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痘そう

感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について

 痘そう

(1) 定義
 痘そうウイルスによる急性の発疹性疾患である。現在、地球上では根絶された状態にある。

(2) 臨床的特徴
 主として、飛沫感染によりヒトからヒトへ感染する。患者や汚染された物品との直接接触により感染することもある。エアロゾルによる感染の報告もあるが、まれである。潜伏期間は約12日(7〜17日)で、感染力は病初期(ことに4〜6病日)に最も強く、発病前は感染力はないと考えられている。すべての発疹が痂皮となり、これが完全に脱落するまでは感染の可能性がある。
 主な症状は、
 前駆期:急激な発熱(39℃前後)、頭痛、四肢痛、腰痛などで始まり、発熱は2〜3日で40℃以上に達する。第3〜4病日頃には、一時解熱傾向となり、発疹が出る。
 発疹期:発疹は、紅斑→丘疹→水疱→膿疱→結痂→落屑と規則正しく移行する。その時期に見られる発疹はすべて同一のステージであることが特徴である。第9病日頃に膿疱となるが、この頃には再び高熱となり、結痂するまで続く。疼痛、灼熱感が強い。
 回復期:2〜3週間の経過で、脱色した瘢痕を残し治癒する。痂皮(かさぶた)の中には、感染性ウイルスが長期間存在するので、必ず、滅菌消毒処理をする。

(3) 届出基準
 患者(確定例)
 医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から痘そうが疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、痘そう患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
 この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
 鑑別を必要とする疾患は、水痘(特に発疹出現前に40℃前後の高熱が認められた者)である。
 無症状病原体保有者
 医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の左欄に掲げる検査方法により、痘そうの無症状病原体保有者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
 この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
 疑似症患者
 医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から、痘そうの疑似症患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
 感染症死亡者の死体
 医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、痘そうが疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、痘そうにより死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
 この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
 感染症死亡疑い者の死体
 医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、痘そうにより死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。

検査方法 検査材料
電子顕微鏡によるウイルス粒子の直接観察又は分離・同定による病原体の検出 水疱、膿疱、痂皮、咽頭拭い液、血液
蛍光抗体法による病原体の抗原の検出
PCR法による病原体の遺伝子の検出

  • 届出票(PDF:370KB) 

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