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狂犬病に関するQ&Aについて
狂犬病に関するQ&Aについて
平成18年には、フィリピンに滞在中に狂犬病の犬に咬まれ、感染し、ワクチン接種しなかったため、日本帰国後に狂犬病を発症する事例がありましたので、このことを踏まえて狂犬病に関するQ&Aを作製しました。
狂犬病流行地域に渡航される方へ
渡航中に狂犬病に感染しないよう、以下のことについてご注意下さい!
・ | 滞在中にむやみに動物に手を出さないようにしましょう |
・ | 万が一、滞在中に犬等に咬まれた場合には、
(1) | すぐに傷口を石けんと水でよく洗いましょう |
(2) | 現地医療機関を受診し、傷の手当てと狂犬病のワクチン接種を受けましょう |
(3) | 帰国時に検疫所(健康相談室)に申し出ましょう
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犬を飼っている方へ
狂犬病予防法に基づき、犬の飼い主には以下のことが義務づけられています。
・ | 市町村に犬を登録すること。 |
・ | 犬に毎年狂犬病の予防注射を受けさせること。 |
・ | 犬に鑑札と注射済票を付けること。
(1) | 毎年4月から6月は狂犬病予防注射期間です。 |
(3) | 詳しくは市町村の窓口にお問い合わせ下さい。
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I 狂犬病について
A1 | 狂犬病はすべての哺乳類に感染することが知られており、もちろん人も例外ではありません。人も動物も発症するとほぼ100%死亡しますが、人では感染後(感染動物に咬まれた後)にワクチンを連続して接種することにより発症を防ぐことができます(Q11参照)。 |
A2 | 主に狂犬病に感染した動物に咬まれ、唾液中に排出されるウイルスが傷口より体内に侵入することにより感染します。 |
A3 | 狂犬病は日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドなどの一部の国々を除いて、全世界に分布します。つまり、海外ではほとんどの国で感染する可能性のある病気です。
地図(狂犬病の発生状況 [PDF:138KB])
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A4 | 感染動物すべてから感染する可能性がありますが、主な感染源動物は以下のとおりです。渡航中は特にこれらの動物に咬まれないように注意してください。中でも、犬が人に対する主な感染動物です。
アジア、アフリカ;犬、ネコ
アメリカ、ヨーロッパ;キツネ、アライグマ、スカンク、コウモリ、ネコ、犬
中南米;犬、コウモリ、ネコ、マングース |
Q5 | どのくらいの人が狂犬病に感染して亡くなっているのですか。 |
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A5 | 世界保健機関(WHO)の推計によると、世界では年間におおよそ5万9千人の人が亡くなっています。また、このうち95%はアフリカ、アジア地域での死亡者と言われています。 |
Q6 | 狂犬病に感染した犬はどのような症状を示しますか。 |
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A6 | 狂騒型と麻痺型と言われるタイプがあり、狂騒型では、極度に興奮し攻撃的な行動を示します。また、麻痺型では後半身から前半身に麻痺が拡がり、食物や水が飲み込めなくなります。 |
Q7 | 狂犬病に感染した人はどのような症状を示しますか。 |
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A7 | 強い不安感、一時的な錯乱、水を見ると首(頚部)の筋肉がけいれんする(恐水症)、冷たい風でも同様にけいれんする(恐風症)、高熱、麻痺、運動失調、全身けいれんが起こります。その後、呼吸障害等の症状を示し、死亡します。 |
A8 | 日本国内では、人は昭和31年(1956年)を最後に発生がありません。また、動物では昭和32年(1957年)の猫での発生を最後に発生がありません。現在、日本は狂犬病の発生のない国です。
なお、輸入感染事例としては、狂犬病流行国で犬に咬まれ帰国後に発症した事例が、昭和45年(1970年)にネパールからの帰国者で1例、平成18年(2006年)にフィリピンからの帰国者で2例、令和2年(2020年)にフィリピンからの入国者で1例あります。 |
A9 | 通常、狂犬病が人から人に感染することはありません。これまでに臓器移植による感染が認められていますが、非常にまれな事例といえます。なお、輸血により感染したという報告はありません。 |
Q10 | 狂犬病を発症した場合に治療法はありますか。 |
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A10 | 狂犬病は一旦発症すれば効果的な治療法はなく、ほぼ100%の方が亡くなります。感染動物に咬まれるなど感染した疑いがある場合には、その直後から連続したワクチンを接種(暴露後ワクチン接種)をすることで発症を抑えることができます(Q11参照)。 |
Q11 | 暴露後ワクチン接種とはどういうものですか。 |
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A11 | 狂犬病発生地域で犬などに咬まれて狂犬病に感染した可能性がある場合に、発症を予防するためにワクチンを接種することをいいます。犬やコウモリ等による咬傷(暴露)を受けた際は出来るだけ早く接種を開始する必要があります。なお、初回のみではなく複数回にわたり所定の回数の接種が必要となります。
日本で医薬品として流通しているワクチンは以下の1種類です。
・ グラクソ・スミスクライン株式会社「ラビピュール筋注用」
実際の接種方法は、暴露前ワクチンの接種有無、現地での暴露後ワクチンの接種開始の有無および咬傷の状況等により異なりますので、医師とよく相談してください。
(参考)
・WHO※では、事前予防接種の履歴が明らかな場合には、すでに免疫がある程度あることから、暴露後免疫は、接種初日(0日)と3日後の2回接種をすることとしています。
・WHO※では、下記の表のように咬傷の程度に応じた対策方法を取るようすすめています。
※Rabies vaccines: WHO position paper-April 2018
https://www.who.int/publications/i/item/who-wer9316
暴露に応じた暴露後ワクチン接種
カテゴリー |
接触の状況 |
対策 |
T |
動物に触れる、餌をやる、無傷の皮膚をなめられる |
ワクチン接種必要なし |
U |
出血のない小さな傷や擦り傷,むき出しの皮膚をかじられる(原文nibble)(暴露) |
創部洗浄
迅速なワクチン接種 |
V |
皮膚を貫通するかみ傷やひっかき傷、粘膜や傷のある皮膚をなめられることによる動物の唾液との接触、コウモリとの直接的な接触による暴露(深刻な暴露) |
創部洗浄
迅速なワクチン接種
必要に応じて免疫グロブリンを推奨* |
*免疫グロブリンとは、感染を防ぐ役割を持つタンパク質のことです。免疫グロブリンの投与は、特に頭部に近い部位の咬傷を受けたカテゴリーVの場合に推奨されています。日本では入手できないこと、投与は暴露後すぐに行う必要があることから、現実的には現地での投与となります。WHOによると免疫グロブリンの投与ができない場合であっても、暴露後すぐに傷口を徹底して洗浄し、ワクチン接種を完了させることで95%以上の防御効果が得られるとされています。狂犬病発生国において実際に免疫グロブリンの治療を受けているのは1〜10%と推定されています。
(参考)国立国際医療研究センター病院 狂犬病の予防について
http://www.hosp.ncgm.go.jp/isc/vaccines/010/index.html
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Q12 | 狂犬病に感染してから発症するまで、どのくらいの期間がありますか。 |
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A12 | 狂犬病は感染してから発症するまでの期間(潜伏期)が一般に1ヶ月から3ヶ月、長い場合には感染してから1年から2年後に発症した事例もあります。なお、発症前に感染の有無を診断することが出来ません。 |
A13 | 日本国内の場合、狂犬病は発生していないので感染の心配はありません。
海外、特に東南アジア等の流行国で狂犬病が疑われるイヌ、ネコおよび野生動物に咬まれたりした場合、まず傷口を石鹸と水でよく洗い流し、できるだけ早期に医療機関を受診して下さい。
咬んだ動物の特定ができ、予後を観察できる場合、咬まれてから2週間以上その動物が狂犬病の症状を示さない場合には、咬まれた時に狂犬病に感染した可能性を否定できるので、暴露後ワクチンの連続接種を中止できます。 |
II 海外渡航者の方へ
Q14 | 海外で犬に咬まれ、医療機関を受診せずに帰国しました。何処に相談すればよいでしょうか。 |
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A14 | 狂犬病に感染した疑いがある場合には、できるだけ早期に狂犬病ワクチンの接種を受ける必要があります。最寄りの保健所または医療機関にご相談下さい。また、狂犬病の予防接種を受けられる医療機関については、検疫所のホームページ(https://www.forth.go.jp/)でご紹介しています。 |
Q15 | 平成18年に、京都市や横浜市で狂犬病の患者が報告されたとの報道がありましたが、国内発生ではないのですか。 |
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A15 | 平成18年(2006年)11月にフィリピンで犬にかまれ、帰国後狂犬病を発症して亡くなる事例がありました。この様な狂犬病の輸入感染事例は昭和45年(1970年)以降36年ぶりです。 |
Q16 | 狂犬病の流行国に渡航する予定です。どのようなことに気を付ければいいですか。 |
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A16 | 感染しないようにするためには、むやみに動物に近づかないことが重要です。動物に近寄ったり、医療機関のないような地域に行く場合については、事前に狂犬病の予防接種を受けることも検討してください。また、万が一渡航先で動物に咬まれた場合は、現地医療機関を受診し、傷の手当てと狂犬病ワクチンの接種を受けて下さい。また、帰国時に検疫所(相談室)に相談してください。 |
Q17 | 暴露前の狂犬病の予防接種とはどういうものですか。 |
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A17 | 暴露前の狂犬病の予防接種とは、犬などに咬まれて狂犬病に感染する前に予防接種を受けることです。狂犬病の流行地域に渡航する場合であって、動物との接触が避けられない、又は近くに医療機関がないような地域に長期間滞在するような方は、渡航前に予防接種を受けることをお勧めします。
なお、日本で医薬品として流通しているワクチンは以下のとおりです。複数回の接種が必要となりますので、渡航前は時間的余裕をもって、予防接種実施機関を受診してください。
(予防接種実施機関の探し方:https://www.forth.go.jp/useful/vaccination02.html)
・ グラクソ・スミスクライン株式会社「ラビピュール筋注用」は、渡航約1ヶ月前から接種を開始する必要があります。
(参考)
渡航前に3回の接種を完了することが推奨されますが、WHO※では、少なくとも2回の接種を受けることが重要としています。
※Rabies vaccines: WHO position paper-April 2018
https://www.who.int/publications/i/item/who-wer9316
暴露前のワクチン接種を行っている場合であっても、犬などに咬まれて感染した可能性がある場合には暴露後のワクチン接種が必要です(Q11参照)。また、ワクチンの種類や個人の状況によっても接種方法は異なりますので、医師とよく相談してください。
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Q18 | 東南アジアで犬に咬まれ、現地医療機関で暴露後のワクチン接種を受けてきました。まだワクチンプログラムを完了していないのですが、国内でワクチンを接種してもらえますか。 |
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A18 | 狂犬病は一度発症するとほぼ100%死亡する恐ろしい病気です。発症を確実に防ぐために、ワクチンプログラムを必ず完了させることが必要です。国内の医療機関でも、狂犬病のワクチンを接種してもらうことが出来ますので、医療機関に相談してください。なお、狂犬病の予防接種可能な医療機関については、検疫所のホームページ(https://www.forth.go.jp/)でご紹介しています。 |
Q19 | 自分が感染しているかどうかはどうやったら分かりますか。 |
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A19 | 咬んだ動物の特定ができ、その動物の予後を観察できる場合、受傷してから2週間以上その動物が狂犬病の症状を示さない場合には、咬まれたときに狂犬病に感染した可能性を否定できます。ご自身の検査により感染しているかどうかを調べることはできません。発症してしまうと治療法はありませんので、流行地で動物に咬まれるなど感染した疑いがある場合には、直ちに暴露後ワクチン接種を開始することをお勧めします。 |
III 犬を飼っている方・飼う予定の方へ
Q20 | 犬を飼うにあたって何をしないといけないでしょうか。 |
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A20 | 「狂犬病予防法」(昭和25年法律第247号)に基づき、91日齢以上の犬の所有者は、その犬を所有してから30日内に市町村に犬の登録をし、鑑札の交付を受けるとともに、狂犬病の予防注射を犬に受けさせ、注射済票の交付を受けなければなりません。また、交付された鑑札と注射済票は、必ず犬に付けなければなりません。
日本国内には狂犬病の発生はありませんが、近隣諸国では狂犬病がまん延しており、日本への本病の侵入リスクは皆無ではありません。犬を飼われている方は、社会に対する責務として、犬の登録と年1回の狂犬病の予防注射を必ず行ってください。 |
Q21 | どうして犬を登録しないといけないのですか。 |
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A21 | 狂犬病は全ての哺乳類に感染しますが、人が感染する場合、その感染源となる動物のほとんどは犬であると言われています。現在では日本国内での狂犬病の発生は見られませんが、万が一日本で狂犬病が発生した場合に迅速な対応をとるためにも、日頃から飼い犬がどこに何頭いるのかを把握しておくのは大変重要なことです。犬を飼う人の義務ですので、必ず飼い犬の登録をしましょう。 |
Q22 | どうして犬に狂犬病の予防注射を受けさせないといけないのですか。 |
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A22 | 狂犬病は全ての哺乳類に感染しますが、まん延の原因となる動物は限られており、アジア地域等、狂犬病の流行国では、犬が主なまん延源となっています。従って、飼い犬に狂犬病の予防注射を接種することで犬でのまん延が予防され、人への被害を防ぐことができ、日本でも万が一狂犬病が侵入した場合に備えて、飼い犬への狂犬病予防注射を義務づけています。
犬を飼う人の義務ですので、毎年1回、必ず飼い犬に狂犬病の予防注射を受けさせましょう。 |
A23 | 市町村の窓口で交付しています。詳しくは市町村にお尋ね下さい。 |
Q24 | 登録や狂犬病の予防注射を受けていない犬やその犬の所有者はどうなりますか。 |
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A24 | 登録されていない犬、狂犬病の予防注射を受けていない犬、鑑札や注射済票を装着していない犬は、捕獲・抑留の対象となります。また、飼い犬を登録していない所有者や飼い犬に予防注射を受けさせていない所有者、飼い犬に鑑札や注射済票を装着していない所有者は20万円以下の罰金の対象となります。 |
Q25 | 犬を飼う場合だけに規制があるのはなぜですか。 |
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A25 | 狂犬病は全ての哺乳類に感染しますが、特にアジアなどの流行地域での主なまん延の原因は犬です。世界中で狂犬病に感染する人の9割以上が犬から感染していることを見ても、人への被害を予防するために、犬の狂犬病をコントロールすることは有効です。日本でも万が一狂犬病が侵入した場合に備えた国内対策として、(1)飼い犬の登録と(2)飼い犬への狂犬病予防注射、(3)放浪犬の抑留を実施しています。 |
A26 | 犬を海外に連れて行ったり、海外から連れて帰ってきたりする場合には、農林水産省動物検疫所で検疫を受ける必要があります。詳しくは農林水産省動物検疫所にお尋ね下さい。
この他の動物の輸出入についてはQ28をご覧下さい。 |
Q27 | 国内で狂犬病が発生した場合、飼っている犬はどうなりますか。 |
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A27 | 発生地域内の犬に対して、けい留(繋いで飼うこと)の命令等が出されます。その他、狂犬病のまん延を防止するための犬の一斉検診や狂犬病予防注射、犬の移動の制限、交通の遮断等の措置が必要に応じて講じられます。 |
IV 狂犬病予防注射について
Q28 | 狂犬病予防法に基づく犬に対する狂犬病予防注射に伴う副反応はどの程度発生していますか? |
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A28 | 狂犬病の予防注射を含む全ての予防注射は、副反応が発生する可能性があります。犬に対する狂犬病の予防注射においては、一過性の副反応(疼痛、元気・食欲の不振、下痢又は嘔吐等)が認められることがあります。過敏体質の場合、まれにアレルギー反応〔顔面腫脹(ムーンフェイス)、掻痒、蕁麻疹等〕、アナフィラキシー反応〔ショック(虚脱、貧血、血圧低下、呼吸速拍、呼吸困難、体温低下、流涎、ふるえ、けいれん、尿失禁等)〕などが報告されています。なお、獣医師は医薬品及び医療用具における重大な副作用等を知った際には農林水産省に報告することが義務付けられており、獣医師から農林水産省に報告されている狂犬病予防注射に関する副作用の件数については、平成27年度は18件となっています。詳細は農林水産省動物医薬品検査所ウェブサイト(http://www.maff.go.jp/nval/)を参照してください。
(参考)平成27年度日本国内における狂犬病予防注射頭数:4,688,240頭
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Q29 |
狂犬病予防注射に伴う副反応に関する責任はどこにありますか。 |
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A29 |
狂犬病予防法第5条に基づき、犬の所有者は、その犬について、年一回の予防注射が義務付けられています。狂犬病の予防注射接種時に接種関係者に故意、過失が無く、原因がワクチンによる副反応以外考えられず、健康被害・死亡が避けられなかった場合には、故意、過失は存在せず、損害賠償責任が生じる主体はないと考えられます。 |
Q30 |
市町村等が実施する集合注射で予防注射を受けなければなりませんか? |
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A30 |
集合注射を受けるか個別注射を受けるかは犬の所有者の判断により選択することができます。また、集合注射を実施するかどうかは自治体の判断であり、集合注射を実施していない自治体もあります。 |
V その他
Q31 | 犬以外の動物の輸出入について、狂犬病に関してどのような規制がなされていますか。 |
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A31 | 猫、アライグマ、キツネ及びスカンクについては狂犬病予防法に基づき、また、家畜については家畜伝染病予防法に基づき、輸出入検疫が必要です。その他の哺乳動物については、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づき輸入時の届出が必要です。
輸出入検疫の手続きについては農林水産省動物検疫所に、輸入時の届出手続きについては厚生労働省検疫所に御確認下さい。 |
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