児、3歳児健康診査の結果、より一層精密に健康診査を行う必要のある子どものうち、精神発達面について児童相談所による専門的な助言・指導が必要であると思われるものは、児童相談所に精密健康診査を依頼される場合もある。この場合、健康診査を行った市町村が交付する「1歳6か月児精密健康診査受診票」又は「3歳児精密健康診査受診票」に基づき行う。なお、その子どもについては、必要に応じて、相談援助を行うものとする。
 
2. 対象となる子ども
市町村が実施する1歳6か月児健康診査、3歳児健康診査の結果、精神発達面において問題があり、より精密に健康診査を行い、児童相談所による専門的な助言・指導が必要であると認められる子どもであって、児童相談所に依頼のあったものに対し、精神発達面における精密健康診査を行うよう努める。なお、その結果については、それぞれ1歳6か月児精密健康診査受診票、3歳児精密健康診査受診票により市町村に通知する。
 
3. 事後指導
(1)  精神発達面における精密健康診査の結果、特に専門的な援助が必要とされる在宅の子ども、保護者等については、市町村等と十分な連携を図りつつ事後指導を行う。また、場合によっては、児童福祉施設入所措置、医療機関等への紹介等を行う。
(2)  事後指導の経過及び結果は、個々の児童記録票に記載し、必要に応じその内容を保健所等関係機関に通知する。
(3)  乳幼児の発達、しつけ及び家庭における養育上の注意等を記載した読本、パンフレット等を作成し、事後指導を要する子どもの家庭に対し配布する。
 
第7節   障害児(者)に対する事業
1. 事業の種類
(1)  児童相談所が中心になって行う障害児(者)に対する事業には次のものがある。
[1]   在宅重症心身障害児(者)訪問指導事業
[2]   在宅障害児指導事業
(2)  これらの事業は、継続的に指導等を行うことにより、在宅の障害児(者)及びその保護者等の福祉の向上を図ることを目的とするものであり、児童相談所はこの趣旨を十分理解し、適切な運営を行う。
 
2. 在宅重症心身障害児(者)訪問指導事業
(1)  本事業は、重症心身障害児(者)のいる家庭を訪問し、必要な指導等を行い、もって重症心身障害児(者)とその家庭の福祉の向上を図るために実施する。
(2)  本事業の実施に当たっては、児童相談所は福祉事務所、保健所、身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所等による連絡協議会を設け、対象の把握、名簿の作成、訪問指導の計画、訪問指導の内容、結果等に関して連絡及び協議を行い、事業の円滑な実施及び内容の向上を図ることが必要である。
(3)  重症心身障害児施設、肢体不自由児施設等に対しても、連絡協議会への積極的参加を求めるとともに、重症心身障害児(者)の関係団体との連絡を密にし、本事業の円滑な推進を図る。
(4)  児童相談所は、相談に応じた重症心身障害児(者)について必要な事項を名簿に記載し、所内に備えて置くことが適当である。
(5)  本事業はすべての重症心身障害児(者)を対象として実施するものであるが、特にその障害の程度、家庭の状況等に応じて、訪問指導の必要度の高い者について重点的に行い、その指導内容に最もふさわしい職員が行う。
(6)  訪問指導の結果は、援助方針会議等で検討する。
(7)  訪問指導の連続性を保つとともに、事後の援助にいかすために、児童相談所は児童記録票を起こす。
 
3. 在宅障害児指導事業
(1)  本事業は専門的な指導を受ける機会が十分でない地域の在宅障害児に対する指導を強化するために行う。
(2)  児童相談所は、巡回指導を必要とする地域、対象者の実情及び特性を常に把握し、当該地域の関係機関、関係団体等の協力を得て、具体的な実施計画を作成する。
(3)  本事業は、原則として児童福祉司、児童心理司、医師、臨床検査技師、保健師等のチ−ムにより行う。
(4)  本事業による指導の経過及び結果については、援助方針会議等で検討し、個々の児童記録票に記載する。
 
4. その他
(1)  これらの事業の実施に当たっては、本指針に定めるほか次の通知による。
[1]   昭和42年2月13日発児第11号「在宅重症心身障害児(者)に対する訪問指導について」
[2]   昭和49年4月22日児発第211号「在宅障害児指導事業(巡回指導バス)について」
(2)  このほか、児童相談所は次の通知に定める各事業等と十分に連携を図る必要がある。
[1]   平成10年8月11日障第476号「障害児通園(デイサービス)事業について」
[2]   昭和54年7月11日児発第514号「心身障害児総合通園センターの設置について」
[3]   平成12年3月29日児発第247号「特別保育事業の実施について」
[4]   平成元年5月29日児発第397号「知的障害者地域生活援助事業の実施について」
[5]   平成12年7月7日障第529号「障害児・知的障害者ホームヘルプサービス事業について」  
[6]   平成10年7月16日障第420号「全国障害者スポーツ大会について」
[7]   平成10年7月24日障第434号「障害者の明るいくらし」促進事業の実施について」
[8]   平成18年4月3日障発第0403008号「知的障害児施設入所者の地域生活への移行の促進について」
[9]   平成16年1月6日障発第0106001号「強度行動障害特別処遇加算費について」
[10] 平成15年11月10日障発第1110001号「重症心身障害児(者)通園事業の実施について」
[11] 平成14年9月10日障発第0910001号「自閉症・発達障害支援センター運営事業の実施について」
[12] 平成17年4月4日障発第0404001号「障害児施設における被虐待児受入加算費及び重度重複障害児加算費について」
[13] 平成17年4月19日雇児発第0419001号「一時保護委託児童の被虐待児受入加算費について」
 
 
第8節   特別児童扶養手当、療育手帳に係る判定事務等
1. 特別児童扶養手当に係る判定事務
(1)  対象となる子ども
特別児童扶養手当等の支給に関する法律(昭和39年法律第134号)第2条第1項の障害児及び同条第2項の重度障害児についての知的障害の認定診断書の作成については、児童相談所も行うことができる。児童相談所の判定の対象となるのは、認定請求を行う者又は都道府県等児童福祉主管課のいずれかから診断書の作成を求められた障害児である。
(2)  判定の実施
ア   特別児童扶養手当認定診断書の作成は、医師が児童心理司等の協力を得て行うことが原則である。また、判定を行うに当たっては、対象となる子どもや保護者等の利便を考慮し、日時、場所等をあらかじめ定め、場合によっては巡回相談の機会を利用する。
イ   判定を行った場合は、援助方針会議等で検討し、速やかに作成した診断書を添付し、児童相談所長名で認定請求者又は都道府県等児童福祉主管課に回答する。また、児童相談所においては、児童記録票を作成する。
ウ   知的障害児の場合は、判定後おおむね2年後に再判定を行う。
(3)  判定の基準
ア   知的障害の判定は、平成14年3月28日障発第0328009号「特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令別表第3における障害の認定要領等の一部改正について」中の「障害等級認定基準」「第7節精神の障害」に基づき行う。
イ   判定に当たっては、単に現在の状態及び障害の有無等に着目するに留まらず、医学的な原因、経過、予後の判断をもできるかぎり調査、検討し、また、日常生活能力の判定に当たっては、身体的能力及び精神的能力、特に、知情意面の障害も考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。
 
2. 療育手帳に係る判定事務
(1)  療育手帳制度の目的
療育手帳制度は、知的障害児(者)に対し一貫した相談・指導を行うとともに、各種の援助措置を受け易くすることにより、知的障害児(者)の福祉の増進を図ることを目的としている。
(2)  判定の実施
ア   療育手帳制度の申請を受けた福祉事務所は、児童相談所又は知的障害者更生相談所を経由して都道府県知事等に進達する。児童相談所又は知的障害者更生相談所は、交付対象者について判定を行い、判定結果を記入の上、都道府県知事等に進達する。進達を受けた都道府県知事等は、児童相談所又は知的障害者更生相談所の判定に基づき交付を決定し、福祉事務所を経由して申請者に交付する。
イ   療育手帳の判定は、原則として医師、児童心理司等のチームにより行い、障害の有無、程度等について援助方針会議等で検討する。場合によっては、その後の援助についても検討する。
ウ   原則として2年後に再判定を行う。
(3)  療育手帳の効用
療育手帳の効用は、判定の概要や援助を受けた経過を正確に記録し、事後の援助の参考とするとともに、特別児童扶養手当(重度障害の記載があるものに限る)、心身障害者扶養共済、国税・地方税の控除・減免、公営住宅の優先入居、NHK受信料の免除等の手続上の簡略化が図られることである。
(4)  その他
療育手帳に係る判定事務については、本指針に定めるほか次の通知による。
[1]   昭和48年9月27日発児第156号「療育手帳制度について」
[2]   昭和48年9月27日児発第725号「療育手帳制度の実施について」
 
3   重度判定
(1)  重度知的障害児収容棟、肢体不自由児施設重度病棟の対象児童及び盲重度児、ろうあ重度児(18歳を超えて入所している者を含む。)の判定は、知的障害児施設、肢体不自由児施設等の協力を得て児童相談所において行う。
(2)  判定は、原則として医師、児童心理司等のチームにより行い、援助方針会議等で検討する。
(3)  具体的には次の通知により行う。
[1]   昭和39年3月13日児発第197号「重度知的障害児収容棟の設備及び運営の基準について」
[2]   昭和39年9月12日児発第809号「肢体不自由児施設重度棟の設備及び運営の基準について」
[3]   昭和44年5月21日児発第332号「盲重度児及びろうあ重度児の保護指導の強化について」
 
 

ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 子ども・子育て > 子ども・子育て支援 > 児童虐待防止対策・DV防止対策・人身取引対策等 > 児童相談所運営指針等の改正について(平成19年1月23日雇児発第0123002号) > 児童相談所運営指針 > 児童相談所運営指針 > 第6章 事業に係る留意事項

ページの先頭へ戻る