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第2章 児童相談所の組織と職員
第2章 児童相談所の組織と職員
第1節 組織の標準
1 | .規模
児童相談所の規模は、人口150万人以上の地方公共団体の中央児童相談所はA級、150万人以下の中央児童相談所はB級、その他の児童相談所はC級を標準とする。 |
2 | .組織構成
(1) | 児童相談所の組織については、総務部門、相談・判定・指導・措置部門、一時保護部門の3部門をもつことを標準とする。 |
(2) | 組織規模が過大になる等の理由により、相談・判定・指導・措置部門を細分化する必要がある場合には、業務の流れ及び職種等を考慮し、区分する。標準的には次のような組織となると考えられる。
A級 | (総務部門、相談・指導部門、判定・指導部門、措置部門、一時保護部門) |
B級 | (総務部門、相談・措置部門、判定・指導部門、一時保護部門) |
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(3) | (2)のみによることができない場合には、さらに以下の方法により対応することも考えられる。
(1) | 地区別構成(地区チ−ム制等) |
(2) | 相談種類別構成(養護チ−ム、障害チ−ム、非行チーム、育成チ−ム等)の他、児童虐待等の相談に対して迅速な対応が行えるよう、養護チームの中 に児童虐待専従チーム等を設置することも必要 |
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(4) | 具体的構成を設定するには、児童相談所の規模、管轄区域の人口、面積その他各地方公共団体の実情も考慮する。 |
(5) | その際、相談があった子ども、保護者等に対しては、チ−ムによる相談援助活動及び中心となって関わる担当者が確保できる体制をとる。 |
(6) | 職員については、各部門の業務及び各職員の職務内容を勘案し、適切に配置する。 |
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第 | 2節 各部門の業務分担
児童相談所の業務は各部門によるチ−ムワ−クを原則とするので、その構成単位部門の単独責任によって対応しうるものはほとんどないが、業務手続上、主として各部門がいかなる業務を担当するものであるかをA級の場合の例を示すと以下のとおりである。
なお、児童相談所において児童福祉施設に入所している子ども等に係る費用徴収等の事務を行う場合には、相談援助活動の円滑な実施に十分配慮する。 |
1 | .総務部門の業務
(1) | 所属職員の人事及び給与に関すること |
(2) | 公文書類の収受、発送及び保存に関すること |
(3) | 公印の管守に関すること |
(4) | 物品会計事務に関すること |
(5) | 施設の維持管理に関すること |
(6) | 全体的事業の企画、普及に関すること |
(7) | 一時保護している子どもの所持品の引取り、保管及び処分に関すること |
(8) | その他他部門に属しないこと |
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2 | .相談・指導部門の業務
(1) | 相談の受付 |
(2) | 受理会議の実施とその結果の対応 |
(3) | 調査、社会診断及び指導 |
(4) | 相談業務全般についての連絡調整 |
(5) | 管轄区域における子どもや家庭が抱える問題の把握及び予防的活動 |
(6) | 一時保護手続 |
(7) | 児童福祉施設、里親等に措置した後の家庭指導等 |
(8) | 相談業務の企画に関すること |
(9) | 関係機関等に対し、必要に応じ児童福祉の観点から助言、援助を行うこと |
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3 | .判定・指導部門の業務
(1) | 調査・社会診断、医学診断、心理診断等及び指導 |
(2) | 判定会議の実施とその結果の対応 |
(3) | 判定に基づく援助指針の立案 |
(4) | 一時保護している子どもの健康管理の援助 |
(5) | 療育手帳、各種証明書等 |
(6) | 関係機関等に対し、必要に応じ児童福祉の観点から助言、援助を行うこと |
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4 | .措置部門の業務
(1) | 援助方針会議の実施とその結果の対応 |
(2) | 児童福祉審議会への意見聴取に関する事務 |
(3) | 措置事務、措置中の状況把握 |
(4) | 障害児施設利用給付決定に関する事務 |
(5) | 児童記録票及び関係書類の整理保管 |
(6) | 児童相談所業務統計 |
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5 | .一時保護部門の業務
(1) | 都道府県等が設置する一時保護施設(以下「一時保護所」という。)で行う一時保護の実施 |
(2) | 一時保護している子どもの保護、生活指導、行動観察及び行動診断 |
(3) | 観察会議の実施とその結果の対応 |
(4) | 一時保護している子どもの健康管理
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第3節 職員構成
1 | .規模別職員構成の標準
第1章に述べられている諸般の業務遂行のため、所長、次長(A級の場合)及び各部門の長のほか、次の職員を置くことを標準とする。
C | 級−教育・訓練・指導担当児童福祉司(ス−パ−バイザ−)、児童福祉司、相談員、精神科を専門とする医師(以下「精神科医」という。嘱託も可。)、児童心理司、心理療法担当職員、その他必要とする職員 |
B | 級−C級に定める職員のほか、小児科を専門とする医師(以下「小児科医」という。嘱託も可。)、保健師 |
A | 級−B級に定める職員のほか理学療法士等(言語治療担当職員を含む。)、臨床検査技師 |
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2 | .留意事項
(1) | 配置される職員数については、地域の実情、各児童相談所の規模等に応じて適正と認められる人員とする。 |
(2) | 教育・訓練・指導担当児童福祉司(ス−パ−バイザ−)は、児童福祉司及びその他相談担当職員の職務遂行能力の向上を目的として教育・訓練・指導に当たる児童福祉司であり、相談援助活動において少なくとも10年程度の経験 を有するなど相当程度の熟練を有している者でなければならない。教育・訓練・指導担当児童福祉司(スーパーバイザー)の配置の標準は児童福祉司おおむね5人につき1人とする。 |
(3) | 児童福祉司については、令第2条において、人口おおむね5万〜8万までを標準として担当区域を定めるものとされているが、地域の実情を考慮して必要に応じ、この標準を超えて配置することが望ましい。また、任用にあたっては、ソーシャルワーカーとしての専門性を備える人材を登用すること。 |
(4) | 児童福祉司と児童心理司がチームを組んで対応できる体制が望ましい。 |
(5) | 医師については、児童虐待、発達障害、非行など心身の発達に課題を持つ子どもに対する医学的判断から、子どもと保護者に対する心の治療に至る連続的な関わりが必要であること。 |
(6) | 業務に支障がないときは、職務の共通するものについて、他の相談所等と兼務することも差し支えない。 |
(7) | 一時保護所関係職員は、家庭から離れた子ども達の不安な心情や行動に対して柔軟に対応できる人員を配置することとする。 |
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第 | 4節 各職員の職務内容
各職員の主な職務内容はおおむね以下のとおりである。 |
1 | .所長
(1) | 所長として法に定められている権限の行使 |
(2) | 法第32条等により都道府県知事等から委任された権限の行使 |
(3) | 各部門の業務の統轄 |
(4) | 児童相談所を代表しての対外活動 |
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3 | .総務部門の長
(1) | 庶務的事項の総括 |
(2) | 他部門との事務的連絡調整 |
(3) | 全体的事業の企画に係る連絡調整 |
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4 | .総務部門職員
第2節1(1)〜 (8)に掲げる業務 |
5 | .相談・指導部門の長
(1) | 相談・指導部門の業務全般の総括 |
(2) | 受理会議の主宰 |
(3) | 教育・訓練・指導担当児童福祉司(ス−パ−バイザ−)の意見を参考としつつケ−スの進行管理を行うこと |
(4) | 相談業務の企画に関すること |
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6 | .判定・指導部門の長
(1) | 判定・指導部門の業務全般の総括 |
(2) | 判定・指導部門の職員に対する教育・訓練・指導(ス−パ−ビジョン)を行うこと |
(3) | 判定会議の主宰 |
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7 | .措置部門の長
(1) | 措置部門の業務全般の総括 |
(2) | 援助方針会議の主宰 |
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8 | .措置部門職員
第2節4(1)〜 (4)に掲げる業務 |
9 | .一時保護部門の長
(1) | 一時保護部門の業務全般の総括 |
(2) | 一時保護部門の職員に対する教育・訓練・指導(ス−パ−ビジョン)を行うこと |
(3) | 観察会議の主宰 |
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10 | .教育・訓練・指導担当児童福祉司(スーパーバイザー)
児童福祉司及びその他相談担当職員に対し、専門的見地から職務遂行に必要な技術について教育・訓練・指導を行うこと |
11 | .児童福祉司
(1) | 子ども、保護者等から子どもの福祉に関する相談に応じること |
(2) | 必要な調査、社会診断を行うこと |
(3) | 子ども、保護者、関係者等に必要な支援・指導を行うこと |
(4) | 子ども、保護者等の関係調整(家族療法など)を行うこと |
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12 | .受付相談員
(1) | 相談の受付に関すること |
(2) | 受付面接と応急の援助に関すること |
(3) | 受理会議に関すること |
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13 | .相談員
(1) | 子ども、保護者等から子どもの福祉に関する相談に応じること |
(2) | 児童福祉司と協力し、調査、社会診断を行うこと |
(3) | 子ども、保護者、関係者等に継続指導等措置によらない指導を行うこと |
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15 | .24時間・365日体制対応協力員(児童虐待対応協力員)
児童福祉司等と協力して、夜間休日における児童家庭相談(特に児童虐待相談)への対応を行うこと |
16 | .医師(精神科医、小児科医)
(1) | 診察、医学的検査等による子どもの診断(虐待が子どもの心身に及ぼした影響に関する医学的判断) |
(2) | 子ども、保護者等に対する医学的見地からの指示、指導 |
(3) | 医学的治療 |
(4) | 脳波測定、理学療法等の指示及び監督 |
(5) | 児童心理司、心理療法担当職員等が行う心理療法等への必要な指導 |
(6) | 一時保護している子どもの健康管理
(7)医療機関や保健機関との情報交換や連絡調整 |
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17 | .児童心理司
(1) | 子ども、保護者等の相談に応じ、診断面接、心理検査、観察等によって子ども、保護者等に対し心理診断を行うこと |
(2) | 子ども、保護者、関係者等に心理療法、カウンセリング、助言指導等の指導を行うこと |
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18 | .心理療法担当職員
子ども、保護者等に対し、心理療法、カウンセリング等の指導を行うこと |
19 | .保健師
(1) | 公衆衛生及び予防医学的知識の普及 |
(2) | 育児相談、1歳6か月児及び3歳児の精神発達面における精密健康診査における保健指導等、障害児や虐待を受けた子ども及びその家族等に対する在宅支援 |
(3) | 子どもの健康・発達面に関するアセスメントとケア及び一時保護している子どもの健康管理 |
(4) | 市町村保健センターや医療機関との情報交換や連絡調整及び関係機関との協働による子どもや家族への支援 |
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20 | .理学療法士等(言語治療担当職員を含む。)
理学療法、作業療法、言語治療を行うこと |
22 | .児童指導員及び保育士
(1) | 一時保護している子どもの生活指導、学習指導、行動観察、行動診断、緊急時の対応等一時保護業務全般に関すること |
(2) | 児童福祉司や児童心理司等と連携して子どもや保護者等への指導を行うこと |
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23 | .一時保護対応協力員
児童指導員や保育士及び心理療法担当職員等と協力して子どもや保護者等への指導、支援を行うこと |
24 | .看護師
(1) | 一時保護している子どもの健康管理 |
(2) | 精神科医及び小児科医の診察等に係る補助的業務 |
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25 | .栄養士
(1) | 栄養指導 |
(2) | 栄養管理及び衛生管理 |
(3) | 一時保護している子どもの給食の献立の作成 |
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第5節 職員の資格、研修等
1 | .職員の資格
(1) | 児童相談所の職員の資格については、法第12条の3及び第13条並びに則第2条及び第6条によるほかそれぞれの専門職種の資格法による。 |
(2) | 児童福祉司の任用資格については、専門性の確保・向上を図りつつ、人材登用の幅を広げる観点から、平成16年児童福祉法改正法により平成17年4月から、
(1) | 現行制度の下で任用が認められている大学において社会学、心理学又は教育学を専修する学科等を修めて卒業した者について、新たに福祉に関する相談業務に従事した一定の経験を求めるとともに、 |
(2) | 一定の実務経験などを前提としつつ、保健師や保育士といった幅広い人材の登用を新たに認めることとされた。 |
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(3) | 児童心理司は法第12条の3第4項に定める「同項第2号に該当する者又はこれに準ずる資格を有する者」であることが必要である。 |
(4) | 心理療法担当職員は、児童福祉施設最低基準(昭和23年厚生省令第63号)第75条第3項に定める「心理療法を担当する職員」と同様の資格を有する者であることが必要である。 |
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2 | .職員の研修等
(1) | 所長は、研修を受けなければならない。(法第12条の3) |
(2) | 各部門の長は各部門の職員に対し教育・訓練・指導(スーパービジョン)のできる者であることが適当である。特に、判定・指導部門の長については、医師、児童福祉司、児童心理司等専門技術を有する者であることが必要である。 |
(3) | 各職員は内部の職員又は外部の専門家による教育・訓練・指導(ス−パ−ビジョン)を受ける機会を積極的に活用し、また相互の指導・訓練・教育(ス−パ−ビジョン)、密接な連携・協力により、資質向上に努める。 |
(4) | 児童相談所は、都道府県等の児童福祉主管課と連携しながら、職員に対する研修の実施、充実に努める。研修の企画に当たっては、職種別の研修や実務経験に応じた研修等、体系的な研修に努める。 |
(5) | 職員は内部の研修のほか、各種研修会・研究会・学会等への積極的参加、施設等における研修等により、新しい援助技法の獲得等に努める。 |
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3 | .職員の専門性
児童福祉に関する相談業務に携わる職員には、子どもの健全育成、子どもの権利擁護をその役割として、要保護児童やその保護者などに対して、援助に必要な専門的態度、知識技術をもって対応し、一定の効果を上げることが期待されている。そのためには、自らの職責の重大性を常に意識するとともに、少なくとも、次のような専門性を獲得するよう努めなければならない。
特に、所長は、子どもを守る最後の砦として一時保護や親子分離といった強力な行政権限が与えられた行政機関である児童相談所の責任者であり、その判断は、これを誤れば、子どもの命を奪うことにもつながりかねない極めて重大なものである。所長は、こうした極めて重大な権限行使の最終的判断を担うという職責の重大性を常に意識し、業務に従事することが必要である。
(1) | 専門的態度
・ | 子どもや保護者の基本的人権の尊重 |
・ | 児童家庭相談に対する意欲と関心 |
・ | 自己受容・自己変革 |
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(2) | 専門的知識
・ | 人間や子どもに関する知識 |
・ | 児童家庭相談に関する知識(児童の権利に関する条約や児童福祉法など関連する条約・法令に関する知識を含む。) |
・ | 児童家庭相談の周辺領域に関する知識 |
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(3) | 専門的技術
・ | 対人援助に関する技術 |
・ | 児童家庭相談に関する技術 |
・ | 児童家庭相談の周辺領域に関する技術 |
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