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ボツリヌス症
感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について
(1) | 定義
ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)が産生するボツリヌス毒素、又はC. butyricum、C. baratii などが産生するボツリヌス毒素により発症する神経、筋の麻痺性疾患である。
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(2) | 臨床的特徴
ボツリヌス毒素又はそれらの毒素を産生する菌の芽胞が混入した食品の摂取などによって発症する。潜伏期は、毒素を摂取した場合(食餌性ボツリヌス症)には、5時間〜3日間(通常12〜24時間)とされる。
神経・筋接合部、自律神経節、神経節後の副交感神経末端からのアセチルコリン放出の阻害により、弛緩性麻痺を生じ、種々の症状(全身の違和感、複視、眼瞼下垂、嚥下困難、口渇、便秘、脱力感、筋力低下、呼吸困難など)が出現し、適切な治療を施さない重症患者では死亡する場合がある。
感染経路の違いにより、以下の4つの病型に分類される。
ア | 食餌性ボツリヌス症(ボツリヌス中毒)
食品中でボツリヌス菌が増殖して産生された毒素を経口的に摂取することによって発症 |
イ | 乳児ボツリヌス症
1歳未満の乳児が菌の芽胞を摂取することにより、腸管内で芽胞が発芽し、産生された毒素の作用によって発症 |
ウ | 創傷ボツリヌス症
創傷部位で菌の芽胞が発芽し、産生された毒素により発症 |
エ | 成人腸管定着ボツリヌス症
ボツリヌス菌に汚染された食品を摂取した1歳以上のヒトの腸管に数ヶ月間菌が定着し毒素を産生し、乳児ボツリヌス症と類似の症状が長期にわたって持続 |
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(3) | 届出基準
ア | 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からボツリヌス症が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ボツリヌス症患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。 |
イ | 無症状病原体保有者
医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ボツリヌス症の無症状病原体保有者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。 |
ウ | 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、ボツリヌス症が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ボツリヌス症により死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。 |
エ | 感染症死亡疑い者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、ボツリヌス症により死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。 |
検査方法 |
検査材料 |
ボツリヌス毒素の検出 |
血液、便、吐物、腸内容物、創部の浸出液 |
分離・同定による病原体の検出、かつ、分離菌における次の(1)、(2)いずれかによるボツリヌス毒素の確認
(1) | 毒素産生の確認 |
(2) | PCR法による毒素遺伝子の検出 |
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原因食品からのボツリヌス毒素の検出 |
原因食品 |
ボツリヌス抗毒素抗体の検出(数か月後) |
血清 |
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