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興行場営業の振興指針

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厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課


(平成26年3月13日)
(厚生労働省告示第76号)

生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和32年法律第164号)第56条の2第1項の規定に基づき、興行場営業の振興指針(平成21年厚生労働省告示第40号)の全部を次のように改正し、平成26年4月1日から適用する。

興行場営業の営業者が、興行場法(昭和23年法律第137号)等の衛生規制に的確に対応しつつ、現下の諸課題にも適切に対応し、経営の安定及び改善を図ることは、国民生活の向上に資するものである。
 このため、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和32年法律第164号。以下「生衛法」という。)第56条の2第1項に基づき、興行場営業の振興指針を定めてきたところであるが、今般、営業者、生活衛生同業組合(生活衛生同業小組合を含む。以下「組合」という。)等の事業の実施状況等を踏まえ、営業者、組合等の具体的活用に資するよう、実践的かつ戦略的な指針として全部改正を行った。
 今後、営業者、組合等において本指針が十分に活用されることを期待するとともに、新たな衛生上の課題や経済社会情勢の変化、営業者及び消費者等のニーズを反映して、適時かつ適切に指針を改定するものとする。
 なお、現時点においては、興行場の多くを映画館が占めているため、今回の指針では特に映画館を例に記述することとする。

第一 興行場営業を取り巻く状況
興行場営業の事業者の動向
  興行場営業は、国民生活における身近な娯楽を提供するものとして、その地位を保ってきたところである。その施設数及び入場者数は、昭和30年代半ばのピーク時から平成7、8年頃にかけて、娯楽の多様化、テレビ、家庭用ビデオ、パーソナルコンピュータ、家庭用ゲーム機、衛星放送等の普及により、長期間減少傾向にあったが、近年、邦画を中心とした話題作の増加、郊外地域を中心とした複数のスクリーンを有する映画館(以下「シネマコンプレックス」という。)の増加等により、スクリーン数は、平成15年末の2,681スクリーンから平成25年末には3,318スクリーンと増加傾向にある。スクリーン数の増加は、シネマコンプレックスの増加によるところが大きく、5スクリーン以上を有するシネマコンプレックスのスクリーン数は10年前と比較して1,298スクリーンの増となっており、全スクリーン数の84%を占めるまでに至っている(一般社団法人日本映画制作者連盟統計による。)。他方、興行場(映画館)の許可を受けた施設数は、1,539施設(平成24年度末)であり、10年前と比較して381施設の減となっている(厚生労働省『衛生行政報告例』による)。このような短期間でのシネマコンプレックスの増加に伴い、競争も激化し、既存の単独スクリーンの映画館(以下「単独館」という。)の閉館を招くなどの影響も生じている。
  経営上の課題としては(複数回答)、「客数の減少」が86.2%と最も多くあげており、次いで、「施設・設備の老朽化」が34.1%、「光熱費の上昇」が27.2%、「客単価の減少」が17.5%、「映画料・原材料費の上昇」が10.6%となっている(厚生労働省『生活衛生関係営業経営実態調査』による)。
消費動向
  1世帯あたり(2人以上の世帯)の映画・演劇等入場料の支出(平成24年)は6,137円で、10年前と比較して403円の増となっている(総務省『家計調査年報』による)。
  映画館入場者数(平成25年)は155,888千人で、10年前と比較して6,459千人の減となっている(一般社団法人日本映画制作者連盟統計による)。
  また、総務省『平成23年社会生活基本調査』によれば、映画鑑賞をしている者は年に5〜9日以上が男性で10.7%、女性で13.9%である一方、年に映画鑑賞を全く行わない者は男性で69.0%、女性で62.1%にも及んでおり、鑑賞頻度の高い層と低い層の二極化の状況もみられる。
営業者の考える今後の経営方針
  営業者の考える今後の経営方針としては(複数回答)、「新しい映像技術の導入」が52.8%、「接客サービスの充実」が47.2%、「施設・設備の改装」が35.4%、「広告・宣伝等の強化」が32.1%、「飲食メニューの工夫」が27.6%、「感謝デー等の行事の開催」が15.0%、「営業時間の変更」が11.4%となっている(厚生労働省『生活衛生関係営業経営実態調査』による)。
第二 前期の振興計画の実施状況
  都道府県別に設立された興行場営業の組合(平成25年12月末現在で45都道府県で設立)においては、前期の興行場営業の振興指針(平成21年厚生労働省告示第40号)を踏まえ、振興計画を策定、実施しているところであるが、当該振興計画について、全5ヵ年のうち4ヵ年終了時である平成24年度末に実施した自己評価は次表のとおりである。
  なお、国による予算措置(補助金)については、政策目的の達成状況の検証及び事業の適切かつ効果的な実施の観点から、「生活衛生関係営業の振興に関する検討会」の下に設けられた「生活衛生関係営業対策事業費補助金審査・評価会」において、審査から評価まで一貫して行う等、必要な見直し措置を講じている。
  このため、組合及び生活衛生同業組合連合会(以下「連合会」という。)等においても、振興計画に基づき事業を実施する際は、成果目標及び事業目標を可能な限り明確化した上で、達成状況についても評価を行う必要がある。
  当該振興計画等の実現に向けて、組合及び連合会においては、振興指針、振興計画の内容について広く広報を図り、組合未加入営業者への加入勧誘及び組合未結成地域の営業者への組合結成の支援を図ることが期待されている。
  組合への加入、非加入は営業者の任意であるが、生衛法の趣旨、組合の活動内容等を詳しく知らない新規開設者等の営業者がいることも考えられるため、都道府県、保健所設置市への営業の許可申請、届出等の際に、営業者に対して、生衛法の趣旨、関係する組合の内容、所在地、連絡先等について情報提供等の取組の実施が求められる。
表 振興計画の実施状況についての各組合による自己評価 (単位:%)
  事業名 達成 概ね達成 主な事業
1 衛生に関する知識及び意識の向上に関する事業 11% 35% ・衛生管理等に関する講習会の開催
・衛生管理マニュアル作成・配布
2 施設及び設備の改善に関する事業 0% 17% ・改装やデジタル化対応の設備の導入投資 が見られる
3 利用者の利益の増進に関する事業 20% 59% ・各種マニュアルの作成
・中高生等の映画教室の開催
・映画サービスデーの実施
4 経営管理の合理化及び効率化に関する事業 33% 41% ・経営管理講習会、経営相談会の開催
・映画盗撮防止セミナーの開催
5 営業者及び従業員の技能の改善向上に関する事業 22% 48% ・講習会の開催
・接客マニュアルの作成・配布
6 配給会社等との良好な関係の構築に関する事業 26% 28% ・関係業界との情報交換会の開催
7 事業の共同化及び協業化に関する事業 15% 24% ・共同購入・共同広報の実施
8 従業者の福祉の充実に関する事業 6% 33% ・永年勤続者・優良従業員の表彰
・定期健康診断の実施
9 事業の承継及び後継者支援に関する事業 22% 50% ・後継者育成支援のための研修会等の開催
・青年部員の活動支援
10 環境の保全及び省エネルギーの強化に関する事業 13% 28% ・省エネ機器の導入
11 少子・高齢化社会への対応に関する事業 13% 13% ・シニア料金制度の実施指導
12 地域との共生に関する事業 20% 48% ・地域イベントへの参加
・出張上映会の実施
第三 興行場営業の振興の目標に関する事項
営業者の直面する課題と地域社会から期待される役割
  興行場営業の営業者は、娯楽・文化の身近な担い手として、国民生活を豊かにする上で欠かせない役割を果たしてきた。映画は、鑑る者に楽しさはもとより、感動や安らぎ、興味、関心を喚起し、学習の機会を提供するなど、人生に潤いをもたらし、豊かにさせるものといえる。こうした重要な役割を興行場営業が引き続き担い、国民生活の豊かさの向上に貢献できるよう、経営環境や国民のニーズ、衛生課題に適切に対応しつつ、各々の営業者の経営戦略に基づき、事業の安定と活力ある発展を図ることが求められる。
  特に、娯楽の多様化、家庭用DVD・ブルーレイ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、家庭用ゲーム機、衛星放送、都市型ケーブルテレビ等が普及する中で、他の娯楽との競争に打ち克ち、映画を発展させるためには、業界を挙げた対応が求められる。
  また、少子高齢化が進む中で、地域で身近で手軽な娯楽サービスとして年齢や障害の有無に関わらず、全ての国民が楽しめる拠点としての機能を積極的に担っていくことが期待される。
  特に、単独館の多くは中心市街地に立地しており、中心市街地の娯楽機能や賑わいの維持の観点からもその活性化が重要であり、地域のニーズを踏まえ独自性を発揮するなどの対応が期待される。
今後5年間(平成26年度から平成30年度末まで)における営業の振興の目標
  衛生問題への対応
    興行場営業は、一時に不特定多数の利用者を密閉性の高い施設に長時間収容して行うという営業形態上の特殊性を有している。利用者の安全衛生を確保するために、適切な空調設備の整備保全、清掃の励行や洗面所等汚染されやすい区画の消毒等清潔で安全な環境の維持に努めることは、営業者の責務である。
    また、病原性が高い新型インフルエンザや同様に危険性のある新感染症が発生した場合に、国民生活・経済への影響を最小化する観点から、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)に基づく使用制限等の要請に適切かつ迅速に対応することが求められる。
    衛生問題は、個々の営業者の問題や業界全体に対する信頼の失墜にとどまらず、国民の健康被害やこれに伴う社会的影響をももたらすことにもつながることから、組合及び連合会には、組合員、非組合員双方の営業者が衛生確保に関する自覚と責任感を持ち、衛生水準の向上が図られるよう、継続的に知識及び意識向上に資する普及啓発や適切な指導及び支援に努めることが求められる。
とりわけ、零細な営業者は重要な公衆衛生情報の把握が困難となる場合が考えられるため、これら営業者に対する組合加入の促進や公衆衛生情報の提供が円滑に行われることが期待される。
  経営方針の決定と消費者・地域社会への貢献
    映画は古くから国民の間に定着した代表的な娯楽であるが、家庭でも楽しめる娯楽が増加するなど、娯楽の多様化が進んでいる。映画の入場者数は、ヒット作品の有無など映画作品に収益が大きく左右されるが、営業者としても、消費者のニーズを的確に把握し、消費者が望む映画を快適な環境で鑑賞できるような魅力的な施設づくりを進める必要がある。
    映画人口の底上げを図るため、家庭では体験できない映画館ならではの大画面・高音質・臨場感を他の観客と同時に共有できるといった映画館の魅力を消費者に訴求していくことが業界の課題といえる。
    このため、年齢、日時、対象者に応じた戦略的な割引制度や会員カードの発行、各種イベントの実施などを通じて、映画館の魅力を伝える機会を創出することが重要である。特に、今後、高齢化の進展により、シニア層向けのサービス需要の拡がりが期待されることから、シニア層のニーズに応じたサービスの展開が重要となる。また、若い世代を取り込むための工夫や、子育て中の母親など新たな顧客層の開拓を進めていくことも必要である。さらに、映画紹介、独自の上映企画の企画、上映リクエストの多い映画の上映など、創意工夫を活かし、地域の映画ファンを増やしていくような取組も期待される。
    さらに、収益源の多様化の観点から、ODS(アザー・デジタル・スタッフ)と呼ばれるスポーツや演劇、コンサートのライブ中継など映画作品以外のコンテンツ上映を拡大していくことも考えられる。また、結婚披露宴などイベント事業に映画館を有効に活用することも、地域の人々に映画館の魅力を伝える機会にもつながるものと期待される。
    こうした新たなサービスの構築は、映画館の営業はもとより、映画鑑賞前後の消費や地域の賑わいにつながるなど、地域の活性化にも貢献することが期待される。
    また、映画館におけるデジタル化への設備投資は進んでおり、現在、概ね9割の映画館でデジタル化が行われている。デジタル化は経営の合理化に資することはもとより、映画館の機能の多様化の面でも有効であり、更なる推進が重要である。
    さらに、建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)の一部改正により、興行場をはじめ不特定多数の者が利用する建築物について耐震化の対応が求められている。
    また、映画の盗撮の防止に関する法律(平成19年法律第65号)(以下「映画盗撮防止法」という。)が施行され、映画館における録音・録画行為は著作権の侵害となり違法であることについて、利用者へ周知していく必要がある。
  税制及び融資の支援措置
    興行場営業の組合又は組合員には、税制優遇措置及び日本政策金融公庫を通した低利融資を受ける仕組みがある。
    税制措置については、組合が共同利用施設を取得した場合の特別償却制度が設けられており、組合において共同蓄電設備等の購入時、組合の研修施設や会館を建て替える際などに活用することができる。
    融資については、対象設備及び運転資金について、振興計画を策定している組合の組合員(営業者)が借りた場合に、対象設備については、日本政策金融公庫の基準金利よりも低率の融資を受けることができる。また、各都道府県の組合が作成した振興計画に基づき、一定の会計書類を備えている営業者が所定の事業計画を作成して設備資金及び運転資金を借りた場合、より低い低利融資の仕組み(振興事業促進支援融資制度)が設けられており、特に設備投資を検討する営業者には、積極的な活用が期待される。
関係機関に期待される役割
  組合及び連合会に期待される役割
    組合及び連合会には、独自の財源や国から受ける生活衛生関係営業対策事業費補助金を活用して、営業者の直面する衛生問題及び経営課題に対する適切な支援事業を実施することが期待される。
    事業の実施に際しては、有効性及び効率性(費用対効果)の観点から、計画期間に得られる成果目標を明確にしながら事業の企画立案・実施を行い、得られた成果については適切に効果測定する等、事業の適切かつ効果的な実施に努めることが求められる。
    また、事業効果を最大限発揮し事業成果を広く国民や社会に還元できるよう、都道府県指導センター、保健所等衛生関係機関、日本政策金融公庫支店等との連携及び調整を行うことが期待される。
  都道府県指導センター及び日本政策金融公庫に期待される役割
    多くの営業者が経営基盤が脆弱な中小零細事業者であることに鑑み、都道府県指導センター及び日本政策金融公庫において、営業者へのきめ細かな相談・指導その他必要な支援を行うなどし、予算措置(補助金)、金融措置(融資)、税制措置等の有効的な活用を図ることが期待される。
    とりわけ、金融措置(融資)については、審査・決定を行う日本政策金融公庫において営業者が利用しやすい融資の実施、生活衛生関係営業に係る経済金融事情等の把握及び分析に努め、関係団体に情報提供するとともに、日本政策金融公庫と都道府県指導センターが協力して、手続きや計画作成に不慣れな営業者への支援の観点から、融資に係るきめ細かな相談及び融資手続きの簡素化を行うことが期待される。低利融資制度については、各営業者の事業計画作成が前提とされることから、本指針の内容を踏まえ、営業者の戦略性を引き出す形での指導を行うことが求められる。
  国及び公益財団法人全国生活衛生営業指導センターに期待される役割
    国及び公益財団法人全国生活衛生営業指導センター(以下「全国指導センター」という。)は、公衆衛生の向上及び営業の健全な振興を図る観点から、都道府県及び連合会と適切に連携を図り、信頼性の高い情報の発信、的確な政策ニーズの把握等を行う必要がある。また、予算措置(補助金)、金融措置(融資)、税制措置を中心とする政策支援措置については、営業者の衛生水準の確保、経営の安定に最大限の効果が発揮できるよう、安定的に所要の措置を講じるとともに、制度の活性化に向けた不断の改革の取組が必要である。
第四 興行場営業の振興の目標を達成するために必要な事項
  興行場営業の目標を達成するために必要な事項としては、次に掲げるように多岐にわたるが、営業者においては、衛生水準の向上等のために必須で取り組むべき事項と、戦略的経営を推進するために選択的に取り組むべき事項の区別を行うことで、課題解決と継続的な成長を可能にし、国民生活の向上に貢献することが期待される。
  また、組合及び連合会においては、組合員である営業者等に対する指導・支援、消費者の興行場営業への信頼向上に資する事業の計画的な推進が求められる。
  このために必要となる具体的取組としては、次に掲げるとおりである。
営業者の取組
  衛生水準の向上に関する事項
    営業者は、シックハウス等室内の化学物質による健康への影響についての関心の高まりや新たな感染症の発生状況等に配慮しつつ、公衆衛生の見地からの対策を講じることを要請されている。このため、自館の営業形態、施設及び設備等に応じた、快適な温度及び空気環境の確保、トイレ等の清掃の徹底、衛生教育の充実による従業員の資質の向上等衛生水準の維持向上のためのサービスの充実・強化を図り、利用者が清潔かつ衛生的な環境で快適に映画を楽しめるよう衛生管理に努めるものとする。特に最近、新型インフルエンザの発生が危惧されていることから、営業者自らが、従業員に対し衛生管理に関する模範を示すとともに、従業員の健康管理に十分留意し、従業員に対する衛生教育及び監督指導に当たることが必要である。
    さらに、営業者は、消防法(昭和23年法律第186号)等の関係法令を踏まえた非常口表示等の措置を講じ、従業員の安全教育の徹底を図るとともに、地域との連携を密にした防災・避難対策や上映前の入場者に対する適切な情報提供を行うことが必要である。
  経営課題への対処に関する事項
    経営課題への対処については、営業者の自立的な取組が前提であるが、営業を通じて娯楽を提供し、国民生活の向上に貢献する観点から、営業者においては、次に掲げる事項を念頭に置き、経営改革に積極的に取り組むことが期待される。
    特に、地方都市の単独館では、営業者が変わることはほとんどないため、経営手法が固定的になりやすい面があるが、シネマコンプレックスとの間で広域的な競争のもと厳しい競争にあることから、以下の事項も積極的に採り入れ、地域の実情に応じた方策を検討することが期待される。
    (1) 経営方針の明確化及び独自性の発揮に関する事項
      現在置かれている経営環境や市場を十分に把握、分析し、自館や地域の特性を踏まえ、強みを見出し、経営方針を明確化し、自館の付加価値や独自性を高めていくとともに、経営管理の合理化及び効率化を図ることが必要である。
      自館の立地条件、顧客層、資本力、経営能力等の経営上の特質の把握
      周辺競合館に関する情報収集と比較
      ターゲットとする顧客層の特定
      自館のコンセプトの明確化
      多様な顧客層の開拓・周知のための企画
      飲食等の附帯的サービスの強化
      施設の有効活用による収益源の多様化
      地域の飲食店等との提携
      若手人材の活用による経営手法の開拓
      顧客や地域のニーズに沿った上映時間の見直し
      都道府県指導センター等の経営指導機関による経営診断の積極的活用
    (2) サービスの向上及び顧客の確保に関する事項
      消費者のニーズやライフスタイルの変化に的確に対応し、消費者が安心して利用できるよう、自館の魅力を増し、顧客の満足度を向上させるとともに、新たな顧客を獲得することが重要であることから、以下の事項を選択的に取り組むことが期待される。
      映画紹介イベントや交流会の開催など映画ファンの拡大
      年齢、日時、対象者に応じた割引制度の実施
      会員カードの発行
      スポーツや演劇、コンサートのライブ中継など映画作品以外のコンテンツの上映
      結婚披露宴などイベント事業の展開
      上映リクエストの多い映画の上映
      関連書籍、DVD、ブルーレイ、キャラクターグッズ等の関連物品の販売
      喫茶、売店コーナー等付帯事業の充実
      子育て中の母親など新たな顧客層の開拓のための独自サービスの実施
      地域の飲食店等と提携したサービスの提供
      利用者のアンケート箱の設置などによる利用者の要望の調査
      優秀な人材の獲得、若手従業員の育成・指導、資質向上
      魅力ある職場づくり(人と人の心のチームワーク)
      ホームページの開設等情報通信技術を活用した積極的な情報発信
      地域のケーブルテレビ等を活用した広告宣伝
      クレジットカード決済、電子決済の導入・普及
    (3) 施設及び設備の改善に関する事項
      営業者は、利用者が清潔かつ衛生的な環境で快適に映画を楽しめるよう衛生管理に努めるとともに、近年の省エネ・節電の要請やバリアフリーの視点を踏まえた施設及び設備の改善を図るため、具体的には、以下の事項に取り組むことが期待される。
      清潔で魅力的な施設に向けた定期的な内外装の改装
      快適な椅子の設置
      映像・音響設備の改善
      デジタル化への対応
      3D(立体映画)上映対応
      施設の耐震化
      高齢者、障害者等に配慮したバリアフリー対策の実施
      バリアフリー映画への対応
      消費者の安全衛生及び従業者の労働安全衛生の観点から施設の整備・改善
      節電・省エネルギーの推進
      経営の合理化・効率化のための改善
    (4) 従業者の資質の向上に関する事項
      従業員の企画、顧客管理、接客等の技術の向上、映写技師の確保等を図るため、組合等の研修会、講習会等も活用しつつ、その資質の向上を図るとともに、適切な労働条件や健康管理を図る必要がある。
営業者に対する支援に関する事項
  組合及び連合会による営業者の支援
    組合及び連合会においては、営業者の自立的な経営改革を支援する都道府県指導センター等の関係機関との連携を密にし、次に掲げる事項を中心に積極的な支援に努めることが期待される。
    (1) 衛生に関する知識及び意識の向上に関する事項
      営業者に対して衛生管理を徹底するための研修会及び講習会の開催、衛生管理に関するパンフレットの作成等に関する指導助言に努めるものとする。
    (2) 施設及び設備並びにサービスの改善に関する事項
      衛生水準の向上、経営マネジメントの合理化及び効率化、消費者の利益の増進等に資するための、施設及び設備の改善に関する指導、助言、情報提供等、必要な支援に努めること。
      また、高齢者、障害者等の利便性を考慮した施設の設計やサービスの提供等について研究を行い、その成果の普及に努めること。
    (3) 消費者利益の増進に関する事項
      利用者のニーズの多様化に応えるために必要な新技術の研究、催事の開催等利用者に対する映画館営業に関する啓発活動、共通利用ができる映画鑑賞券の発行の検討並びに利用者の動向や意識を把握するための市場調査及び映画制作会社、映画配給会社等関連業界に対する当該情報の提供に努めるとともに、国民に対して映画館における映画鑑賞の魅力を宣伝することに努めること。
    (4) 経営マネジメントの合理化及び効率化に関する事項
      先駆的な経営事例等経営管理の合理化及び効率化に必要な情報、地域的な経営環境条件に関する情報並びに業界の将来の展望に関する情報の収集及び整理並びに営業者に対するこれらの情報提供に努めるものとする。
      また、映画盗撮防止法の施行により映画館における録音・録画行為は著作権の侵害となり禁止されたことに伴う利用者への周知方法等について営業者に情報提供するとともに、国民に対して映画盗撮防止法の趣旨の伝達に努めるものとする。
      さらに、映画産業のデジタル化に伴うデジタルシネマへの移行について、情報提供等による支援に努めるものとする。
    (5) 営業者及び従業員の技能の向上に関する事項
      営業者の特質に応じて作成する接客マニュアルの作成の指導助言に努めるものとする。
    (6) 配給会社等との良好な関係の構築に関する事項
      単独館が、配給制度、割引制度等について、配給会社との間で良好な関係を築くために行う情報収集及び連絡調整の支援に努めること。
    (7) 事業の共同化及び協業化に関する事項
      事業の共同化及び協業化の企画立案並びに実施に係る指導助言に努めること。
    (8) 従業員の福祉の充実に関する事項
      従業者の労働条件整備、作業環境の改善及び健康管理充実のための支援、医療保険(国民健康保険又は健康保険)、年金保険(国民年金又は厚生年金保険)及び労働保険(雇用保険及び労働者災害補償保険)の加入等に係る啓発、組合員等の大多数の利用に資する福利厚生の充実並びに共済制度(退職金、生命保険等)の整備及び強化に努めるものとする。
      さらに、男女共同参画社会の推進及び少子・高齢化社会への適切な対応に配慮した従業者の福祉の充実に努めるものとする。
    (9) 事業の承継及び後継者支援に関する事項
      事業の円滑な承継に関するケーススタディ及び成功事例等の経営知識の情報提供の促進を図るために必要な支援に努めること。
  行政施策及び政策金融による営業者の支援及び消費者の信頼の向上
    (1) 都道府県指導センター
      組合との連携を密にして、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。
      営業者に対する経営改善の具体的指導、助言等の支援
      利用者からの苦情及び要望の営業者への伝達
      利用者の信頼の向上に向けた積極的な取組
      都道府県(保健所)と連携した組合加入促進に向けた取組
      連合会及び都道府県と連携した振興計画を未策定の組合に対する指導・支援
    (2) 全国指導センター
      都道府県指導センターの取組を推進するため、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。
      営業者の経営改革の取組に役立つ情報の収集・整理・情報提供
      危機管理マニュアルの作成
      苦情処理マニュアルの作成
      標準営業約款の登録の促進
      効果測定の支援及び政策提言機能の強化
      公衆衛生情報の提供機能の強化
    (3) 国及び都道府県
      興行場営業に対する利用者の信頼の向上及び営業の健全な振興を図る観点から、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めること。
      興行場に関する指導監督
      興行場に関する情報提供その他必要な支援
      災害・新型インフルエンザ発生時等における適時、適切な対策の実施
    (4) 日本政策金融公庫
      営業者の円滑な事業実施に資するため、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。
      営業者が利用しやすい融資の実施
      生活衛生関係営業に係る経済金融事情等の把握、分析及び情報提供
      災害時等における速やかな相談窓口の設置
第五 営業の振興に際し配慮すべき事項
  興行場営業においては、他の生活衛生関係営業と同様に、衛生水準の確保と経営の安定のみならず、営業者の社会的責任として環境の保全や省エネルギーの強化に努めるとともに、時代の要請である少子・高齢化社会等への対応、地域との共生、東日本大震災への対応といった課題に応えていくことが要請される。個々の営業者の取組が中心となる課題と、関係者が営業者を支援することで推進が図られる課題とがある。こうした課題に適切に対応することを通じて、地域社会に確固たる位置づけを確保することが期待される。
環境の保全及び省エネルギーの強化
  営業者に期待される役割
    (1) 省エネルギー対応の空調設備、太陽光発電設備等の導入
    (2) 節電に資するLED照明、蓄電設備等の導入
    (3) 廃棄物の最小化、分別回収の実施
    (4) 温室効果ガス排出の抑制
  組合及び連合会に期待される役割
    (1) 廃棄物の最小化、分別回収の普及啓発
    (2) 業種を超えた組合間で相互に協力
  日本政策金融公庫に期待される役割
    融資の実施等による営業者の支援
少子・高齢化社会等への対応
  営業者に期待される役割
    営業者は、高齢者や障害者、妊産婦、子育て・共働き世帯が住み慣れた地域社会で安心かつ充実した日常生活を営むことができるよう、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めること。
    (1) 積極的なバリアフリー対策の実施
    (2) 車椅子用の鑑賞スペースの確保
    (3) バリアフリー映画の普及に向けた取組
    (4) 託児施設との連携
    (5) 授乳室やベビーチェアの設置
    (6) 身体障害者補助犬を同伴する身体障害者等への適切な対応
    (7) 従業員に対する教育及び研修の充実・強化
    (8) 地域社会とのつながりを強化する観点も含めた地域の高齢者・障害者等の積極的雇用の推進
    (9) 受動喫煙の防止
    (10) 高齢者、障害者、妊産婦等への優しい環境の実現
  組合及び連合会に期待される役割
    高齢者、障害者等の利便性を考慮した施設設計やサービス提供に係る研究の実施
  日本政策金融公庫に期待される役割
    融資の実施等による営業者の支援
地域との共生(地域コミュニティの再生及び強化(商店街の活性化))
  営業者に期待される役割
    営業者は、地域住民に対して興行場営業の存在、提供する商品やサービスの内容及び営業の社会的役割・意義をアピールするとともに、地域で増加する生活弱者(高齢者、障害者、子育て・共働き世帯)の新たなニーズに対応し、地域のセーフティーネットとしての役割や地域コミュニティの基盤である商店街における重要な構成員としての位置づけが強化されるよう、以下に掲げる事項を中心に積極的に取り組むことで、地域コミュニティの再生・強化や商店街の活性化につなげること。
    (1) 地域の街づくりへの積極的な参加
      祭りや商店街による手作りイベント等共同事業の立案及び参加
      商店街の活性化を通じた地域生活者の「ふれあい」、「憩い」、「賑わい」の創出
    (2) 地域、地方公共団体、関係機関との連携による災害時の帰宅困難者への支援
    (3) 福祉施設等での移動映画の上映
    (4) 共同ポイントサービス事業、スタンプ事業の実施
    (5) 地域の防犯、消防、防災、交通安全、環境保護活動の推進に対する協力
    (6) 青少年への風紀面での配慮
    (7) 災害対応能力及び危機管理能力の維持向上
  組合及び連合会に期待される役割
    (1) 地域の自治体等と連携し、社会活動の企画、指導・援助ができる指導者を育成
    (2) 業種を超えた相互協力の推進
    (3) 地域における特色ある取組の支援
    (4) 自治会、町内会、地区協議会、NPO、大学等との連携活動の推進
    (5) 商店街役員への興行場営業の若手経営者の登用
東日本大震災への対応
  東日本大震災は未曾有の国難であり、被災地域における営業再開及び被災営業者の生活の再建と活力ある地域の再生のため、総力を挙げて、東日本大震災からの復旧、将来を見据えた復興への取組を進めていくこと。
  営業者に期待される役割
    (1) 被災営業者のみならず営業者全体による相互扶助と連携の下での役割発揮
    (2) 被災営業者の営業再開を通じた被災者へのサービスの充実や地域コミュニティの復元
    (3) 節電・省エネへの適切な対応
  組合及び連合会に期待される役割
    (1) 同業者による支え合い(太い「絆」で再強化)
    (2) 節電啓発や節電行動に対する支援
    (3) 節電に資する共同利用施設(共同蓄電設備等)の設置
  国及び都道府県
    東日本大震災を乗り越えて復興を実現し、被災地域のコミュニティの維持回復を図るため、被災営業者及び被災組合の意向等を踏まえつつ、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めること。
    (1) 被災営業者の営業再開のための施策
    (2) 東日本大震災を教訓とした緊急に実施する必要性が高く、即効性の高い防災、減災等の施策
  日本政策金融公庫に期待される役割
    被災営業者に対するきめ細やかな相談・支援を通じた低利融資等の実施

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