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小児用肺炎球菌ワクチンの変更に関するQ&A

Q1. 小児の肺炎球菌感染症とはどんな病気ですか?

 肺炎球菌感染症とは、肺炎球菌という細菌によって引き起こされる病気です。この菌は、集団生活が始まるとほとんどの子どもが持っているといわれるもので、主に気道の分泌物により感染を起こします。これらの菌が何らかのきっかけで進展することで、肺炎や中耳炎、髄膜炎などの重い合併症を起こすことがあります。
 特に、髄膜炎をきたした場合には2%の子どもが亡くなり、10%に難聴、精神の発達遅滞、四肢の麻痺、てんかんなどの後遺症を残すと言われています。
 また、小さい子供ほど発症しやすく、特に0歳児でのリスクが高いとされています。

Q2.肺炎球菌感染症を予防することは可能ですか?

 令和6年4月現在、小児の肺炎球菌感染症に対するワクチンは原則として沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)を使用することとしております。
 肺炎球菌には、90以上の種類があり、PCV15は、そのうち15種類の肺炎球菌に対して予防効果を有しています。
 小児の肺炎球菌による、侵襲性肺炎球菌感染症(※)は、ワクチンの定期接種等が実施される以前の2008〜2010年は10万人(5歳未満)あたり約24~26人が罹患していましたが、2022年には、約4.8人と、約8割の患者数の減少が見られています。
 ※侵襲性感染症とは、本来は菌が存在しない血液、髄液、関節液などから菌が検出される感染症のことをいいます。

Q3.2024年4月から新たに定期接種で使用されることとなった沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)は従来使用している沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)と何が違うのですか?

 従来使用されている沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)は13種類の肺炎球菌に対して予防効果があります。一方、今回定期接種に使用することとされた沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)には、新たに2種類が追加され、計15種類の肺炎球菌に対して予防効果を有しています。これにより、従来よりも多くの種類の肺炎球菌に対して予防効果が期待出来ると考えられています。
 また、小児への投与方法について、PCV13は皮下注射のみでしたが、PCV15は皮下注射又は筋肉内注射により投与します。

Q4.沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)から沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)に変更することでどれくらい効果が変わるのですか?

 沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)が定期接種に導入される前は、肺炎球菌による侵襲性感染症(※)の約53%はPCV13に含まれる13種類によって引き起こされていましたが、Q2にあるとおり、ワクチンの普及によりこれらの発生が減少したことで、ワクチンに含まれる13種類以外の肺炎球菌による感染症の割合が増えるようになりました。
 2022年には、PCV13に含まれる13種類が肺炎球菌による侵襲性感染症の約2.3%を、PCV15に含まれPCV13に含まれていない2種類が約7%を引き起こしていると考えられ、ワクチンを変更することで、これら2種類に対する更なる予防効果が期待できるようになると考えられています。
 一方で、ワクチンに含まれない種類の肺炎球菌も存在するため、ワクチンを接種しても肺炎球菌感染症を発症することがあります。
 ※侵襲性感染症とは、本来は菌が存在しない血液、髄液、関節液などから菌が検出される感染症のことをいいます。

Q5.沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)の接種により、どのような副反応の発生が想定されますか?

 稀に報告される重い副反応として、ショック、アナフィラキシー、痙攣があります。
 その他、一定程度の頻度でみられる副反応については、下表のとおりです。
 【別表1】
別表1
 ・沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)の添付文書
(https://www.info.pmda.go.jp/go/pdf/170050_631140KG1020_1_04)より抜粋

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Q6.沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)の接種はどのようなスケジュールで実施しますか?

 沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)の接種スケジュールは、以下のようなスケジュールで実施します。(1)が標準的なスケジュールです。
 なお、細かいルール等の詳細については母子健康手帳、自治体又は接種を受ける医療機関に確認してください。

 (1)初回接種開始時に生後2〜7か月のお子さん
 初回接種:生後2か月から接種を開始し、およそ1か月おきに3回接種します。
 追加接種:初回接種が終わった後、最後の接種から60日以上あけた上で、生後12か月以降に1回接種します。

 (2)初回接種開始時に生後7〜12か月のお子さん
 初回接種:およそ1か月おきに2回接種します。
 追加接種:初回接種が終わった後、最後の接種から60日以上あけた上で、生後12か月以降に1回接種します。

 (3)初回接種開始時に1〜2歳のお子さん
 60日以上の間隔をあけて2回接種します。

 (4)初回接種開始時に2〜5歳のお子さん
 1回接種します。

標準的な接種スケジュール(図)

Q7.沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)はどのような接種方法で接種しますか。

 沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)は、皮下注射又は筋肉内注射で接種します。筋肉注射とは、ワクチンなどの医薬品を皮下脂肪の奥にある筋肉内に直接注射する方法のことを指します。接種する部位については、添付文書の「薬剤接種時の注意」において、「通常、成人には上腕の三角筋中央部、1歳以上の小児には上腕の三角筋中央部又は大腿前外側部、1歳未満は大腿前外側部」と記載されています。
 なお、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)は皮下注射で接種します。

Q8.途中まで沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)を接種していますが、2024年4月以降は沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)に切り替えて接種可能ですか。

 沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)を沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)から切り替えて接種した場合の有効性と安全性は、薬事審査において確認されています。2024年4月以降、PCV13を使用して1回目、2回目又は3回目までの接種を終了したお子さんの接種について、残りの接種をPCV15を用いて行うことができます。

Q9.沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)を沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)から切り替えて接種することは可能とのことですが、その逆(PCV15からPCV13)の切り替えは可能ですか。

 沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)から、血清型のカバー率がより小さい沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)に切り替えることは、PCV15で接種を完遂する場合と比較して、有効性が低下する可能性があるため、 同ワクチンで接種を完了することが望ましいと考えられます。

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